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笑いの形‐WARAKATA‐  作者: らい
第一部『彼らの日常は日常とは程遠い』
3/16

第二輪:『怪しい館』

電車で執筆中なのですがめっちゃお花摘みに行きたくて仕方ないです、まだまだ電車は着きません……。詰みました……。

第二輪始まりました!楽しんでいただけたら幸いです!では、始まり始まり~!

 何やら怪しげな金属音が洋館の中から聞こえ、莎子達は洋館の中へと入るのだった。

さこ「なに……これ?」

  中へ入った三人はただただ驚くのだった。入ってすぐの所には二階へと続く大きな階段、大きなエントランス。飾りはあまり派手すぎず全体的に白を基調とした洋風で清潔な内装。しかしそんな内装に驚いたのではなく、その綺麗な洋館の中に無数に交差する鎖。明らかに場違いである鎖だらけの室内に三人は驚いた。これは先程中から聞こえた金属音に関係しているのだろうか。

みき「せっかく素敵なおうちなのに何この鎖──」

さこ「みきりん、むやみに触ったらだめ……」

みき「きゃあ!?」

──ビリッ──

 莎子の忠告虚しく、鎖に触れようとした未來に、何処からともなく伸びてきた鎖が未來の身体全体に巻き付く。そしてあまりにも勢いよく巻き付いた鎖により、運悪く未來の服の胸元が破けてしまう。

みき「きゃー!? ちょ、ちょっとー!」

  すぐさま手で覆い隠す未來だが、莎子は颯爽と未來に着ていた上着をかけてやる。

みき「ありがとう、さっつん」

  半泣き状態の未來は莎子の優しさに感謝する。しかし未來に上着を貸したことによって、莎子は中に着ていた黒のチューブトップだけになってしまう。

礼央「さ、さっつんこれ着て!」

  目のやり場に困る礼央は自分の着ていた上着を莎子にかける。見ないように、顔を赤らめながら。男ならば未來の方がそそられる格好、更に豊満な身体にも関わらず、礼央の脳内は莎子の控えめな方でいっぱいらしい。

さこ「でも、ぶかぶかだし」

  礼央の身長は179センチ、莎子は157センチ。大分ぶかぶかの状態に着にくいと言う莎子。しかし礼央に仕方なしに上着を着せられた莎子だったが、そもそもこんな面倒なことになった謎の鎖に目が行く。

さこ「全くこれなんなわけ? ……わ!!?」

礼央「さっつん危ない!!! うわあ!!!」

  鎖に向かって不満を垂れようとしたさっつんにまたもや襲いかかる鎖。それを助けようとした礼央も虚しく、莎子と二人で拘束されてしまう。更に莎子と礼央は向い合わせの状態で、礼央は体勢を崩し膝立ちになってしまったことにより、ちょうど莎子の胸の辺りに顔を埋めてしまったのだ。

礼央「うわ、ご、ごめんさっつん! わ、わざとじゃなくて! あの! えっと!」

さこ「ちょ、礼央、あんま動かないでっ、くすぐった、いっ」

  どうにか離れようと焦る礼央は動こうとするが、その動きにくすぐったさを感じてしまう莎子。礼央は顔が赤くなるばかり。

みき「もー! どうすればいいのー!!!」

 ──コツコツコツ──

  未來が叫んだその時だった。真ん中の大きな階段から人影が一つ、降りてくる。

?「あれー? なんか面白いことになってんね。遠くで操作してたからあんまよくわかってなかったんだけどさー」

  くくっと笑いながら出てきたのは見た目でわかるとてもチャラそうな男。髪は肩よりも長く、所々ワックスで散らしてはあるが、まっすぐのびた綺麗な紫色。目はたれ目の黄。

さこ「あんた何者?」

  明らかに怪しい青年をキッと睨み付ける莎子。

?「んー、どうしようかなー。教えようかな、やめとこうかなー」

 青年は曖昧な感じで楽しそうに莎子達の周りをぐるぐると歩く。

礼央「なんでも良いけど、早くこれほどいてよ!!!」

莎子と密着状態の礼央は気が気ではなく、早くほどけと青年に叫ぶ。

?「えー、君それ中々良い状況じゃない? オレに感謝してほしいくらいだけどー?」

 にやにやしながら青年は礼央の頭を莎子へと更に押し付ける。

礼央「んん!!? んんん!!!」

さこ「ちょ、ふざけたことすんな! 礼央が息できないでしょ!」

 ここは息とかそういう問題でもない気がするが、莎子にはそちらのが問題らしい。青年はくくっと笑いながら礼央の頭から手を離すと、息荒く礼央は青年に怒っているが青年は知らん顔。

みき「てゆーか、君は本当に誰なの?」

?「ふふふー、それはねー……」

 青年はふっと微笑み、先程降りてきた階段を二、三段上がり言った。

礼「オレの名前は今礼(こんれい)。君達この屋敷に呼ばれたんでしょ? オレもその一人、所謂仲間ってわけ。んで、この鎖はオレのリレイションパワー、リレパが鎖の今礼君でーす!」


 ◆◆◆


礼「いやー、ごめんごめん。ちょっとイタズラして親睦深めようかなーとか思ってたんだよね」

  あれからすぐに礼のリレパであった鎖を解除し、未來は破けた服を着替え、一旦一階の談話室。赤を基調とした部屋の中に赤い大きなソファーに礼以外の3人がそれぞれ腰かけている。礼はソファーにもたれるようにして立っていた。

みき「ちょっとじゃすまないよぉ! みきの服破けちゃったんだよ? お気に入りなのに!」

礼「ごめんて! 今度一緒に買いにデート行こうぜ?」

  礼はもたれかかっていたソファーを離れ、未來の横へと無理矢理座り肩に手をまわして抱き寄せる。

みき「ちょ! ちょっと!」

さこ「みきりんに気安く触るな。殴るよ?」

  あまりにも馴れ馴れしい態度の礼に莎子は怒り、凄い顔で礼を睨み付ける。そして首もとを掴み未來の横から退かせる。

礼「妬いてるの? もしかしてオレのこと好きになっちゃった? うーん、今日は先約があるから相手してあげられないけど、明日の夜なら暇だよ?」

さこ「こいつ、殺す……」

  あまりの礼の態度に莎子は更に殺気を放ち今にも殴りかかりそうな勢いである。

礼「とりあえず君達の名前教えてよ。なんて呼べばいいか不便だしさ!」

  礼は莎子の殺気には気づかず、勝手に話を進めていく。そんな礼にもう呆れ果てたのか、まず未來が口を開く。

みき「じゃあ、改めて小葉凪未來(さよなぎみき)です。あだ名はみきりん! 出来ればあだ名で呼んでほしいかな。十七歳。リレパは風」

  そう言った未來は手のひらの上で小さな竜巻を操る。更に礼に手をかざし、何やら唱えると礼の周りだけ勢いよく風が吹き、礼の髪が大いに乱れた。あー! っと叫んで髪を直す礼を見て未來はなんだか満足気。そしてそんな礼をお構い無しに次に礼央が喋りだす。

礼央「オレの名前は青山礼央(あおやまれお)。呼び方は特になんでも。十八歳だよ。リレパは大地。そうだなー、あ、見てて」

  礼央は談話室の暖炉の近くに置いてある大きな枯れかけた観葉植物に近寄る。髪を直しながら礼がそちらを向くと、礼央は観葉植物に手をかざす。すると緑の光が放たれ、みるみるうちに枯れた観葉植物は元気になり緑を取り戻す。礼はおおーっと感心の声をあげた。そして次に莎子の番だが、先程からの礼の印象が最悪なため、とても話したくなさそうだが、嫌々話し出す。

さこ「……あたしは夜宮莎子(よるみやさこ)。あだ名はさっつん。十七歳だけど学年的にはみきりんのが一個上。リレパは闇」

  そう言った莎子は勢いよくすっと腕を伸ばして手をかざし、礼の隣にブラックホールの用な空間を一瞬で作り出す。人一人簡単に飲み込めそうな大きさ。

礼「あ、あのー莎子さん? これは、もしかして」

  突然現れた大きな暗闇に礼は恐る恐る莎子に問いかける。

さこ「ふっ、お察しの通り、それはブラックホール。みきりんに手出したらそこに突っ込むから」

  莎子はとてもにっこりと礼に笑いかけるが、それは良い意味の笑顔とは程遠かった。礼はははっと乾いた笑顔をするしかなかった。

礼「さ、さっつんにみきりんに、礼央ね! んで、さっきも説明したけど、オレは今礼。年齢は十八歳、リレパは鎖!」

  礼は立て直すように会話をはじめ、リレパである鎖を手のひらから生成する。それを自在に操る。

礼「さっきやった通り、一応遠隔操作は出来るんだけど、遠くなると完璧に把握は出来なくなるんだよねー。目の届く範囲なら自由自在」


 ◆◆◆


礼央「さっつん、みきりん、礼、オレを合わせて四人だから、あと二人だね。礼は残りの二人と知り合いだったりするの?」

 各々自己紹介を終えて少し雑談をしていると、礼央がそういえばといって少し感じていた疑問を礼に問う。

礼「あー、一人は幼馴染みなんだけど、もう一人は知らねーわ」

みき「そうなんだ。じゃあもう一人の人は何処に行ったの?」

礼「オレ達昨日からここに着いててさ。お互い自由行動してたから何処行ったかなー? 多分庭でトレーニングでもしてんじゃねーの? あいつ筋肉マンだからさ」

  くくっと礼は笑う。筋肉マンと言われ礼以外の三人はゴリマッチョを想像するが、そんな人とやっていけるかと心配になるのであった。


  そうして一行は礼の案内のもと、もう一人の仲間を求めて庭へと向かうのであった。


  ──続く──


──次回予告──

礼「オレの活躍皆見てくれたー?」

さこ「……」

礼「さっつん睨まないでよー! 可愛い顔が台無しだぜ?」

みき「……」

礼「うわー、みきりんまで睨んでる! ねぇねぇ、まだ二話しかやってないのにオレの扱いひどくない!?」

礼央「次回笑形第三輪:「これからと、秘密と」」

礼「見てくれないと女の子はちゅーしちゃうぞ!」

さこ「次回から礼はいません」

礼「えええーーー!??」


2017/09/16

2024/06/04(最終加筆)

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