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「えっ」
異世界…そういえばシモンが、地球以外は召喚も転送も出来ると言っていたな
❲だから異世界です、好きでしょう❳
「あぁ…確かにどちらかとは言わずに好きだが…」
シキがこういう時は、何か企んでいる気がするのだが
「でも、俺が居ないと地球にアクセス出来ないんだろ」
そう地球の俺の部屋に繋いでないと作業が出来ないのではないのか
『大丈夫ッスよ!最後に地球から召喚した瞬間の地球の部屋の空間データを保存したッスから、簡単言うとそれをハッキングしてこの部屋のデータと同化させて置いてッスね、次にアクセスするタイミングでデータを置き換えるって感じッス、だからその時までは自由してて良いッスよ死ななければッスけど』
どうやら俺は居なくても良いらしい
❲どうしますか?居なくても問題ないそうですが❳
シキはどうやら俺を異世界に行かせたいらしい、しかし
「でも、もし死んだら拙いだろ?」
❲はぁ…本当の意味で生というものにこだわっているのは、貴方と私ぐらいでシモンも❲私❳も余り頓着していませんよ、まぁ痛いのも死ぬのも嫌でしょうから、いいものを用意しました❳
呆れたようなシキの声の後、ストレージの方からコッコッと足音がしてそれが現れる
❲どうです?、a.pas 003-01 ドラグーンの操縦者として竜を駆り戦う騎士、s.kシリーズ a.ab006-ad01 カ·インです❳
そこには、某名作RPGに出てくる竜騎士そのままの姿のものが立っている
「いやいや、これ思いっきりパクリじゃろが!、そのまんまカ×ンじゃねえか」
身長が160cmほどしか無かったり、槍ではなくそこはかとなく見覚えのあるデザインの両手剣だったり、腰の後に黒い短剣を吊ってたり、よく見ると全体的に少しメカっぽくもあるが、どう見てもカ×ンにしか見えない
❲いえ参考にはしましたが似て非なるものですよ、第一、中は別ものですから❳
シキがそう言うと、竜騎士が左の小手の内側の一部をスライドし何かの操作をすると、兜の部分が真ん中で割れカシャカシャ音を出しながら首の裏辺りに収納されて、その顔が露わになる
「カ×ムじゃねぇか!」
思わず突っ込っんでしまった、剣のデザインの時点でまさかとは思っていたが、しかも俺に合わせたのかご丁寧に2作目の方のカイ×だった
❲違いますよ、まぁドラグーンという機体名からインスパイアされてますから似てますけど左眼もちゃんとありますよ、それに年齢に合わせた外見にしただけですから、もっと若い見た目のほうがいいですか?、用意しますけど❳
「それにカ×ムでもカ×ンでもなくカ·インです、あくまでアーマーを装着した状態がデフォルトなので、ちなみにアーマー装着時は、ドラグーン操縦時に受ける衝撃を吸収できるようになってますし、内蔵している魔力バッテリーか装着者の魔力によつての、対物、対魔障壁の展開、全身数ヶ所にあるギミックによる移動、飛行、あと光学迷彩機能などが使用可能です」
平然とそんな事を言い放つシキ、どうやらコイツは著作権やらなんやらなど余り気にしていないらしい、まぁ確かに異世界での事は地球の人には分からないのだから気にしても仕方ないか、なんだかんだ言っても俺もこの竜騎士を使ってみたいし
「もうそれでいいわ、あっでも向こうで俺みたいにリソースとして変換されなかった人に見られたら困るから髪の色だけは変えてな」
そう現地で稼いだ(たぶんキャラポイント)を搾取される為に神達に送り込まれた人達の事だ
❲分かりました、調整します❳
その返事と共に工房に向かう竜騎士
しかし、もし見られてその人が知っていたら恥ずかしいなんてもんじゃないからな、竜騎士モードのときは光学迷彩を常時発動だな
「ところで話の流れからその竜騎士になって異世界に行くんだろうけど、どうやるんだ」
工房で作業してるであろうシキが
❲あぁ前に私が作ったゲームの最初のゲームがあるでしょう、他は所謂VRであくまで本人の意識を誤認させてあたかもゲーム内のキャラになっていると想わせるだけなのに対して、最初のものは前提条件がありますが、装着した機材の機能で使用者の並列思考から、まぁ少し強引になりますが並列意思を発生させ本体の意識レベルを、まぁここも少し強引にはなりますが最低限の活動が可能なレベルまで一気に下げます、このとき出来るだけ素早く処理するのがこつですが今回は割愛します、そうするとですね分かりやすく言うと私がずっと俺だと思っていたのと同じ様な状態を本体ではなく並列意思側で起こせるのですよね、まぁその機能の検証がメインだったのでゲームとしては最低でしたけど❳
それであの初代ド×クエぽいゲームのゲームバランスがおかしかったのか、でもそれで数ヶ月もゲームを辞められないのは酷いだろう
❲貴方がゲームをしていた数ヶ月の間も本体は食事や排泄、最低限の運動と睡眠を普通にしていましたよ、何も気付かなかったでしょう、とても良いデータが取れましたし問題点も修正済です、なのでこのカ·インを使用しても何も問題ありません❳
まぁ一応の答えは聞けたし、これで異世界に行っても余程のことがなければ大丈夫だろう、まぁ義体化した自分の方が強いのだが其処までするのは面倒いので良しとしよう
❲調整にもうしばらく掛かるので、適当に時間を潰していてください❳
そう言われても異世界に持って行く物も、自作の多種多様なアイテムなどをシキ製のアイテムボックス的な物に入れているので別段、用意する必要もないし、しかもそのアイテムボックス、形をある程度自由に変えられるという優れ物だ
なので、どう時間を潰そうかと思った時、ふと最初に自分が座っていた机以外の机が気になったので軽く調べる事にする
「実は結構な初期から気になってたんだよな他の机」
俺の使った机と外見的には同じなのでさっさとスイッチを入れてみる
「うすうすはそういう可能性もあるかと感じていたけど、これはっ!…ぷっ」
俺は、とりあえず残りの机全てのスイッチを入れてみることにする
「どういう事だ?」
4つの机にはそれぞれ名前やステータスやらが表示されている、最初は他の机は起動時にリソースになり消えたのに残っていたのでスペース的な問題と思っていたのだが、もともとの配置的にいえば最低でも後ろにもう1列あっても良さそうな広さがあるので違和感があった
「まさか本当に他の人と繋がっているとは、だから消えなかったのか、しかしいつの間に…」
俺以外が此処にいたという事実に少なからず動揺する
『あぁ言って無かったッスね』
教卓に座り虚空を見つめながらシモンが言う
『此処を領域化した時解ったッスけど、左門氏が目覚める1日前の出来事ッスよ』
「はあっ1日前ぇ?」
『簡単に言うとッスね、此処に100人召喚しますそして、そのまま画面をとうしてリソースとして変換しますって感じッスね、その過程でッスねまず条件付けとして画面に触れるっていうのが有るんスけど条件を付けた方が効率が良くコストも抑えられるッスから、其れが9割以上の人が画面に触れるってやつでッスね、そこから10分後に此処にいる画面に触れた存在を全てリソースに変換する機能が発動する事になるんスけど、其処の席の4人はさっさとキャラクリして決定を押したんで転送されて無事だったみたいですッスね、でも流石、日本人とでもいうんッスかね、10分で9割の条件を満たしてたッスよ』
「なんだその恐ろしい罠は、俺、起きてたら間違いなくリソースになっとったな」
『それなんスけどたぶん悪運が高かったからだと思うッス、他の4人も総じて悪運が不運よりも高かったッスから、序でに召喚された全員が共通するのはいわゆる運が悪い人ってことッスね、それで4人は直感も高かったッスから結果的に助かった感じッスね、左門氏は悪運が4人よりも全然高かったッスから起きなかったんじゃないッスかね』
何か釈然しないものを感じるが生存できているので良しとしよう