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prologue ―歴史―
天使が住まう天界の王国、アスガルド。
下界に住まう死神が統治する帝国、ヘルヘイム。
両国――天使と死神は、古よりずっと忌み嫌い合い、殺し、殺され、全てを奪い合っていた。
その理由は、誰にもわからない。
どの歴史書にも、争いの理由など書き残されてはいなかったから。
誰も争う理由など気に留める事もなく、
ただひたすらに歴史は繰り返されたのだろう。
まるで本能がそうするように、差したる理由もなく、
当たり前にお互いを嫌悪し憎しみ合って、今でも闘い続けている。
その戦いは、これまでも、これから先も、
きっと終わることはない。そう思っていた。