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「ふぅぅ、ちょっとはしゃぎ過ぎたか」
数時間、俺は海岸に到着した、今の俺は鎧を左の小手以外を外し、ジャージ姿に刀身が2mほどあるくせに細身というファンタジーな日本刀を肩に担いでいる
「いろいろ試したけど概ね当初に予定していた性能はだせたな…しかしあの鎧、高性能すぎるだろ…」
海に向い歩き出して少しして岩山の麓に辿り着いた俺は、結構な絶壁にげんなりしながら登れるルートを探すが、直ぐに探すのを止め絶壁を見上げる、高さは大体30m程度、あの竜騎士なら行けるのではないかと「ジャンプ」と呟きながら思い切りジャンプした
「うおぉぉぉこえぇぇぇ!」
ジャンプと同時に背中と脚部のギミックが展開し魔法陣っぽいものがスラスターの様に展開されると、そこから発生した強烈な風が推進力となり身体を更に押し上げる、絶壁を余裕で超える高さまで上昇した所で身体が落下をはじめると自分が高所恐怖症である事を思い出した、というか再認識させられパニックになった俺は「落ちるっ」と焦りながら「とにかく上にっ!」と思った、その瞬間、展開されていた魔法陣が光り[キィィィィィン]という高音と同時に発生した推進力により更に上方へと飛ばされる
これは人それぞれだろうが、俺の場合❲上昇している=落ちない❳となり少し落ち着く事が出来た
それから、落下が始まる前までに急いで落ちない方法を考えていると❲全周囲モード(AC)移行❳と音声がし、背中のギミックが変化し魔法陣が白い2対4枚の翼の様に展開し空中に静止し更に腰部お尻の上から二対の尻尾の様な魔法陣が展開する
「下見るとまだ怖ぇけど、何とか落ち着いたか」
落ちずに静止している現実とこの状況を自分でなんとか出来るという認識が徐々に恐怖を上回っていく、この事でこの全周囲モードの時限定だが、今後、高所恐怖症はでないだろう
「仕方が無いとはいえ、山頂より随分高く上がったな」
眼下には山頂であろう岩場が見えるが
「何か巣みたいなものも見えるけど…おっ海岸線もあるな」
兜を着用時は、視界に任意で上空から俯瞰したマップが表示できるのだが、今は自分を中心した球状のマップに変わっているこの全周囲モードの特徴なのだろう、あと視界の左上に時間が新たに表示され今も減り続けていることからこのモードの制限時間なのだろう
「ん、なんだ?」
突如マップに出現した黄色い光点が赤い光点に変わる、するとピッと瞬時にマーカーが光点をロックし、腰から伸びている尻尾の先端の魔法陣から数本のレーザーの様な攻撃が発生する、更に光点は出現し続ける、その度ロックオンからのレーザーという流れが自動で繰り返される
「デカッ気持ち悪っ!ナウ×カかよ…」
ギチギチ言わしながら飛び出してきたのは、全長10mはありそうなムカデ寄りのゲジゲジの様な物に羽が複数ある虫だったが、ホーミング迄するレーザーを避けられるわけもなくギィィィと言う断末魔を残しバラバラに為りながら撃ち落とされていく
❲全周囲モードにおける重力制御、ギミックと魔法陣の展開、オートコンバットも、問題なく動作してますね❳
何処に居たのかシキ(竜ver)が現れる
❲ステルスモードのテストと、あとは動画撮影ですね❳
翼を広げながら❲なかなか良いシーンが撮れました❳と言うシキの翼に小型の苦無の様な物が複数格納されていく、俺の言いたい事に気づいたのだろう
❲まぁファンネルですね、格好良いでしょうこれで撮影してました、もちろん攻撃にも使えますよ❳
と、わざわざ格納したソレを一基分離し、まだ落下中の虫の残骸に向かわせるとソレの尖端から魔法陣が展開されそのまま残骸を貫くと残骸はボロボロと崩れていった
❲残念ながらカ·インにはスペースの都合上で装備されてませんが、似た様な装備を何種か作ってましたよね❳
戻って来たファンネルもどきを格納しつつそんなことを言うシキは満足気だ
❲あと、その全周囲モードは自らの意志で展開、非展開を選択可能です、それから戦闘をマニュアルかオートかを選択できますがオートがデフォルトですがいつでも変更できます、最後に使用時間ですが基本、内臓の魔力バッテリーを使用していますが、攻撃や想定よりも速い速度での移動などで余分に魔力を使うとその分、使用時間は短くなります、が、使用者の魔力でも代替え可能なので私達の最下級とはいえ神のシモンさえ超える魔力を使用するならば、使用時間が減る事も魔力切れも無いので、使用時は切り替えておくことをおすすめします❳
あぁそうそうとでも言いそうな感じでシキが言う
「そういうのは先に言っとけよ」
高所恐怖症の恐怖を思い出しながら言うが
❲そんなとこですかね、でわ私は先に行きますね❳
と、さっさと行ってしまった
「なんかぁ…むかつくなぁ…」
言いながら戦闘モードをマニュアルにする、腰部の魔法陣がきえる
「腹立つぅぅ!」
魔力バッテリーから自らの魔力に使用魔力を切り替える、魔法陣が4対8枚の翼の様になり更に長さも倍になり色も黒くなる
「クソがっ」
右手の掌を岩山に向け、いわゆる魔力弾を貫通よりも面破壊を意識し放つ、ドンッと爆発と共に衝撃も発生するのもお構い無しに更に魔力弾を放ち続ける、暫く放ち続けていると、気持ちの悪い巨大な虫やら魔物やらが岩山から逃れようとしているのを目にする、逃す訳ねぇだろと岩山を囲う様に地中まで含めた球状の結界を張ると
「これでっ」
並列思考を4つ展開し、それぞれ今の知能で制御できるぎりぎりの魔力量で別々の属性の魔法を構築する、其れに俺が魔法ならではの曖昧なイメージでも効果がでるのを良いことに自分が想像する対消滅のイメージを付与する、準備が終わり後は発射と衝突のタイミングを俺が操作するだけなる
「最後ぉぉ」
そして俺は魔法を放った…………
「はぁぁ、すっきりしたぁ、」
思い切り好きな好きなだけ魔法を放って落ちついた俺は、眼の前の光景を見やる
「自分で思ったよりも高所恐怖症でストレスを感じてたんだな、やりすぎた」
そこには、さっきまで岩山が有った場所に、直径にして数km深さは中心部でおよそ100m以上はあるであろう巨大なクレーターが出来ている
「しかし実際に放ったのは始めてだけどすげぇ威力だったな、しかもあんなのが残るなんて想定外だな」
クレーターの中心部に、縁に浮く俺と同じ高さに、黒い球状の物体が浮いている、今だ全周囲モードを解除してない俺は、ゆっくりと球体に向い飛行する
「しかし、何だこれイゼル×ーンみたいだな、まぁなにかに使えるかもしれんから回収するか」
球体は結構デカく直径10mぐらいあった、近づくと某要塞よろしく表面は液状ぽく流体し薄っすら放電していた、なにかに使えそうなのと、このままにしておくのもどうかと思い、左小手のアイテムボックスに収納する
「今度は迂回していいから地上を行こう」
そう決意しクレーターの縁まで戻ると鎧を左小手以外を解除し全身タイツの様なインナーも上下とも五分丈のインナーに着替える
「現地の人に接触するまではジャージにスニーカーでいいか」
アイテムボックスにしまっていた魔改造した地球から召喚した黒いジャージとスニーカーに着替える
「装備は近接武器をいろいろ試しながら気が向いたら無改造の銃器を使うってことで、まずは…」
見た目は至って普通の木製っぽく見える根を取り出す、まぁ普通なのは見た目だけで材質もファンタジーな合金でわざわざ木製っぽく仕上げている、なお魔力を流すと浸透する衝撃を発生させるなど幾つかの機能があったりする
「突けばなんやらとか言うからな、じゃあ適当に行きますか」
そう言いつつ海のある方に歩き出した
「まぁそんな感じで海に着いたけど、シキは何処だ?」
先に行くと言っていたが、見渡せる範囲にはシキは見あたらない、仕方なく兜だけ着けようかと思っていると、ドンッという音と共に振動が伝わってくる、音したの方を見ると50m程はなれた砂浜の沖に10m以上の水柱が立ち上がっていた
またシキが何かしているのだろうと、砂浜に向うと途中に何回か同じ様に音と共に水柱が立ち上がる、よく見ると水柱と共に魚っぽいものや様々なものが砂浜に打ち上げられている
「なにしてんだ奴は、まさか魚取ってんのか?」
そろそろ砂浜に着こうかという時ザッバァァァンと巨大な海蛇の様な魔物を氷漬けにしたものを足で掴んだシキが海から現れた




