第三幕 出会い㊁
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目が覚めるとそこは白い空間だった。白くて何もない場所。仰向けから起き上がって、上下左右見渡しても全てが白なのでどこが天井でどこが地面なのかわからなかったが、自分がその空間に座っているので地面はあるらしい。
「いったい、ここは…」状況が掴めない僕は動くことも出来ずただただじっとしているだけだった
「む?起きたか」背後から声がした。
振り返ってみると僕より背が小さく大きな髭を蓄えた老人がいた。服装は何故か白いtシャツに短パンという自分の容姿には一切似合ってない服装をしていた。
「あ、あの、ここは…というか、僕は死んだんですか?」
「何を言っておる、死んではおらんぞ、わしが助けたのじゃ」
あまり状況は掴めないが、どうやら斬られる寸前でこの老人が助けてくれたらしい。
「あ、ありがとうございます。 でも何故僕なんかを」
「まあ、ちょいと孫のためじゃ」
「孫?…それより爺さん僕をもどしーードーン!!
僕が爺さんに戻してくれるのか聞き終わる前になぜかこの老人は僕を殴ってきた。しかもめちゃくちゃ痛い…
「痛い痛い痛いーーー!!!!なんで殴るんですかー!!」
「うるさいのぉお主、それくらいで騒ぐでばい」
「そのくらいって威力じゃないですよ」
「だいたいお主今ワシのことを老人と言ったじゃろ!」
「え、だって見るからに老ーーードーン!!
「次言ったら殺してしまうぞお主、命の恩人であり、仮にも神であるワシに老人とはけしからん!」
と老人は言った。
「え、神?神様なんですか?」僕は聞き間違いかと思い聞いてみた。
「そうじゃよく聞けワシはーー
老人は左手を腰に当て右手を上に上げ一番のポーズをとって言った。
「ワシは神である。名はゼウス」なぜか老人は物凄く胸を張り、威張った風に言ってきた。
だがしかしあのゼウスなのか?全知全能と言われた。
「ほんと何ですか?」僕は疑っていた。
「嘘だと思うのか?」
「だってその格好じゃ」僕はもう一度老人の服装を見た。流石にあのゼウスがこんなtシャツに短パンはないと思う。
「ではお主を助けた落雷はどうじゃ!あれ、ワシがやったんじゃ」
「まぁ、確かにそうですね」
少し疑ってはいるがあの強さの邪心を一発で倒したのを見るとかなり強い神様ではあると思った。でも本当にゼウスなのだろうか。そんなことを考えていると老人は僕の方を見ていった。
「命を助けた恩として一つお主に頼みたい。」
「なんですか?」
「お主はまだ神との契りを交わしておらぬようだ」
契りとは神様との契約みたいなもの、契りを交わすことでその神様特有の能力をもらえたり、身体能力が強化される。
「わしの、孫を頼む」なんてなことを老人は言った。
「えぇ?!孫?!た、たしかに僕は契りは交わしてないですけど別に交わしたくもないんですよ!」
「わし、命の恩人なんじゃけど?」
老人はこちらを見下しかなり怖い顔で言ってきた。今まで一番オーラがある。これならゼウスと言われても信じるレベル。
「それに、お主も今回でわかったであろう、正直今のままでは到底主神には勝てまい…先程戦っていたのですら主神ではないからな」
「えっ?あれで主神じゃないんですか?…」
「そうじゃ、お主は何やら達成せなばならぬことがあるだろう。しかしそれは今のままでは限界があり達成することは不可能であろう。それにお主はどこか部隊に所属するようなタイプでわなさそうだしのちょうどよかろう」
僕は考えた。
今日戦ったのが主神ではない。なのに僕は一歩も足が出なかった。この老人が言ってることは間違えなく正しい。僕には達成しなければならないことがある。そのためには…
「確かに…そうですね。わかりました!あなたのお孫さんと契りを交わします!」
「うむ、そうかそうか!良い子じゃ良い子じゃ」
さっきまでの怖いオーラから一気に優しい雰囲気に変わった。
「では、お主を戻そう。」
そういうと僕のいる真下に黒い円が出てきた。
「あ、そうじゃ、もしワシの孫に何かあったら許さんからの。ワシはいつでも見てるぞ。」
そう、老人が言った途端僕はその黒の円の中に落ちた
「ちょ、待って下さい、
まだお孫さんのこと聞いてーーー
「あとは孫に聞いてくれ〜じゃあのー」
黒の円に落ちていく途中そんな声が聞こえた。
そして僕はまた、気を失うことになる。
くそー出会い編終わんなかった〜