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思わぬ事故(猿きっかけ)

初投稿です。

頭を空っぽにして読める読物を目指しています。



失っていた意識が段々と覚醒し始める。

薄く広がっていた何かを一箇所に集める様にして、私はなんとか目を開けた。

なんだか感覚がぼんやりとしていて、まるで自分の身体では無い様な感じがする。麻酔が抜け切っていない様な不安定な感覚である。


動かしにくい身体に苦労しながら周りを見渡してみたけれど、予想していた様な場所では無かった。

麻酔が抜け切っていない感覚からてっきり病院のベッドの上だと思っていたのだけど、そもそも私は寝た状態ではなく立っていたし、もちろん私のいる空間は病室でも無かった。


(なんだろうな、此処は。

例えるなら雲の上、的な?)


私は立っているけど、しっかりと大地を踏み締めている感覚は無い。


(よく言う天国ってやつ?)


《の、手前という所か》


突然、自分以外の声とも意識とも言えないものが流れ込んで来た。


私の前方に薄っすらとした何かが集まり、段々と姿形がハッキリ見えて来る。

そう、それはもう、猿である。


(...猿)

(猿だなぁ)

(神様って猿なのか...)


突然現れたのは猿だが、猿は日本語なんて話せないはずなので多分私が知っている猿では無いのだろう。


《神と名乗るつもりは無い。

私は君に贖罪に来たのだ。》


なんだかとても仰々しい猿である。


(贖罪?)


《そうだ。まず、君の魂は君の身体から解放されている。》


(魂が身体から解放..、あー、つまり、死んで?)


《そういう事になる。》


その言葉に、私は自分に起こった事を思い出してみる。


――そう、今日はとても天気が良くて。久しぶりに1人で買い物に出たんだった。

夫に子供の事を頼んで、ゆっくりするつもりだった。

最近連日入る地域の防犯メールに、猿の目撃情報が並んでいたのは知っていた。

でも自分達の活動範囲からは少し遠かったし、あまり関係の無い事だと思っていた。


駅に向かうのに自転車に乗っていた。

公園の側を通りがかった時、そこに捨ててあるゴミを漁る猿を見つけた。

あの猿だ!と思った私は咄嗟に声が出てしまい、猿と目が合ってしまった。

そう、目が合ってしまったのだ。

猿と目を合わせてはいけない!と思い出した時にはもう遅く、猿が飛び掛かって来た。

すぐに自転車を走らせようとしたのも悪かったのかもしれない。

猿の攻撃への恐怖と焦りから足はもつれ、バランスを崩し、頭を強く打ちつけた。ー



(私の死因...猿...?)


《そういう事になる。いや正しくは猿がきっかけの事故ではあるが。》

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