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「それで、消滅は回避できたん?」
『其れがッスね書き換えと隔離と領域化は完了したんッスけど、この部屋のある場所が何ていうか不要になったエネルギーの廃棄場所なんスよ』
要するにゴミ処理場みたいなもんか
『一応、隔離したからあと数年でいきなり消滅するとかはないッスけど、この廃棄空間にある事は変わらないッスからなにかの拍子に、また消滅に向かう可能性があるんッスよ』
当面の危険は回避したが、根本的な解決には至ってないってことか
『それで領域化してこの部屋の詳しい仕様が解ったんスけど、どうやら此処は、召喚(拉致?)した人(生物)から存在値(魂?)的なものとか肉体とかをッスね召喚主(神)の諸々のリソースに変換する為の場所らしいんッス』
思っていたよりも生々しい話だな
『まぁそれでッスね、地球は此処に関わる神達よりも上位の存在が創造したらしくてッスね、中でも人の存在値は神達の世界の人の数十倍の価値があるんスよね、だから此処は地球のもの(人)を召喚してそういう感じにするとこなんッスよ』
やりたい放題だな神
『なんですけど何故か今は、神達の世界(領域?)とは召喚や転送が可能なんスけど、地球とは無理なんスよね』
「なんでだ?」
『たぶん地球側からブロックされてるか、神達側から何らかの理由で繋がりを切ったかのどちらかだと思うッス』
「うん?、でも俺は普通に地球から召喚してるぞ」
『そうそれなんスよ、でもそれは左門氏だけが個人的にもってる繋がりなんス、その証拠にもともと複製である自分も、並列意思だった先輩も地球との繋がりはないッスから』
❲そうですね、知識としてはありますが直接の繋がりは感じませんね❳
なるほど、いろいろな要因からてっきりこの部屋が、地球と繋がっていると思っていた、しかし
「結局それが消滅の話とどう関係するんだ?」
『あぁそれはッスね、その繋がりを利用してこの部屋と地球の左門氏の部屋とを取り敢えず同化する感じ?で出来れば、消滅の心配もなくなるッスし、たぶん心配ないッスけど他の神達からの隠れ蓑になるッス』
シモンの説明を聞き、なるほど其れは良いかもしれないなと思うが
「気になる事が何点かあるんだが、賃貸でも大丈夫なのか、それと第一、300年以上経ってる地球に俺の部屋が残ってる訳無いと思うだが」
そう、俺は意識があるだけでも20年近く此の部屋に居るし、意識のない状態だと300年を超えるのだ、それを理解した時はもう親にも娘にも会えない寂しさや、いろいろな後悔の念を感じずにはいられなかった
❲たぶん大丈夫ですよ❳
シモンではなくシキが答える
❲試しに地球での最後の記憶にある日から、解りやすく1年後に存在するであろう日時の分かるものを、召喚してみて下さい❳
そう言われたので、おそらく召喚?されたであろう日から1年後ぐらいに製造されたポテチを召喚しようしたが出来なかった、その後何回か試したが、日付を記憶より1週間より先に設定すると全て召喚出来なかった
❲300年以上経てば地球でも流石に実用化されてそうな物まで地球以外から召喚しているのを見て、うすうす感じていたのです❳
『廃棄空間に破棄されたのが逆に良かった感じッスかね、この空間の特性なんッスか、こちらからアクセスしている間だけ時間も共有になって、切るとあちらの世界のその時間にピン止めする感じになるみたいッスね』
「ということは、実際の地球では1週間しか経ってないってことか、てか、地球の部屋と同化したらその機能無くなるってことだろ……勿体ないな…」
この特性が無くなるのは非常に勿体ない、なんとかのこせないか
『問題ないッス、そのへんは抜かり無く特性も取り込んでるッスよ、ただやっぱり同化の影響は受けるッスから地球に関しては、1週間ごとに丸1日は繋がって無いと駄目ッスね』
もう解決済みだったらしい、ようやく日本に帰る目処がたった
「よしっすぐ帰ろう、やってくれ」
シモンを急かすように言う
『えぇと…実は部屋の領域化が終わってから直ぐ取り掛かってるんスけどぉ…、流石っ!地球ッスね、いやぁ〜ムズいッス』
またこのパターンかとシモンを見ると、『2ねぇ……いやっ!3年あれば何とかっ』とかブツブツ呟いている
「3年かぁ…どうするかなぁ…」
工房に篭もれば、まぁやることやるのだろうが…、等と考えていると
❲でわ、異世界いきますか?❳
シキが尋ねてきた