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ボッ、ボボボ………ボンッ
カッ、と何本もの光の筋が走ったと思えば、上空を飛んでいた十数体のロボットらしき物が、一斉に撃墜される
「いったい何がおきてるんですかね」
何度目かになるその光景を、身を潜めたコンテナから伺っていたユウが、同じ様に様子を伺っていた紅子に尋ねるが
「はぁ〜カッコ良いぃ」
その紅子は、最初こそ警戒していたようだが、途中から「えっ嘘っ」とか、「やっぱり…ファン×ル…」とか、言いだしてからは、ロボットが破壊される度、今のように目を輝かせてその光景を食い入るようにみている
それでも一応の警戒はしているのか、ロボットが近づくと見つからないよう隠れたりはしているが
「はぁ、駄目だこの人…」
紅子にスルーされたユウが、ロボットが破壊される度、その位置が確実に此方に近づいているという事は、それを行っている敵か味方かも分からない存在も近づいているということなのに、この人は解っているのだろうか等と考えていると
突然、キンッという音がしたので振り向くと、薄く発光する防御魔法を自分達を守るように展開し、ユウを守るように構えた紅子が写り、その手にはいつの間に出したのか大型のナイフが逆手に握られ前方を警戒している
突然の出来事に、どういう事かとユウが動けずにいると、紅子が見ているであろう空間に揺らぎとノイズが発生する、するとその空間の位置から、❲二人と思わしき者を…❳とか、「マジでっ…」等の会話が聞こえ、そこに黒いスマホの様な胴体を中心に、白い板状の物を羽根の様に展開して浮いている物体が現れるが、動きの無いことからこちらを伺っている様に見える、そして先程から聞こえる会話は、どうやらそこから聞こえているようだ
「はあぁ〜、もう繋がってんの?そういうのは先に言えや!……え〜と、そこの二人、聞こえてます〜?」
どうやら相手は複数いるようで、お互いのやり取りの終わったらしい相手の一人が、私達に尋ねてくるので、私達は頷くことで返事を返す
「なんかめっちゃ警戒されとんじゃけど…面倒くさ…」
❲今のも聴かれてますよ❳
「お前っ、ちょっとは気ぃ使えぇよ、クソっ」
いきなり現れた物体に警戒するのは当然だろうと私達は、お互い顔を見合わせ更に警戒を強くする
「あ〜、二人はユウさんとベニコさんでいいのかな?」
それまでよりも更にやる気の無い感じの声になった相手に何か思うよりも、二人の名前を言い当てられた事に、私は更に警戒を強くする、見ると紅子さんは少し驚いた様子を見せた後
「はい、私が紅子で、こちらの娘が夕です」
と、返事を返した
その紅子さんの言葉に同意を示す為、私は、やはり頷く事で返す
「確認完了っと、あぁ俺はサモンね、それで面倒なんで要点だけ言うから…」
サモンと名乗った相手が言った要点とは
地球帰るか否か、帰るならそれは約二年後になること、どちらにしてもこの宇宙船?をどうにかするまでは、一応の面倒は見ること、帰らず、自分達に干渉してほしくないのなら、好きにすればいい
といった内容の事を淡々と告げたあと
「じゃあ、後十分ぐらいでその場所に着くみたいだから、不干渉がいいなら其れまでにそこから消えといてな」
そう言うと、浮遊していた其れは、こちらの返事も聞かず何処かに飛んで行った……
「はぁ」そうため息を吐いて俺は、煙草に火を点け一服する
「このまま無視して進んじまうかぁ…」
すでに此方が言った十分は、十分ほど前に過ぎている
「それか、焦らしに焦らしてから接触するか…」
そうした方が、スムーズに話が進むような気がしてきた
❲それは大人としてどうなんでしょうね❳
「お前はそう言うが、すでに時間を守ってない時点で今更だろ」
それに、今あの娘らと話をすると、なんでとか、どうしてなのとかの話を、結論の前にする流れになりそうだし…などなど考えて
「そもそもお前の…」せいでもあるだろがと、言おうとした時、いきなり
「ほう、見つけましたか?流石のスペックですねぇ」
と、シキが言うので、またロボかと思い
「まだ来るのか?」と言うと、それを無視して
❲来ますよ❳
シキが、あの二人がいるであろう方向を向いて言うと、俺の感知範囲にロボとは別の一つの反応が現れる
「おいおい、マジか、此方を見つけたってか?この短時間で」
今の俺は、鎧を解除し、新たに魔改造した宇宙仕様のジャージの上から、宇宙といえばこれでしょと鼠色のフードの付いたローブ?を羽織った格好をしているので、鎧の隠密機能はつかえないのだが、その代わりにシキが似たような効果の結界を張ってる
シキの隠蔽をこの短時間で見破り、なおかつ俺の感知範囲が解るのか、範囲に入ってからは此方に警戒させない為か移動速度が明らかに遅くなった
「すげぇな…これが若さか…」
いくらスキルが有るとはいえ、ふざけたスペックにネタの1つでもぶっ込みたくなる
❲しかし、それを言うほど若くは無いでしょう、確か今は25、6だった筈ですし❳
「いいんだよ、ネタなんだから」
なんてやり取りをしていると、メイド服の女性が視界に現れる、予想通り紅子だ、シキの子機で確認したまんまの姿だ
その紅子は、「ほっ、良かったぁまだ居た…」と、小さく呟くと「んっ」と姿勢を正し
「先程はこちらの態度で不快な思いをさせてしまった事、大変申し訳ございません」
「お許し下さい」と深々と頭を下げる
てっきり抗議でもしに来たのかと思っていたのだが、どうもそうではないらしい
「どう思う?」
一人て現れた事や、いきなり謝罪したこと、いまいち意図が解らないので、シキにそう尋ねると
❲あざといですね、ちょっとスペックが高いからとか、此方の隠蔽を見破ったぐらいで調子に乗らないことです、そもそも私が本気で隠蔽すればお前なんかに「ちょ〜っと!待とうか」…❳
思うところがあったのか、俺の意図してない事で、シキが捲し立てている間、紅子は「えっ」とか、「そこっ」とか言いながらオロオロしていた
しかし隠蔽を見破られたのがそんなに悔しかったのかシキは、ザマァw
「まぁまぁ、落ち着けやシキ」
そう俺が言うと、❲んっ、失礼しました❳とシキが謝り❲私としたことが…❳とちょっと落ち込む感じを見せる
その様子に気を良くしつつ俺は
「で、どうするかは、決めた?」
と若干、所在なさげにしている紅子に改めて問うと、紅子は、バッと頭を上げ、懇願するように胸の前で手を組み
「あのっ、私を、あなた達にお仕えさせて下さい!」
「お願いしますっ!」そう言って頭を下げるのだった




