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「ん、そろそろ夜明けか」
宿の部屋で作業していた俺は、粗方の作業が終わり、外が白見がかって来たので、作業道具をアイテムボックスの中にしまっていた
「やっぱり若い子は疲れるな」
あの後、料理を食べながら2人の話を聞いたのだが、話から推測するに、五郎氏はどうやらこの星基準で相当に強くなっているみたいだな
「でも、確か五郎氏の進化先ってどちらかというと魔法系とか特殊系っぽかったような気がするんよなぁ」
あの2人話が本当なら魔法っぽいものは殆ど使って無いみたいだし
❲まぁ、会えば分かりますよ❳
「そうだなっと、よっしゃ準備完了」
片付けが終わり、必要そうな物をバッグに詰めると、バッグを担ぎその上から外套を羽織る
「じゃ行きますか、合流は街道沿いの適当な所で、あっついでにバイクも収納しといてくれ」
❲了解です❳とのシキの返事を聞きながら部屋から出る
その後何事もなく漁村から出ると、2人から聞いた町に向う為、街道を夜なべして作った異世界でも違和感ない紙タバコを吹かしながら進み始める
太陽が完全に登り切る頃、上空からシキが降りてきて合流する
❲あの2人がこちらを追いかけて来てますよ❳
そんなことをシキが言うので
「あの少年には、怪しまれてたのは分かっとるけど、五郎氏から逃げてきた2人が、其れを探す俺に用があるようには思えないんだが」
なんにせよあの2人とは今後関わるつもりはない
❲どうしますか❳と尋ねてくるシキによれば、移動速度から後30分もすれば追いつかれるみたいだ
「あぁ、無視するからバイク出してくれ」
シキが収納魔法から出したエアバイクにのり
「街道が森林を避ける様に北北西に伸びてるから、西に真っ直ぐ森林を抜けて、適当な所で今度は北に行けばえぇだろ」
方針を決めエアバイクに乗り森林に突入する
「とりあえず、道中に食べられそうな魔物は片っ端から刈っていくか、このままだとこの星だとあのグロい虫の肉が一番美味いって事になる」
あの岩山にいた、デカイ虫の魔物の姿を思い出し苦虫を噛み潰したような顔になる
「それはなんか納得できんっ!から、当面は食材探しでいく、ガキの相手なんかしてられるかっ」
肉の美味しい魔物を求め、俺は森林を突き進むのだった
その頃、街道を急ぐ2人は
「確かにあのアモンって人は怪しかったけど、せっかく此処まで逃げて来たのに」
そう黒髪の少年、シノブは相方の少女に尋ねる
「あの人は、この世界の他の人とは、何か違う気がするんだよねぇ、それにアタシの感が追いかけないとヤバいって言ってんだよね」
と赤髪の少女、リナがこたえる
「感ってスキルの?」
「そう!、もしかしたら帰り方を知ってるかも」
そんな会話をする2人だが、結局アモンを見つけることは出来ず、およそひと月の時間を掛け逃げ出したはずの町へと辿り着いたのだった
2人が町に着いてから、暫くして
❲おそらくあそこが目的の町ですね❳
エアバイクでの移動を止め徒歩で移動していた俺は、街道沿いの妙な石碑の立つ場所から町を見ていた
❲やっとですね❳シキが感慨深そうに言ってるが
❲まだ拗ねてるのですか❳ヤレヤレとリアクションしながらシキが言う
「誰のせいだと…」
そう!いま俺は拗ねているのだ、コイツのせいで
「人が折角…」
何日前、ファンタジーの定番、ドラゴンを見つけ刈った俺は、コイツならばと解体し、肉を食べた「あぁ、間違いなく虫より旨い、これでやっと町に行ける」と思っていると
❲でわ、こちらも食べてみてください❳と解体したドラゴンを調べた後なにかしていたシキが、薄くカットし軽く炙った肉を差し出してきた
「んっこんな色の部位なんかあったか?まぁいいや」
てっきりドラゴンの肉だと思った俺はつい食べてしまった
「うわっ、何これめっちゃ旨いんだけど」とシキの方を見ると、スト×ンガーを虫側に寄せてめちゃくちゃリアルにした様な物が横たわっていた
「まさか…❲なるほど、どうやらこの星は、固体の能力が高いほど食した時の味が良くなるようですね、おやっどうしました?❳おまえぇ!」
せっかくドラゴンで虫をリセット出来たと思ったら、よりにもよって仮面×イダーもどきを食わされ、しかも其れがドラゴンよりも全然旨いとか
❲この個体は強かったですよ、今まで遭遇した他の魔物が比べ物にならないくらい、私もダメージを負いましたから❳
「ふざっ、てマジかっ」シキに切れそうになっていたが、看過できない言葉が聞こえた
❲えぇ、背中の羽なのか魔法的なものによる飛行から空中戦に、私の子機による全周囲からの攻撃も9割躱されましたし、光学系の攻撃は外殻で弾いて防いでました❳
それはすげぇなと感心する
❲おそらく希少な個体なのでなるべく損傷がない状態で回収したかったので、昆虫ならばと子機で囲んでひたすら範囲氷結攻撃を繰り返す事で動きを止める事にしたのですが、それでも動きが止まる迄30分以上かかりましたよ❳
❲まぁ、動きが止まって落下したことで油断したのですが、回収しようと近づいた時に、自爆する様に衝撃波を放ちまして、まさか此方の障壁を抜かれるとは思いませんでした❳
そう聞くとちょっとだけこのライダーもどきが格好良く見えてくるが
「そういう事じゃなくてなぁ」
そう、そういう事では無くシキ、コイツは絶対嫌がらせの為に今のタイミングで肉を出したのだ
❲心外ですね、これはただの知的好奇心です、なのであのゲジゲジもどきより個体値の低い魔物で、アレより美味しければこの検証はしなかった…筈です❳
ということはこのドラゴンは、ゲジゲジもどきよりも強かったのか、瞬殺したので全く分からなかった
「ちっ、ところでこのドラゴン以外にゲジゲジよりも強い魔物はいたのか?」
釈然としないが、まぁいいと他に気になった事を聞く
❲あのゲジゲジもどきは意外なことに個体とし結構上位なのかこのドラゴン以外だと海で刈った海蛇ぐらいですか、あぁ、でもおそらく貴方が吹き飛ばした岩山に、このライダーもどきよりも個体値の高い個体がいたのは観測してますね❳
シキの言葉と共に視界に黒歴史が写し出される
「おっおう…いや、もういいから…」
自分の映像で地味にダメージを受けたおれは、結局シキには勝てないのだった
という出来事があり俺はウジウジと拗ねている理由だ
「クソっさっさと五郎氏に会って、この星とはおさらばしよう」
イライラををおさめるためタバコを取り出し火をつけ一服する
❲そうしましょう❳
そう言い俺たちは町に向う為、歩き出した




