決死の覚悟
朝、目が覚めた俺は辺りを見渡す。うん、いつもの怖い顔面の寝顔が見える。しかし今日はよく眠って…ん?眠って?
………ッ?!
眠った?俺がか?!
いや確かに睡眠が必要無いと思っていたのは俺の主観であり、もしかしたら数ヶ月に一度眠りが必要な身体とか?
いや、だが確か昨日はいつもの日課で調合に専念して…。待てよ。確かその後、後ろから誰か近付いて来て…。
んんー。寝起き?だからか頭が回転しない。
そう思って、いつもはサラッと確認する程度のステータス画面に俺は固まってしまう。
個体名:ミスト Lv.0
真名:無し
種族:リビングデッドミミック
属性:無
固定称号:蘇生者
変動称号:絆を深める者
職業:盾、スライムマスター
固有能力:
『詳細鑑定』
『成長する収納』
『薬効調合師』
『眷属召喚』
『修復再生』
『構成変化』
能力:
『竜巻頭突き』[+縦横回転+高速移動+閃脚]
『完全擬態』[+透化+周囲擬態]
『一括整理』[+分割整理]
『進化予測』[+過程超過]
『念話』[+複数会話+遠話]
『個数把握』[+自動集計]
『状態異常無効』[+毒+酸+雷+魅了+魂魄]
『状態異常耐性』[+睡眠+麻痺]
『能力補正』[+回避+命中]
『技量開示』[+強制開示]
魔法:
【無属性】
『道具弾』
『爆裂道具弾』
『拡散道具弾』
『状態異常耐性』だって?!いつの間にこんなん取った?
オードとユキのステータスも確認してみれば、なんとユキにも同じ能力が備わっている。
オードは取得してないが、これまでの経験からオードは耐性系を覚え無い疑惑がある。代わりに自身の力で無効化したりする訳だが。しかし俺達に耐性が出来たって訳は、どうやら寝ていた間になんかされたってのが可能性大だ。
昨日の記憶からしても、絡んできた阿呆はいたが接触まではされていないし、そもそも睡眠や麻痺なんて魔物でも無いのにどうやって…。街中には奴隷の魔物は居たが。
なので、ユキにも俺にも同じ能力が備わったところを見るに、寝ている間に何かされた可能性が一番高くなる。
しかし、睡眠と麻痺耐性か。てっきり俺は睡眠しないものと思っていたけれど。夢とか見なかったし。きっとノンレム睡眠的なやつなのかな?
とりあえずオードとユキを起こそうと揺すってみるが反応が無い。二人を見るに、どちらかと言えば気絶に近いような気がする。なるほど、つまり俺は眠った訳じゃなく気絶させられていた可能性が浮上してきた。
睡眠と気絶は違う。
睡眠は意識があるが気絶には無い。
つまり俺は寝落ちしていたといつから錯覚していた?ただ気絶していただけだよん。多分だけど。
前々から思っていた事だが、この能力名は名前通りの効果じゃないものが多い。確かフェリエに聞いた身体強化の効果もそうだ。何でこんな名前なんだろ。名付けた人の見栄なのだろうか。
一応と思って向かいの部屋のドルガを起こそうと扉を叩くが返事が無い、ただの寝不足のようだ。いやいや。
フェリエの部屋も同様で返事は無かった。
宿屋横のちんまい牛舎のケビンJrの様子を見てみるが、同じく耐性を得ているし気絶もしていた。
もう一度宿屋に戻り、店主にドルガとフェリエの部屋の鍵を借りる。店主も俺達に害が無い事が分かったのか、普通に貸してもらえた。
そうしてドルガの部屋を開けると、そこには白目を剥いてベッドから落ち、肩で逆立ちしてるような姿で気絶しているドルガの姿。オードより顔芸が出来るとは…コヤツ、やれる。
一応安否確認は出来たし、続いてフェリエの部屋を開ける。
フェリエはどんな顔芸を見せてくれるのか、気分は寝起きドッキリのリポーターである。そんな感じでちょっぴりワクワクしつつ開けると…そこにフェリエの姿は無かった。
しばらくして俺は気付け薬を調合する。これもカニスから教わってはいたのだが、これの材料にその状態に掛かった人の血清が必要だったが為に作る事が出来ないでいたが、今はとても都合がいい。
オード、ユキ、ドルガ、ケビンと順に少し肌を切り血を貰う。
ちなみに今全員俺の中に収納している。俺の固有能力である『修復再生』で回復出来ないかとかと思っていたが、これは傷や怪我限定のようで、元に戻す効果も状態異常だと効果が無いようだ。
これが毒や火傷ならば傷と判断されるんだろうが…。て事は俺の能力を知る者、つまり内部犯か?
まあそれは後でいい。とりあえず切り傷は能力で塞がったので、回復薬に気付け薬を混ぜ飲ませていく。
全員ビクンと身体を跳ねさせるもんだからビックリしたじゃないか。畑で作業中のライムも若干ビックリしてた。かわいい。
程なくして全員が目を覚ます。オードとユキは虚ろに辺りを見渡すが、俺の中に収納されているのが解ると何か起こったのかと状況を聞いてくる。
逆に収納初体験のドルガとケビンは、「なんじゃこの素材の山は?!」「ギャウゥー?!」とか言ってる。身体がビリビリ響くから大声は控えてほしいものだ。
とりあえず、起きてからの一連の出来事、フェリエの所在が不明な事、誰かに毒ないしそれに付随する能力か何かで全員が気絶させられていた事などを念話で伝えていく。皆には慣れっこだが初体験の二人は「頭から声が?!」と叫んでいる。静かに聞いてほしいものだ。
「とまあ、これが皆が起きるまでに起こった出来事だな」
「じゃあフェリエさんは居ないんだね」
「じゃったらその商人が怪しいな」
「なっ。フェリエさんは優しい人っスよ!」
「優しい優しくないは関係ないわい。現状でその商人はおらん。儂等に毒を盛る意味はあるか?誰かの差金だとしても、あの商人だけを連れ去る理由が分からん。連れ去るにしてもあの強さじゃ、現実的じゃあ無いわい。状況証拠から見て一番可能性がある」
「ドルガさんはフェリエさんと付き合いが浅いからそんな事言えるんス!」
「どうだかのう。あれは何かを内に秘めておる奴の眼じゃった。間違いなく何か隠しておる」
「何をー!!」
「なんじゃい!」
「二人共、今は喧嘩している場合じゃない」
ユキの言う通りだ。ここで言い争っていても仕方ない。けれどドルガの言ってる事も正しい。状況だけ見ればフェリエがやった可能性が高い。確かフェリエの能力に『状態異常無効』というのがあったはず。あれはおそらく全ての状態異常に対応しているものだとすれば、俺達に掛かった状態異常にフェリエは掛からない事になる。つまり、もしフェリエが連れ去られたや何かに巻き込まれたとしても、フェリエ自身で解決出来てしまう。
昨日のギルドでの一件で逆恨みかとも思ったが、流石に復讐しようとするとは思えない。
ならばフェリエ自身が出て行った可能性、フェリエ自身が俺達を気絶させた可能性が一番か。何の為に?
王国への道なら馬車を使えばいい。確かにフェリエ一人だけなら走った方が早いのは解る。俺達と行動を共にする必要も無い。
先に王国へ向かった?いや、それは無い。王国への馬車は朝になるまで出ないと言っていた。気絶はしていたが日はそれほど昇ってはいない。……待てよ。
「皆、ちょっと行きたい場所があるんだ。少し移動するぞ」
そう言って俺は宿屋を後にする。全員、一応毒は抜けきっただろうが、万が一の為俺の中で回復薬を飲んで貰っている。ドルガ以外は。
オード、ユキ、ドルガは分類上亜人だが、明確な違いがある。
オードとユキは体内を魔素が血のように循環しているのに対し、ドルガは能力素が循環している。その為、ドルガは能力素で能力を使うがオードとユキは魔力で能力を使う。
回復薬は魔素を多く含んでいるので、もしドルガがオードやユキみたいに直飲みすれば間違いなく死に至る。ちなみに俺も分類上はドルガ側でフェリエはオード達側になる。
なのでドルガには能力素水の方を、オード達には魔法水の方を飲んでいる。だが分けると呼びづらいので基本的には"回復薬"と呼称している。ミミックさんは面倒臭がりなのだ。
「ミスト、心の声が念話で漏れてうるさい」
…サーセン。
そうこうしている内に商業ギルドに着いた。相変わらず人でごった返している。
昨日は騒動やら別れのお陰で考えが及ばなかったが、そもそも馬車を予約したと言っていたが、俺達はその確認をしたか?いや、全てフェリエに任せたままだ。商業ギルドに向かった時にそれをしたと思い込んでいたが。
フロントの職員に昨日長身でガチムチなオカマが来なかったかと聞いたが反応が薄かったので、"戦鬼"は来なかったかと問うと若干引き攣った笑顔で来ましたよと答えてくれた。
「その時にアルストレア王国行きの馬車を手配したと思うんだが」
「アルストレア行きの、ですか。確かにギルドではあの王国への入国を許可されていますが、フェリエ様からはそのような話はお伺いしておりませんね」
「……そうか、ありがとう」
ギルド裏手にあるこれまた無駄に大きな噴水の近くで、俺達は会話をしている。収納から開放されて背伸びをしているオードに真剣な顔のユキ、それに先程までの空間から瞬時に街中に移動したからか、周りをキョロキョロ見渡すドルガとケビン。
その俺達に嫌悪の視線が刺さるものの、ギルドでの一件が予想以上に広まっているせいか、誰も俺達に関わろうとしないのは幸いか。
「ふんっ。言うた通りじゃろ?あの商人が怪しいと」
「だけど理由が分からない。フェリエさんはどうして一言も…」
「…フェリエを探そう。そして本人に直接聞くんだ」
「でもどうやって探すんスか?オイラの能力やユキちゃんの能力じゃこんな広い街中…」
「手はある。まあ、運用するのは初めてだがな」
オード達には内緒、というか話すタイミングが無かったので、俺の癒し達の事は知らない。
「行くぞ!『眷属召喚』!!」
そして俺は、ミニック達を視線突き刺さる中で召喚した為に、更に嫌悪と畏怖が辺りを支配するのを、もう少し警戒すべきだったと反省する羽目になるのはもう少し後の話。
時は遡り、フェリエとリベルタの衝突。
亜人が人間達よりも強いと言っても、それは自身で思考し判断するからこそ活かされるものである。しかし今目の前に居る者達はどうだろう。リベルの能力によって操られ、自身に眠る憎悪や嫉妬の感情を利用され、それを原動力に動いている。
確かに嫉妬という感情は時に自身の限界を遥かに凌駕させる。一時的な力ならば、易易と己自身をも超えるだろう。
「けど」
フェリエは掌底を地面に叩き込むと辺り一帯を巻き込むほどの地割れを起こした。隆起した地面に足を取られ身動き出来ない亜人達に、フェリエは何の躊躇いもなく横薙ぎに腕を振るう。ただそれだけなのに、衝撃波で地面がまるで整備されたグラウンドが如く、真っ平らな砂地へと姿を変える。
「流石はフェリエ。相変わらず粗暴で脳筋なところは変わらないね」
「アンタは随分変わったわね。こんな力任せの技術も無い輩をいくら壁にしたって無駄よ。これで戦争をしようなんて、御笑い種もいいとこよ」
そう言って吐き捨てたが状況は決していいものでは無かった。
力任せで技も無く振るわれる亜人達だが、本来彼等の特筆すべき点は他にある。それは体力面や耐久力といったいわゆる持久力。一撃必殺よりも一撃離脱を得意とし、長期戦にこそ発揮されるそれは、確実にフェリエの体力を削っていた。
今はまだ戦える。フェリエ自身、転生によって生身の人間よりも頑丈な肉体を手に入れた。だが反面、人間だった頃に比べて魔法の力が弱まっていた。正確に言うならば光属性の、だ。
前世のフェリエは主に光属性の魔法を中心とした、言わば『物理ヒーラー』と呼ばれるものだった。
回復などの魔法を得意とする魔法使いの一種『治癒術師』。本来なら近接戦闘は苦手とし、後衛での支援が基本の職業。
しかし、『物理ヒーラー』とはその苦手とされる近接戦闘を敢えて行うもので、自身への超過ダメージを回復して無理矢理突貫する強引な戦争法と、自身への魔法や能力による強化で防御力や耐久力を底上げする。
過去、三人で旅をしていた頃は近・中距離をフェリエが、近接をグランが、遠距離をリベルが担当していたほど、その戦い方は馴染み深いものだった。
それが転生し夢魔となったこの身体では、壊滅的に光属性と相性が悪かった。
転生者は異世界人でも無ければ、前世での能力が引継がれる事は無いとされている。だがこれは正確では無い。
上記の転生者とは人類が犯罪者に対しての処罰として編み出された転生を指している。これが普通であり、自身、又は他者が呪術無しで魔素を多量摂取させると確実に記憶や人格が失われるとされる。それが間違いであり、しかしその事実を知る機会は極稀だろう。人々の管理しない状態での転生では、その人が転生者であるかなど、鑑定屋にでも調べてもらわねば知る機会が無い。そもそも魔物へと転生した時点で善からぬ事を仕出かしたと流布されるだけなので、他者へ『自分は魔物になったが以前は人だった』などと喧伝したりするのは馬鹿のする事だろう。これが人から人への転生であれば、まだ噂程度にしかならないのだが。
そしてその転生の方法が、フェリエの場合異端とも取れるものだったが為に、この星の原住民でありながら前世の能力や魔法を引き継いだ形で転生出来たのである。
しかし転生先が魔物や魔人、亜人になると、ほとんどの場合、『闇属性』を所持する事になる。これは『光属性』と相対関係にあり、非常に相性が悪い。フェリエの場合、元々が光属性の為かこの身体で魔法を使うとやや効果が落ちる。自分より弱い者に対してなら十分強いのだが、こと集団戦や強者との戦いに対しては決定的な弱点に為りうる。それが今、亜人達を蹴散らしてるにも関わらず、未だリベルタへと攻撃が届いていない理由だった。
「アンタねぇ、ハァ、ハァ…ッ」
『祝福の光』を使って常時回復状態を維持するも、亜人達の猛攻によって受けるダメージの方が目に見えて多い。
『大魔を祓う煌めき』で自身を囲っても、この物量の前では無駄に魔力を消費するだけ。
今、自身の属性とも相性のいい闇属性の魔法も、光属性の魔法と比べると威力は高いものの消費が激しく命中精度も低い。
頼みの綱は自身の腕っぷしぐらいか。
と、リベルなら考えているはずだろう。中身が以前と変わっていても、彼ならそう考え消耗戦を仕掛けてくるはず。
だからこそ、フェリエは亜人達の壁を拳撃で薙ぎ払うと、大収納から籠手を取り出して腕に嵌めると、その勢いのまま『身体強化』と『身体狂化』を重ね掛けしてリベルタに向けて突撃を強行した。
「ハアァァァァァ!!」
「おや、もう手が尽きたのかな。まあこの数によく持った方だと思うよ」
そう言ってリベルタは手近に居た亜人を指差す。するとまるでそこに吸い込まれるかの様に、フェリエの攻撃目標がその亜人へと向かっていった。突き出された拳撃は亜人に直撃し、その背後から剣で一刺し。これで終わった、そうリベルタがふぅ…と息を漏らすと真横から頬に決して軽くは無い衝撃が入る。
その衝撃は思いのほか凄まじく、リベルタは亜人達の守りを抜け、草原を割り、近くの木々にヒビを入れながらもようやく止まる。
「いい加減、人を踏みにじるような真似は止めなさい!らしくないわ」
そう叫ぶがリベルタは返事もせず、動く気配も無い。周りの亜人達は指揮者が倒れたせいか、挙動を止めている。
「あなたならまだ引き返せる、あの頃に戻れる。こんな酷い事は終わりにして、今からでも」
「だから君には理解出来ないんだ」
フェリエの耳元で聞こえたそれは、振り向く猶予を与えてくれず、また動く事すら出来ない。まるで金縛りにあったように身体が言う事を聞かない。
「ァア…グッ…リベ、ル…」
振り絞った声で、言外に「一体何をした」と睨みつける。こちらを伺うようにじーっと眺めていたリベルタは、その視線に気付くと二ヤァと口が裂けそうなほどの笑みを見せた。
「一体何を、ってところかな。うんうん、流石フェリエ。昔は結構劣勢になると途端に弱気になっていたもんだけど、その眼、成長したね」
優しく声を掛けるのとは裏腹に、顔は先程の笑みが残ったままだ。指を空中で動かすと、亜人達はフェリエを囲うように辺りへ配置されていく。
「光魔法、それも回復や支援が得意。けれど転生の影響で光属性が苦手になり、闇属性も元々の相性が悪いせいで上手く使えない。ならば接近戦で突っ込んでくるとは思っていたけれど、まさか本当にそう来るなんてね」
戯けてみせるリベルタの眼には憐れみ、見下す色が混じっている。
「グ…ガ…何故、ど、う、して…」
「どうして?ああ、さっきの攻撃の事かい?魔人の中には『幻影』なんていう残像みたいなものを使う種族がいるって書物に書いててね。咄嗟に思い出せて良かったよ」
フェリエの顔に初めて驚愕の色が浮かぶ。
「そんなに驚く事かい?ボクも勇者の端くれなんだ。鑑定を使える事ぐらい、フェリエなら周知の事実だろ?それともあれかな、ボクが吹き飛ばされたように見せかけて、亜人を身代わりにした事を怒っているのかな。ごめんごめん。けれど亜人なんて別にいいじゃないか。ボクは人類だけを守りたいんだ。亜人や魔物なんて、結局は同じ化物──」
そう言った辺りで、フェリエは『身体狂化』を再度発動した。
『身体狂化』
『身体強化』の上位互換のような能力。『身体強化』は言わば絶好調を維持するだけに対して、『身体狂化』はその上、使用者の限界を少し超えた力を発揮させられる。しかし、効果時間分、後で同じ時間だけ身体能力の低下と全身へのダメージが掛かる。人間種であれば、ものの五分もしない内に自壊する危険な能力である。
フェリエはこの戦いで既に『身体強化』と『身体狂化』の二つを重ね掛けした状態にある。この時点でも全身への負担は相当なものだが、そこに更に『身体狂化』を掛けるのだ。それは計り知れないダメージを負い、最悪命にすら関わる事にもなるだろう。
だけどそんなものはどうでも良かった。
亜人にも魔族にも優しく接していた彼の、変わり果てたその言動を聞いて、フェリエはもう迷いを捨てた。
心の何処かではまだ変わってない、絶対に正気に戻してみせるなどと思っていたのかも知れない。けれど、実際に相対してみて解った。アタシの知ってる少し天然で、だけど誰にでも優しく出来る、そんな憧れの勇者。彼はもう、それには戻れないんだって。
自身が転生を果たして動ける頃にはリベルは王様になっていて、少しでも近づく為に商人になって、情報を集めて、けれど壁の秘密、意識操作の事を知って、リベルが国外に出るのをずっとずっと、ずっとずっとずっと。
ようやく会えたその人は、もう昔とは違っていて。
だから誓ったじゃないか。もし彼が救えなくても、自分が彼に終止符を打つんだって。
我侭でもいい。逃げだ卑怯だと罵られてもいい。
だけどアタシは──
ずっとリベルが好きだったんだから。
決死の覚悟で放った『身体狂化』は新たな能力『限界突破』へと進化する。
書けば書くほど、自分が思っていたものと離れていく気がする。
気の所為だよね、多分。
それにしても文字数がどんどん上がっていく不思議。
誤字脱字していたらそっと教えて下さい。生卵を摘むぐらいのそっとで。




