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「それで、コイツはサポートに使えそうなのか?」
リッチの手の平で尻尾を増やしたり、伸ばしたり、動かしたりして動きを確かめている黒猫を見ながら尋ねる
❲シモン、どうですか?メインの素材は、貴方の髪で出来ているので接続は可能な筈です❳
シキに促されたシモンは、黒猫へと手をのばし頭を撫でる、暫くそのまま撫で続けていると、❲ニャッ❳と鳴きシモンの肩に飛び乗る
❲ニャニャッ❳
今後は尻尾を2本に増やしシモンの左右のこめかみ辺りに伸ばしてくっつける
『おぉ、こんな感じッスか……確かに処理速度が段違いッス!これなら勝つるッス』
シモンが脳内でいろいろ試して満足していると❲ニャフン❳と猫も心なしか誇らしげだ
❲問題は無さそうですね神(na「クロ!」❳no)…❳
思わず言ってしまったが
「黒猫だからクロでいいだろ、なっクロ」
俺がそう言うと、黒猫はこちらを見て❲ニャン❳と肯定するように頭を上下に動かす
❲いえ、神『クロ、宜しくッス』(nano)ニャァ…❳
クロは、シモンに向い右前脚を上げて挨拶に答えている
❲クロ……宜しくお願いしますね❳
諦めたらしいシキが挨拶する、❲ニャ❳とクロが短く答えていた
さて、これからシステムのバージョンアップを行なうのだが、今の能力値のままではバージョンアップに掛かる時間が膨大になるだろう
「仕方ないか、シキ、バージョンアップの際は能力値を最大迄上げてくれ」
❲いいのですか?前回の時は下げるのにだいぶ葛藤していましたけど❳
「あぁ自分の事だから何もなければ絶対もとに戻ろうとはせんじゃろ、だから今回は仕方なくそうするっつうのを魂に刻んどくわ」
時間を掛け過ぎて、間に合いませんでしたなんてのはアホらしいからな、そういう事を強く刻んどけば多少は戻りやすくなるだろう
❲解りました、ではそのように、後、私もサポートするので時間は左程かからないでしょう❳
シキの返事を聞きながらシステムに触れる
❲システム ノ version up ヲ オコナイマスカ❳
シキによるものでしょう、久々に私に戻ります
❲内容ヲ思考シテクダサイ❳
感慨深いものを感じつつも、俺が設定した項目の能力値不足による拙い部分を、追加、修正しつつ思考します
❲ヨロシイデスカ?❳
「シキ、サポートお願いしますよ」
イエスと思考する
❲デワ初メマス❳
急激に脳に負荷が掛かり始めるます❲想定内、問題ありません❳シキの思考が流れ暫くして脳への負荷が軽くなりました、これなら会話に思考も回せそうです❲安定しました❳シキの報告が入ります
「この感じだと…およそ1年という所ですか」
❲そうですね、俺だけなら最低10年、私か❲私❳単独なら3年といった所ですね❳
私の出した予測と同じ予測をシキが出すのを聞き、今では私よりも能力値が高いであろうシキと同じ予測であることに安堵します
「少しだけ歯痒いですね、あのとき直ぐに私に戻っていればシキとの差も無かったはずです」
そう、素は私の並列意思で私と同じ存在だったシキに、劣っている現状に歯がゆさを感じているのです
❲まぁそんな事は余りきにしても仕方ないでしょう、私は素材の都合上能力値の上限があり、貴方には知能と一部能力値に関しては上限自体がないのですから❳
何でしょうシキからヤレヤレといった思考が流れてきます
「其れは、理解していますが確実に上限が見えてきた段階でシキは、上限を何とかしようとするでしょう」
❲それはそうでしょう、❲私❳は私だったのですから❳
「私は❲私❳ですか……」
妙な言い回しに違和感を覚え、思考が纏まらなくなりそうになったその時
[作業に集中しろや……シキも]
私では無い私の声が口から出、強制的に作業に集中させられます、❲申し訳ありません❳とシキも作業に集中するようです
❲キャラクタークリエイトルーム version α4.12❳
❲キャラクタークリエイトルーム内 デノ 特定ノ者 ノ スキル ヲ cpデ ブースト 可能ニ❳
❲キャラクタークリエイトルーム ノ cpニ ヨル 拡張 追加 縮小 削除 ヲ 可能ニ❳
❲キャラクタークリエイトルーム ノ 縮小 削除 ジノ リソース ヲ cpトシテ 回収❳
❲p カラ cp ヘノ 変換率 50%❳
❲cp カラ p ヘノ 変換率 100% (神ノ 因子ヲ持ツ者ハ適用外)❳
❲構築ニ 50,000cp 使用シマス❳
❲完了シマシタ❳
❲キャラクタークリエイトルーム version α4.12 起動シマシタ❳
ほぼ全ての能力を作業に当てられた事で、1年の予定が10ヶ月ほどでバージョンアップが完了しましたが、今は…
「そんなことはいいのです、作業中、考えましたがそう云うことなのでしょう」
❲貴方も気付いてはいたのでしょう?❳
シキが問いかけてきます
「………」
❲そもそも知能が上がったからといって、一人称を俺から私にする必要もないですし、敬語である必要も無いでしょう❳
❲それに本人は、もっと面倒くさがりですよねシモンを見れば解ります❳
今もクロ寝転がってクロと戯れているシモンを見ます
『えっコレはクロと自分の、接続やらなんやらが上手くいくためのコミニケーションッスよ!』
サボっているのでは無いと誤魔化しています
「なら私は何なんですか」
今迄感じたことのない感情が溢れそうになります
[まぁ、簡単にいうなら俺が作り出したもう1つの人格、てか、いわゆる2重人格って奴?]
今までの流れからすると俺だと思われるモノが私の口で答える
「何故あなたが認識出来ていて、私の方が今まで認識できなかったのですか?」
[多分じゃけど、私の発生が自然過ぎたから?、あの時知能の中のどれかの能力値だけをいきなり100にしてたら、俺も気付けなかったと思う、だけど各能力値を均等にしかもお前も感じたように、上げる順番が良かったのか理解を100に上げるまで俺も私を俺と思ってたんよ]
「そんな筈は…」
[でも100に上げる前になんて言ったか「危ない思想主義者…」そうそう、その時に思ったんだよこれは俺の思考じゃないって、だからその言葉がでたんだ]
私は知能が上るなか抑圧される感情、そう只の感情だと思って、もちろん私しか居ないのだから私の感情だと…
「あら、主導権がこっちになっとるがまぁえぇわ、そこからは、ずっと違う人格として認識出来とるな」
ただ俺としては、知能を上げた状態の時は私がメインで居てくれた方が楽なんじゃけどな
「それに基本的には、知能を上げた状態の時は俺なんていうか寝てるような状態じゃから」
「なるほど、こんな感じですか」
俺に渡していた主導権を私に戻してみます、これは認めしかありませんね、私が第2人格で在ることを
「しかし、この状態でも俺を維持できるのですネ」
なら俺のままで良いのではないでしょうか?
[いやぁ、さっきも言ったけど楽なんよ、それに俺を俺のまま維持するの地味にしんどいし、知能は上がってるから意識を覚醒させてる時間が長いほど、戻った時の喪失感とかもどかしさとか酷いっぽいから]
なんとも酷い言い草ですね
「でわ、寝てていいですよ、シモンの仕事が終わるぐらいまで」
別人格と認めたからでしょうか、其れなら多少は私のため時間を貰う事もいいと思えます