なにこれ?
俺の能力《一括整理》にはある弱点がある。
それは細かな仕分け作業が出来ない事だ。
前にも話したが、"畑"というカテゴリーには土や水、植物が全てまとまって入っている。
入っていると聞くと分かり難いかと思うが、要は大きな土地が大雑把に区分けされ、それが全て別空間にあり、それを繋ぐ道をまとめた大ホールのような場所が、一番最初に俺に飲み込まれた先だと思ってくれるといい。
だがこれはあくまでもミスト主観の話であり、正確には全て真っ平らでだだっ広い空間が無限に続いており、俺がそれを区分けするというイメージを持っているので、あたかもそういう風に部屋分けされていると感じているだけなのだが。
まあ要は収納そのものが大きすぎて、ミスト自身もあまりよくは把握していないだけである。
勿論疑問には思っているがそういうもんだと思えば特に気にならない性格である為、あまり深く考えて無いのだ。
空間の大きさもそうだが、更に問題なのはアイテムの個数が分からない点である。
昔、まだ収納が成長しないただの物置だった頃は、魔石同士をガリガリと引っ掻いてレシピメモを作っていたりしていた。
だがここ最近、レシピも一覧表が別個で出せる様になってからはやりたい放題していたので、すっかり個数を数える事をしなくなった。
例えるなら、昔はアイテムの場所まで取りに行っていたのに、冬になるとコタツの周りに物を置いて、一切そこから動かなくなる感じ。
お陰で、ある物で代用する癖がついてしまい、あのアイテムどこかにはあるだろう、逆にあのアイテムどこやったっけ?、あのアイテム何に使うんだよ等、酷い有様であった。
今回それも含めて整理の機会を設けよう、そう思った。
カニスにも1度中身を見てもらったのだが、広大な上に薬草や必要品以外何処にあるか不明状態な場所を散策させたのは、流石に申し訳無いなという心境になり、ちゃんと整理してからまたお願いするという運びとなったのだ。
いやー、整理って苦手なんだよね。
だけど調合は楽しい。
新たな発見と面白いアイテムを作れた時の高揚感は、ある意味この姿になって唯一良かったと思える点だ。
いや他にもあるけどね?ホントホント。
まあどうせ夜中は火の番と見張り以外はする事無いし。
ああ、俺の中に居れば安全じゃんってのはダメだからな?
俺は特に気にならないが、俺の中では成長音が結構響いているらしく、木等の植物がメキメキといっていたり、石が魔石かなる際にビキッという音がする。
更に俺がアイテムを組み合わせたりするので、中の一部の地形が変わったり動くので、中で眠るというのには向かない。
昔それでオードに静かにして欲しいっス!と怒られて、何も調合せず夜中を過ごしていた時は、本当に暇だった。
火の番と見張りも俺が全て担当している訳ではなく、一応他にも1人交代で起きている。
俺は1人でいいと言ったんだけど、オードが野営の訓練はいいんスか?との声を上げたのでそうした。
まさかオードからまともな意見が!と言うと心外っス!でもジュースをくれたら許すっス!という、まあいつものコントである。
さてまあ、皆も最初は俺に任せると1人で見張りする訳だし、ここは頑張って整理してみますか。
…………
……
…
「ダルッッッ!!!」
横に居た、既に見張り番にと起きたノーリンがビクッと身体を震わせた。
「ああ、スマンスマン」と謝罪しつつも、やっと全ての整理とアイテムの種類と個数の書き出しが終わり一息つく。
書き出しはレシピの一覧にフリーメモみたいなのがある。
普段はこのレシピではこんな物が〜、という事しか書いてないが。
自分でもこんな物入れたっけ?ってのが多く見られたが、おそらく成長する収納の効果で変質しているのだろう。
ああー、長かった。
メモを取りながらだったから、俺も詳しくは見れていないし、鑑定しないといけない物もあった。
とりあえずどんな感じの物があったか、ゆっくりと見返してみる。
因みに個数を数えている時に能力 個数把握というのに目覚めた時は、その前までの苦労は何だったんだ!!と発狂し、同じくオルディンがビクッとなったのは言うまでも無い。
まあ、お陰で正確な個数が把握出来たんだけどさ?
ハァ〜。
石ころ×18962
木片×421
雑草×6340
水×不明(リットル表示が出来なかった為、おそらく湖が出来る程度)
微弱な魔石×554598
薬草×475699
魔素水×不明(上記水の倍くらい)
ヒイラ草×88006
リザード焼き×6
アウリスリザードの目玉×12
アウリスリザードの尻尾×6
アウリスリザードの爪×24
アウリスリザードの牙×13
アウリスリザードの肉×6
アウリスリザードの肝×6
魔晶石×3
下位回復薬×0(計測途中からどんどん中位になる為)
中位回復薬×1007
上位回復薬×423
超位回復薬×6
下位回復水×0(下位回復薬と同文)
中位回復水×3063
上位回復水×1609
超位回復水×18
下位回復薬・改×50
中位回復薬・改×50
下位魔法薬×0(下位回復薬と同文)
中位魔法薬×5000
上位魔法薬×1000
下位魔法水×0(下位回復薬と同文)
中位魔法水×6746
上位魔法水×1374
失敗薬”餅”×2998
鉄鉱石×4
トロッコ×2
レール×17
魔鉄鉱×498
壊れたツルハシ×5
アイレーナの蔦×14
アイレーナの種×47
アイレーナの花×14
マチャル草×4056
跳薬×15
魔鉄ツルハシ×1
熟成リザード焼き×8
毒性リザード焼き×3
ポポル草×92
アウリスポイズンリザードの目玉×8
アウリスポイズンリザードの尻尾×4
アウリスポイズンリザードの鉤爪×16
アウリスポイズンリザードの牙×14
アウリスポイズンリザードの肉×40
アウリスポイズンリザードの肝×40
低位解毒薬×4
中位解毒薬×8
高位解毒薬×2
アウリスパララバットの羽×16
アウリスパララバットの牙×16
アウリスウルフの牙×38
アウリスピュアウルフの牙×4
アウリスピュアウルフの爪×8
毒薬×98
メールの花×64
メールの花粉×64
魅力薬×65
土×不明(表示されなかった為)
魔壌土×不明(上記同文)
能壌土×不明(上記同文)
スライム×1
パーの種芋×500
パーラの種芋×2806
パーレの種芋×2410
パーラ×1000
パーレ×1000
ンーダ×36
ンーダ焼き×6
熟成ンーダ焼き×2
魔鉛×11
ギルドカード:ランクC×1
ギルドプレート:ランクC×1
金貨×1500
銀貨×980
銅貨×3466
魔金×104
魔銀×111
魔銅×101
リ茶ージ×2
ファナシーの種×851
ファナシー×128
ファナシール×20
ジャーモの種×30
ニジンの種×30
ネマタの種×30
ギーネの種×30
塩×50
胡椒の実×100
ダーズ×100
リゴーンの種×30
ルルカルカッチェの種×30
魔法薬・改×1000
魔幻薬×13
ハルパッチ×678
魔鉄×4
オークの干し肉×10
硬パン×10
解呪薬×3
という内訳になった。
いやー、意外と種類無いなって思ったが普通の人からすればおかしいレベル何だろうな。
後半の種は市場で買った植物の種だな。
ジャーモやニジンは見た目まんまジャガイモやニンジンである。
ルルカルカッチェはスイカの見た目で中身がカボチャ、しかし味が生魚で匂いが布団を干した時の香りというカオス食材。
内陸で魚が食べられない庶民の食べ物とユキが語っていた。
異世界怖い。
アイレーナってのは、以前廃坑でトロッコを引っ張った時に使った蔦の植物の正式名称だな。
あの蔦は意外と丈夫だが、それ故にあまり取れなかったのが残念だ。
それに種も成長が遅い。なかなか扱いの難しい植物だぜ。
お気づきの方も居るとは思うが、金貨や銀貨は一部オードに溶かしてもらっている。
何やってんだ!勿体無いだろ!って声も上がるかも知れないが、調合に使えないかと思って溶かしてもらった。
金貨のままでは流石に調合に使えなかった。
それで出来たものが魔金、魔銀、魔銅という訳だ。
どうも元々人間達が使う硬貨のせいか、若干能力素を帯びており、加工する際腹の中でバチバチ言ってたのは記憶に新しい。
だがお陰で貴重な素材も手に入れられたという訳だ。
因みに魔銀+魔法薬で魔幻薬という物が作れた。
これは服用すると幻覚が見えるという、ちょっとどころでは無い薬品だ。
前世で売ったら牢獄送りの一品である。
けど何かの素材になるかもと少し調合しておいた。
他、魔晶石というのは魔物が魔力を多量に体内に貯める事で生成される貯蔵器官のような物である。
普通は倒すとその器官も機能停止するのか、使い物にならないのだが、強い魔力を持つ魔物ほど内包する魔素の濃度が濃くなり、魔晶石という形で取れる事がある。
この辺で取れるのはかなり稀、というのがユキの弁である。
で。
この整理で改めて発見した問題がある。
スライム×1
なにこれ?
確かに魔法もある世界だし、初級モンスターの代表だけど、ナニコレ??
いつ出会ったかすら思い出せない。
いや、そもそも遭遇した敵はほぼトカゲとたまにコウモリが居たぐらいで、スライムなんてものに出くわす場面は無かったはずだ。
しかも結構な頻度でアイテムの出し入れをしているので、アイテム一覧は覗いている。
なのに今の今まで見つからなかったのはどういう事だろうか。
と、交代の時間が来たのか、オルディンが眠りオードが起きてきたのですぐさま相談した。
「オード、起きがけで悪いんだがちょっと相談いいか?」
「んんー…どうしたんスかぁ」
欠伸1つしながら眠そうに聞き返すオード。
「何か俺、スライムなんてもの捕獲しているんだが」
すると何事も無かったかの様に、けれど何今更みたいな当たり前の事をという雰囲気で一言。
「前に飲み込んでたじゃないっスか」と。




