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「いや、駄目に決まってんだろ」
急に奪われた主導権を取り返そうと私がいろいろ頑張っているが、主人格の俺が拒否することは、あくまで副人格である私が行うことは無理なんよな
[酷い横暴です、待遇の改善を要求します]
人の口で、いきなりネタくさいセリフをぶっ込んできたな、案外、余裕があるのか?
「シキ、無視でいいから能力値を下げてくれ」
我関せずといった感じのシキに頼むと
❲もう良いのですか、[待ってくだ]でわ、下げますね❳
私が待ったをかけるのも構わず俺の能力値下げる、すると得も言われぬ感覚が襲ってくる
「俺の状態から戻ったからか、前よりキツイな」
前回は私の状態からしかもこちらの意識は切ってある状態からだったので、夢から醒めたら一気に情報が入ってくる感じがきつかったが、今回は
「自分の力が失われていく感覚ってのは喪失感がやばい、泣きそう」
極端に言うとだんだん自分がバカになって行くって感じか?、ただバカであることがわからない程じゃなく、人で言えば知能は高い方という数値だから喪失感酷い
❲泣きそうで済んでる事が結構ありえないんですがね、普通なら発狂してますよ❳
それは多分もともと高い癖にこの場所でも無理なスキル使用などによる脳への負荷で上がった精神のせいだろう
「精神が高いせいで耐えられてしまう感じか」
まだ精神的にはキツいがやることをやるか、システムから新しくメニューに追加された空間エディットを押し削除する範囲を指定して選択しようとしているとシキが工房を片付け始める
❲魔法で収納しておきますね❳
「あぁ」と返事をしつつ範囲指定が終わり決定する
❲削除シマスカ Y/N❳
シキの方も収納し終わったのでYを選択すると、指定していた空間があっさりと消える、もっと時間を掛けて消えるものと思っていたので普段なら拍子抜けしてしまっただろうが、精神的に参っている今はそんな事を気にすることなく画面を確認する
❲空間ノ削除 完了シマシタ❳
❲空間リソース ヲ cp二 変換シマス❳
850,000cp
画面を確認しながら椅子に座り込みながら
「結構な…はぁ…ポイントに…はぁはぁ……ちょっと…限界…はぁ寝るわ」
少し寝ることにした
この神(素体)の時は基本、睡眠、食事などは必要様ないのだが、今回の様に脳に高負荷が掛かった時などは、回復のために睡眠のような事はできる
❲気が付きましましたか?❳
頭の中に、シキの声がして意識が覚醒する、感覚でだいたい寝ていたのは5時間って所だろう、まだ精神へのダメージは残っているが随分ましになった
「あぁ、まだ本調子とは言えないが、問題無い」
椅子を座り直しながら画面を操作する
「シモン行けそうか?」
そうシモンに聞きながら、スキル創造を選択する
『其れなんスけど、部屋が小さく成った事で消滅までの時間も早まったみたいッス』
❲スキル ノ 内容ヲ イメージ シテクダサイ❳
「サラッと重要なこと言ってるけど、間に合うんか?、シキ手伝ってくれ」
今回は2つのスキルを創るつもりなので、シキのサポートを受け2つのスキルの詳細をイメージする
『猶予は5年から7年ってとこッスから、自分とクロのサポートでぎり5年ってとこッスかね』
ハッキング
超級スキル
あらゆる情報ネットワークを乗っ取る(スキル使用者の能力依存)
ストレージ
上級スキル
使用者の神力で構築された倉庫(使用に関しては魔力でも可)
「其れなら、cpでブーストすれば行けるだろう、序でにこのスキルも覚えたらいい」
スキルを創造して追加していく、シキのサポートを受けているおかげで一連の過程が非常にスムーズだな
『このハッキングってやつッスか、了解ッス』
ハッキング 100,000cp(p)
超級スキル
あらゆる情報ネットワークを乗っ取る(スキル使用者の能力依存)
シモンは、スキル選択からスキルを取得すると、さっそく何やら試しているようだ
「後は、俺がこのストレージを取得したら、始めるか」
ストレージ lv.1 5,000cp
上級スキル
使用者の神力で構築された倉庫(使用に関しては魔力でも可)
俺も同じようにスキルを取ると、そういえば忘れていたとばかりに、ステータスから年齢を56から45へ戻し、種族を人(地球)にする、種族を変えた事で前に覚えたスキルが復活する
「ふぅ、これでいいか、シモン始めるか」
『いよいよッスね、クロ行くッスよ』
そうシモンが言うとクロが❲ニャッ❳と鳴きシモンの頭頂部しがみつき、2本になった尻尾をこめかみに接続する、シモンは何故か座禅の様な格好になる
始めた様なのでメニューに追加されたブーストを選択する、すると部屋の中で使用されているスキルが表示される
使用中
吸収 0cp ハッキング 0cp
と表示されたので、数値の所に触れ最大まで上げてみると吸収250,000cp、ハッキング1000,00cpまで上げることができた(ちなみに一度上げた数値は下げられなかった)
❲ニャニャニャッ!❳
スキルのブーストのせいか処理が追いつかなくなりそうになって焦ったのだろうクロは、背中からコードのようなものを2本伸ばしシモンの額貼り付けると❲ニャ~❳とほっとしたような感じで顎を頭にのせていた
「取り敢えず上手く行きそうだな」
椅子にもたれてほっとしていると
❲だいたい予想は付くのですが、これからの予定は?❳
「趣味と人らしい生活だな、先ずストレージを造って中を工房と生活空間にする」
ストレージは時間停止とか容量無限とかリスト機能そんなものは一切無いけど、使用者のいる空間と入口を固定している間は中で生き物も活動できるようにしてあるガレージの様な倉庫で広さはスキルレベルに依存する、要するに狭くなってなくなった工房の代わりだな
「さっそくストレージを造るか、シキ、神力のサポート宜しく」
神力とは魔力と霊力と気力の全てがそれぞれ100を超えると発生するのだが、知能を下げた今の俺では扱う事は出来ても制御することは難しい、なのでシキにサポートを頼む
❲了解です、所で私の工房も置いて良いのですよね❳
教卓の奥の壁に向かってスキルをイメージしながら集中すると無駄に神秘的というか厳かなオーラの様なものが体から発生し、壁に向いスキルが発動する
「良し、ちゃんと発動したな」
スキルの発動が終わりそこには高さが2m程度幅3m程度の金属製ぽいスライド式のドア現れた、早速ドアを開けなかを確認することにする
❲ふむ、設定したどおりの広さですね、これなら両方の工房も置けますね❳
❲設置しますね❳と返事も聞かず、シキが魔法で収納した工房セットを設置し始める、まぁスキルレベル1でも10×10の広さに高さも3mあるはずなので広さは充分あるはずだろう
「奥のスペースは、空けといてくれよ」
嬉々としているシキに言いながら、これから数年過ごすのに必要なものを召喚するための準備に入る事にした