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❲仕方ありませんね、今は諦める事にします❳
そんなこと言いつつ、元の俺の体、シキ曰くオリジンボディを、ベッドへ運ぶシキと
『先輩、さすがに其れはどうかと思うッス』
そう言って、シキに対して批判的なシモン
❲いいですか…シモン、これは此処だけの話ですよ…❳
オリジンボディをベッドに運び終わった二人は、布団を整えながら何やら内緒話を始める
『なんなんスか…ちょっと怖いんスけど…』
❲これは既に確認済みなのですが、実は地球人の身体組織は義体の製作において現時点では最高級の素材なんです❳
『確認済みって…いつの間に殺ったんスかっ!』
❲シッ、声が大きいですよ、勘違いしているみたいてますが、それに関しては紅子に協力してもらいました、あることの見返りとして、フフッ❳
『其れはそれで、想像すると怖いんスけど…』
❲まぁそれを素材に、私と同じ様なナノマシンを創ってみたのですが、なんと言いますか素材との親和性とでも言いうのか、私自身への強化素材としては、いまいちな結果に終わったのですが、せっかく創ったので試しに素材の関係上、親和性の高そうな紅子に寄生させてみたらですね…いえっ、寄生させるにあたり成長型ではなく学習型に変更しましたし、紅子自身が並列思考は出来ても、並列意思はできませんしスキルとして取得させる気も無いので、私の様な存在に成ることもないのですが…計測した結果、私より各能力値の上限が…上限…が…あの女……あ、の…❳
『おっ落ち着くッス!、先輩』
❲くっ……すいません取り乱しました、とにかく上限が私よりも上なのです、そんな時にですよ…そこに私達と親和性の高い最上級の素材が現れたのですよシモン…どう思いますか?❳
『それは…ちっ、ちなみに聞くッスけど、どのくらい上なんスか?』
❲チッ、忌々しいことですが…おそらく2いや…3割…ぐらいでしょうか5割は無いと思います、…それでどうしますか?乗りますか❳
『マジっすか……其れは…是非っ協力しまょう』
『❲フッフッフッ…❳』
二人がそんなやり取りをしてるとは知らず、俺はある事の確認をしていた
其れは、地球における魔力などを使ったあれこれの検証だ
「ん〜、やっぱりおのおの単体の力だと、規模、威力、効果もめちゃくちゃ下がるな、消費具合から単体だと10分の1ぐらいか?、というより今迄と同じ効果を求めるなら10倍の魔力なり何なりが必要って感じか?…ただ現象として発現してからの減退は無いと…」
予想通り、地球ではこういう力には制限が掛かるらしい
「次に、神力に関しては…うおっ」
試しに、右掌に神力を練ると強く発光する、このままでは目立って使いづらいと何とか光を抑える事にする
「う〜ん、ちょっとはマシになったか?…しかし今までも薄っすら発光はしていたけど…それにしても光すぎたろ…」
試行錯誤の末、多少は光量を抑える事が出来たが、そのまま神力を全身に纏い、部屋に在る姿見の前に立つと、まるで後光がさしている様に見える、
その、自分の姿を眺めながら
「あゝいう、神様系の絵のイメージって、以外と合ってるのか?…まっ、それより…」
そんなどうでもいい事を思いながら
俺は神力で、今までと同じ様にいろいろ試していく
「めっちゃ光るのを除けば、減退もなく何時も通り使えるな…光るけど……まてよっ…これなら」
アイテムボックスから、隠蔽に特化した黒い外套と、目も口も無い皿の様な、これまた黒い仮面を取り出し身に着けてみる
「…光は隠せたが、怪しすぎる…けど仕方ないっ」
どうしても神力が必要な時以外は、魔力のごり押しでどうにかしようと決めて、仮面と外套を脱ぐ
「まぁ、とりあえずこんなもんか…、さて…」
次の検証の為、俺はテーブルに置いてあるスマホを手に取る
「さすがに充電切れか…えっとぉ…11月の…24日か、うろ覚えだけど…確か、最後の手続きが11月の…10日ぐらいだったから……本当に1週間ぐらいしか経ってないのか…」
1週間以上も放置され充電の切れたスマホを、充電器に繋ぎながら、テレビボードに在るデジタル時計で日時を確認し、なんとか記憶を掘り起こし経過した時間を計る
「クソっ、嫌な事まで思い出した、…これだけ経っててもやっぱ許せんな…あの女は」
記憶を掘り起こす過程で、召喚される前の自分の現況を創り出した奴の事まで思い出した
気持ちを落ち着ける為、煙草を取り出し一服する
「ふう〜、いや、もうあんな女の事でイライラする事なんてないな…今の俺なら、クックック、そうだよ!今の俺ならっあの女を!フフッ、ハハッ、ハァ~ハッハッハァ〜……チッ、阿呆らしっ」
❲おやっ、やめるのですか?❳
『えっ、殺らないんッスか?』
ひとしきりあの女への復讐を妄想して、冷静になった俺に、様子を伺っていたであろうシキとシモンが問いかけてくる
「殺るって…まあ、一応あんなんでも娘の…詩乃の母親だからな…まぁなるべく関わらないようにすればいいだろ」
❲まぁ、貴方がそう言うのなら……命拾いしましたね…❳
『甘いんッスね、まぁいいッスけど』
俺の記憶をもつ二人だけに、あの女に嫌悪感を持つのもわかる、俺にも、母親じゃなければっ、という想いがあるのだから、ただ物理的に何かしてしまえば、詩乃がショックを受けるだろうからな
「それよりも…」
その後、俺がいろいろ試した結果とか、だいたいの今後の予定を話し合った
❲…簡単に言うと、私が地球のあれこれの研究とオリジンの保護、シモンはこちらの部屋の概念の書き換えもしくは領域化、そして、左門は三人の帰還の為の場所の確保っという事でいいですね❳
話し合った結果、シキは主に今まで作った物が、地球でも遜色なく使用出来る様にするための研究と俺の体の保護を、
シモンはこれからの目的の為、地球におけるスキルでの概念の書き換えの可否、領域化の実験、ハッキングの効果範囲などを、
俺は他の奴らに、この部屋の場所を知られたく無いので、帰還用の場所を確保する為に行動することにする
娘や友人にも会いたかったが
(詩乃の他にも会いたい奴が何人かおるけど、感情的になって泣いたりしそうだからなぁ、相手からしたらなんだコイツって思われだろうし…やっぱ、落ち着いてからでいいなっ)
そういう恥ずかしさも有り、連絡も後回しにすることにした
「…やっぱり東京の何処かにするか…あの二人も大学は東京って言ってたしな…」
出発の準備を終えた俺は、目的地を決め部屋から出る為ドアノブに手をかける
「帰りはドアを設置すればいいとして…じゃあ行こうか」
そう言って、ドアを開け、俺的には約二十年ぶりぐらいに、部屋の外に出るのだった




