8
「うぅ……やっぱり恥ずかしいです…」
「ヨシヨシ…でもっ、本当のエルフの姫騎士みたいで格好良ったよ?夕ちゃん…こう…❲フッ…掛かってこい、この変態が…❳」
「うぅ…厨二病の紅子さんと一緒にしないでください…」
「なっ!」
落ち込んだ夕を、紅子が慰めているその横では
『ウラァァァァ……』シモンに吸収されていく、タケヒコから切り離なされた、フ×ディ…もとい鬼?の怨霊らしいが、断末魔を上げている
俺達はというと、詩乃を助ける為の準備をしていた
「んで、上手く行きそうなん?」
❲えぇ、先ほどの確か、口寄せ…ですか?を解析した結果を基に構築していますから…クロ、お願い出来ますか❳
❲ニャ!❳
『なっ、なにっ?』
シキに頼まれたクロから伸びた尻尾が、タケヒコを拘束すると、子供用の机がクロの足もとから現れる
ブンッと、見慣れたディスプレイが机の上に投影されると、シキが画面に触れ何やら操作していく
作業中、シキから念話がくる
❲クロを経由することで、タケヒコ氏を疑似的にシステムに接続します…❳
わざわざ念話でという事は、システムの事はタケヒコには秘密ということなのだろう
❲さて…これでいいでしよう❳念話を辞め、タケヒコにも聞こえるように言うと
❲ほらっ、そこの二人、いつまで遊んでいるのですか?、そろそろ行きますよ…❳
「「…っ、はいっ!」」
ぐぬぬぬ、と睨み合いを続けていた紅子と夕を、シキは呼び寄せ、タケヒコを囲むように俺達を立たせるとクロに目配せする
「ン〜ニャッ」クロが前脚でポンッと床を叩くと、俺達の下に魔法陣が薄く現れる
❲さぁタケヒコ氏、打合せどうりに分体を口寄せして下さい、その際、霊力が足りない場合はこちらで補充するのでけっして途中で止めないように……さぁ!❳
『…わっ分かったよ!なんだよっもう!』
シキに急かされたタケヒコが、印を結び床に手をつくと魔法陣の様な模様が現れる
『くっ、やっぱり届か❲ニャニャ〜❳…なっ!…これなら!』
クロが霊力を補充する為、霊力の心配がなくなった事で文体に繋ぐ為さらに術に集中していくタケヒコ
「…だろうとは思ったけど、もしかしなくてもやっぱりいきなり本番なんだな…え〜と…」
流れから、これがテストではなく本番だと察した俺が、アイテムボックスの中身を確認していると
『っ!捕まっ❲ウ〜ニァ〜!❳え…た…えっ?』
分体を捕らえたタケヒコの陣の光がひときわ大きくなった瞬間、クロの鳴き声と共に魔法陣が縮小し、タケヒコの陣と融合する
『すっ吸われるっ、なっ、なんでぇ〜…』
融合した魔法陣の影響で、逆に文体側に口寄せされていくタケヒコ
『詩乃っちをよろしくッス〜』❲ニャ、ニャニャ〜❳
❲段取りどうり頼みますよ❳ 「ところで、あの人は…」
間を置かずタケヒコと同じ様に、転送とは違う感覚を感じながら、俺達も詩乃がいるであろうおそらくは星に、シモンとクロに見送られながら飛ばされるのだった………
・・・・・・
「フフッ」
デザイン自体は禍々しいが、赤が洗濯しすぎで薄くなった様なピンクの魔術師らしいローブを着た、怪しい仮面をした女が、迷宮と言われる場所の最深部で、これまた禍々しい玉座に座り、虚空を見つめほくそ笑む
(お嬢はなにしてんだ?、気持ちわりぃ笑い方して…)
(あれだろ、まぁた誰かの記憶からドラマでも観てんじゃねーの?、それなら俺のボディにそろそろバーニアでも着けてほしいけどな)
(バーニアって、おまっ、アレだろっリビングアーマーのゲンさんがバラバラになって危うく昇天しかけた…)
(そうそう、それっ、何でもその後、紅一さんがいろいろ弄って使える様にしたらしいんだよっ)
(マジかっ!俺にも着けてくれねぇかな?)
(お前は人造とはいえ有機物だろ?じゃあ無理だろ、まぁ俺はデュラハンだからな、バーニアを皮切りに行く行くはバルキリー…いやサイズ的にトランスなフォーマーか…ん〜サイズぅ?…)
(おいっ…駄目だ、一度考え出すと長いんだよなこの人、人?人かぁ…ふぅ、考えてもしょうがねぇ…俺も今度、羽…いや翼を付けてもらうかぁ…)
「……あ〜、終わっちゃった…まだ途中なのに、全巻見とけよな…ん?」
自らの能力で、他人の魂からコピーしたドラマの記憶を見終えた女は、玉座から少し離れた位置で、ああでもない、こうでもないと言っている、能力の仕様の都合で仕方なく己が使役している2体のアンデット系の魔物に気づく
「なんかようなん?」
女に聞かれた2体は、はっと我に返ると
(あっお嬢、時代は可変式鎧だと思うんだ、だから俺…あだっ)
(オメェ…違うだろが…お嬢、紅一の奴が、連合の奴らが迷宮入口に到着、討伐隊を送り込む準備をしている、数はいっぱい、との事で)
「はぁ、面倒くさい…来んなよなっマジで…」
(おいっ首、飛んでいったろが……まぁ、しょうがねぇわな、相手が糞だとはいえ街いくつも滅ぼしたらなぁ)
(巷じゃあ、魔王とか呼ばれてるらしぜ、お嬢は)
「嘘っ、マジでっ?」
「マジ、マジ、ちなみに僕は漆黒の騎士とか、暗黒卿とか言われてるっ、くぅ〜…いちいち決め台詞言ってて良かった〜」
全身、黑の装備で固めた男が、玉座の後ろに転移してきてそう言う
(おいっ紅一、オメェは奴さん方の様子を伺うんじゃなかったのか?、だからわざわざ自分らにお嬢への報告を頼んだんだろうが)
人狼をベースしたアンデットキメラの男が、紅一に文句をたれるが、紅一は真剣な顔して
「いやっ、僕もそのつもりだったけどな…なんと言うか…こう悪寒がな、とりあえず此処はヤバイって感じで…だから退いてきた」
(なんだよ?悪寒って)
デュラハンの首から紅一が感じたことへの疑問が投げかけられる
「魔王とか無いわぁ…んっ、あぁそれならウチも、やばそうな雰囲気感じるけど…迷宮ってか、此処はとりあえず大丈夫な気がするんよなぁ…」
「だよなっ、感じるよなっ詩乃!」
デュラハンの疑問に、紅一ではなく仮面の女、詩乃が答え、それに紅一が追随する
「此方は、詩乃がスキルでコアごと隔離してるからか、まだマシなんだけど…」
(二人が言うんなら何かが起こるんだろっ、んじゃ、全員避難させますかね…おいっ行くぞ)
(おう、ちゃちゃっと終わらせようぜ…そんじゃお嬢)
「うい…よろしく〜」
作業の為、迷宮に残っている者を避難させるため2体の魔物は玉座の間から出ていく
「しかし、やっと此処まで来たのに、ままならないねぇ……いろいろやらかしたけど、実力的には僕等の方が上だし…致命的なものは無いはずだよ…な」
そう思いながら、この悪寒に繋がる何かがあったか?と、紅一は召喚されてからを振り返るのだった……




