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❲魔力によるごり押しですけどね❳
上空に待機していたであろうシキが、降りてくる
「いやいや、俺の思い入れが強すぎて、それを魔力が汲み取った結果よ、あとは流星とか言いつつ彗星だったのが悪い」
俺は、ならばと本当はライトニ×グプラズマの方を準備して、流星拳を全て迎撃するつもりでいたのに
❲しかし五郎氏はどうしますか、このままでも死にはしないとおもいますが❳
倒れて動かない五郎氏を見ながらシキが言う
「もう面倒くさいから、五郎氏も連れて部屋帰るかぁ、嫌だけど」
言ってから、やっぱり部屋へ連れて帰るのは無理だなと思い始める、俺の精神衛生的に
「この辺の人には悪いけど、やっぱり後2、3年というか、此方の都合がつくまではこの星にいてもらうか」
そう決めた俺は、五郎氏に対し、効果を弱めた継続回復の魔法をかける、話をするのには、起きてもらわないと困るし、急に治してまた襲って来ても面倒なので
❲随分こちらの星での生活を満喫している様に見えましたが、地球に帰りたいとか思ってるんですかね?❳
「まぁ、同じ境遇?なのかどうかは分からんが、あの部屋の生き残りとしての誼で一応の確認ぐらいはなっ」
俺としては、五郎氏が帰ろうが残ろうがどちらでも良いのだ、ただ自分の暇つぶしとはいえ、せっかく異世界に行くのだから目的があった方が、区切りが良いと思ったのだ
「しかし、もし地球に戻す事になった時には種族を人に戻してからでしょうけど、ステータス的にはどうなるのでしょうね、五郎氏はいろいろとおかしいですから」
「それは俺も気になる点なんよな、たぶん肉体的にはそれ程でもなくて、魔力とかの特殊な能力の方はかなり影響を受けるんじゃない?」
等と暫くシキと話をしていると
「どうやら私を始末しに来た者では無かったようだな」
少し前から寝たふりをして会話を聞いていたらしい五郎氏が、そんなことを言いながら体を起こす
ちなみに、シキは気付いていたらしいが、俺は気付かなかった
「申し訳なかった、煮るなり焼くなり好きにして構わない」
こちらを見たあと、そう言い頭を下げる
「いやっ展開早ぇな!そういうのは後でいいから、とりあえず五郎さんでOK?」
話が進まないので、無視して問いかける
「むっ、そうか…確かに私は伊藤五郎だった者だ」
五郎氏は、頭を上げそう言う
「えぇと、じゃあ伊藤さんは、何故いきなり攻撃してきたんです?」
その理由がいまいちよく分からない
「うっ、むぅ、それはだな…」
五郎氏の話は要約すると、あんな場所を用意出来る存在が、魔物になって人間を殺した自分を放っておく筈がなく、いつか自分を始末しに来ると思っていて、それが俺だと勘違いしたらしい
「という訳で、大変迷惑をかけた」
五郎氏は、深々と頭を下げる
「ちなみに私の事は五郎で構わない、ところで刺客でないのなら君達?は一体何者なんだ」
頭を上げながら五郎氏が問いかけてくるので、これまでの事を簡潔に説明する
「なんとっ、それでは左門君は、私の命の恩人ということか」
なんて感謝しているが、そろそろ本題に入ろう
「それでなんですが、五郎さん、地球に帰れるとしたら帰る気あります?」
五郎氏もう五郎でいいか
そう言われた五郎は、「何を…」と言いつつ此方の言った内容を理解したのか、俺達が思ったよりも真剣に考え始めた
「幾つか聞きたいのだが、良いだろうか?」
暫く考え込んでいた五郎が聞いてきた
「ふぅぅ、んっなに?」
暇だったので一服していた俺は、思わず素で答えてしまった
「もし帰るとしたら、魔物のまま帰れるのだろうか?」
「ああ、そこ気になりますよね、大丈夫ですよ種族は人に戻すつもりですから、人として帰れますよ」
さすがの五郎でも、やはり地球に帰るのに、魔物のままなのは嫌なのだろう
「いっいや、そうでは無くてだな、この身体のまま帰る事は出来ないかという意味でな…無理だろうか…」
「はあぁ」なに言ってんのこのおっさんの部分を何とかなんとか心の中に思い留め
「まぁ、出来るか出来ないかで言うと、たぶん出来ると思うけど…」
そう答えると、五郎が「何っ出来るのか!」と興奮している、「いや、でも魔物のままっていうのも」と俺が五郎を説得しようとするそこに、今まで会話に加わらずにいたシキが
❲では、五郎は地球に帰るという事でいいですか?❳
と、唐突に五郎に確認をする
「うおっ!、うっうむ、この身体で、というのならだが」
いきなり喋り出したシキに驚いたのか、五郎は「このような竜がいるとは…」と呟いている
「おっおい、シキどういう…」
つもりだと、言おうとすると
❲わかりました、ならば今度は此方の条件を伝えます
まず、諸事情により地球への帰還は、およそ2年半後になります
なのでそれまで、こちらの世界で待ってもらう事、それから、それまでに人化を覚えて下さい、気合で…
この2点が承諾できるのなら、種族をそのまま地球に帰しましょう、どうですか?❳
俺を無視して、シキは五郎に問う
「うむ、待つ事に異存はない…が、じんか…と言ったか、其れはどういうものだ?
響きから神か人にでもなるのか?」
❲・・・おとぎ話などの様に、動物が人間に化けるのと同じ様に、貴方も人に…出来れば人であった頃の自分に、擬態できる様になって下さい❳
「おお、そういう事か、解った、精進しよう」
どうやら五郎は、余りそういった知識は持って無い様だ
❲はぁ、それなら此れを渡しておきます❳
シキはそう言いと、収納から子機の付いた首飾りを取り出し五郎に渡す
❲其れはGPSみたいなものです、いちいち探すのは面倒なので着けておいて下さい❳
面倒くさいのか物凄くざっくりとした説明で終わらせる、五郎は頷いているが…
あっ、と、俺はふとあの二人の子供を思い出す、思い出したついでに伝えとくかと
「あぁ、そういえば、聞いた話だと五郎さんと闘った事が有るらしいんだけど、黒髪の少年と赤髪の少女分かります?
その二人、此方とは別口なんですけど、日本人らしいので一応、教えときます」
「ふむ、見たような気がするが…なんだねその二人を保護でもすればいいのか?」
「いえ、ぜんぜん、まぁでも、五郎さんの情報を教えて貰った恩が有るので、うっかり殺しゃったりしないように、気にでも留めといてください」
そう言いと五郎は「うむ」と頷いている
「まぁ、あの二人に関してはこれでいいだろ」
この辺の者にとって、歩く厄災とでいうべき五郎から殺されなくなったのだから
これで言うべき事は全て伝えたなと思っていると
❲シモンには連絡済みです❳
とシキが俺に近づき五郎を見て
❲では五郎、2年半後に❳
そう言うと、転送が始まる「すまん、迷惑をかける…次こそは……」と言う五郎の不穏な言葉と共に、俺とシキは部屋に転送された




