グラロマニカ大森林調査②
[えっ?ミスト…どこ?]
おっしゃ!どうやら成功の様だ。少しプツプツと切れる感じがあるが。
俺はワーム達との戦闘で念話がLv4→5に上がっていた。
おそらくは、飲み込んだ後指示を念話していたお陰だと推測している。
何にせよ、レベルが上がった事により効果が微妙に変化していた。
念話 Lv.5
自身の収納内に居る者へ個別に念話出来る。
個別念話は最大二人。
遠くにいる仲間とも念話出来る。最大一人。
個別念話ってのは内緒話みたいに、その対象にしか聞こえなくする。
まあ、これは俺の中に居る奴にしか効果無いが。
だが注目すべきは、遠くにいる仲間との念話。
今までは俺の内部に居る奴にしか念話出来なかった、ちょっと残念能力だった効果が、レベルが5に上がった事により、なんと外部の仲間との念話が可能になったのだ!
まあ、欠点とすれば最大一人までしか念話出来ないのと、結構ガッツリ能力素が減る事、更に遠くなるほど音声が飛び飛びになる事か。
あと”仲間”の定義だが、どうやらオードとユキだけが可能なのを見るに、パーティーを組んでいて技量開示で能力を把握しているってところだろうか?
と考えていたが、後に試したところ、能力発動者が技量開示を覚えている事。
そして相手と互いの能力を見せ合っていれば、パーティー関係無く念話出来ると判明。
ていうか詳細鑑定で仲間の定義を鑑定出来るか試したら、普通に頭の中に表示された。
じゃあフェリエが何故出来ないのかと思っていたが、後にユキから変な電波みたいなのが飛んできたので抵抗したとの事。何でもアリか。
[念話のレベルが上がって遠くの仲間と会話出来る様になったんだ。
どうだ?そっちは順調か?]
[そういう事か、びっくりした。うん。大丈夫。
途中、アウリスウィンドリザードに襲われたけれど、フェリエが手刀で首を切断したから問題無かったよ]
むしろ手刀で倒すオッサンがやたら強いのが問題では。
[そっか。こっちもアウリスワームの群れに襲われたけど、何とかなったな。
ま、ノーリンとカニスに戦闘経験させるってのは微妙なとこだけどな]
[そっか。こっちも戦闘よりも回避だったり、距離の保ち方を訓練しているよ]
[確かに。最初から戦闘させるのは難しいよな。
じゃBチームもあんまり進んではいない感じか]
[”白銀の風”だから]
[何が?]
[チーム名。ミィさんの案で”白銀の風”になったから]
何やってんだ向こうのチーム。
戦闘訓練しろよ、どうしてチーム名なんて付けてんだ。
しかもちょっとカッコイイじゃねぇか、畜生。
多分、気の張りすぎ解消とか雰囲気改善とかの一貫だと思うが、誰が犯人だ?…あのオッサンしか居ないか。
全く。こっちはワームに追い回されてる間に、本当に何やってるんだBチー…白銀の風は。
ぐぬぬ。これはこっちも何か考えねば。
[まあ、いい名前だな。素敵だと思うよ]
[何か照れ臭いけどね]
[んじゃもう野営してる感じか?]
[うん。焚き火の準備してるよ。ミストの焼きパーラが恋しいよー、って言ってる]
ああ、そう言えば向こうはハル以外魔力主体の面々なのか。
[てかフェリエとユキに芋は渡していただろ?]
[それが…移動中のオヤツに…皆が…]
どうやら俺が気づいてなかっただけで、向こうのメンバーも結構食べる様だ。
まあ、身体が資本だろうし体力付けるのは良い事なんだが、もっと配分考えてくれよ。
「ミストくーん!薪集めてきたっス!」
いやいや。薪は集めるものじゃなくて作るもn…見事に切断された薪がそこにはあった。
王都までの道のりでもこういう事はあったし、驚くような事じゃない。
が、今までの薪っていうのは、木が裂けた感じのものが殆どだった。
オードは火魔法は得意だが、風魔法が苦手である。
薪はその風魔法の練習にされる為、裂けたものが大半を占めていたのに、目の前にあるのは綺麗な薪だ。
「ふふん、オイラだって成長してるんス!」
そう言ってドヤ顔するので、能力を確認すると…マジだ。
風魔法がLv.2→3に上がっていた。
そして新たに風牢と風斬を覚えている。
風牢
対象の周りに鎌鼬を発生させる。
威力は無いが、飛び道具無効、風牢そのものに若干の斬撃が付与される。
風斬
圧縮した風を対象に飛ばす。
ある程度離れた方が威力が増す。
というものだ。
どちらも説明文が短いが、効果がヤバイ。
風牢は完全に捕獲用では無く自陣展開用だな。
飛び道具無効とか俺殺しか。
風斬の方は風弾を斬撃特化させた感じだろう。
おそらく薪はこれを使った影響か。えらい切れ味だな。
ん?待てよ。
風魔法のレベルが上がったって事は…行けるかも。
「おーいオード」
「何っスか?」
既にオードは焚き火を完成させている為、魔物の解体を始めている。
「ちょっと道具弾で真上に飛ばすから、何か竜巻みたいなもの探してくれ」
「?了解っス」
[ユキ、自分の真上に風出せるよな?]
[風の加護を高めれば出せるけど…]
[よっしゃ!じゃ葉っぱを巻き上げてくれ]
[?…分かった]
そして俺はオードを飲み込み、イッツ道具弾!
飛ばされたオードは魔力感知を目だけに集中。
こうする事で、肉眼で見た時に魔力の有無を確認出来る。
ぶっちゃけ森林では、視界が遮られているので普通に使った方がいいが、遮蔽物が無い場合はこの使い方の方がいいとの本人談。
ま、感知系使えない俺には要らぬ知識だが。
何時か使えるよね?ね?
「向こうで葉っぱが舞ってる場所があるっス!」
そうオードは指差し、丁度ノーデンス大聖洞が斜線から外れた位置取り。
そして”餅”でオードを引き寄せ俺の中に回収後、外へ出す。
こうする事で、何故か落下時のダメージが無くなる。
次にオードに風弾を構えてもらい、俺は俺の中のアイテムを一まとめにし、角度を調整する。
オードに更に飛んでもらい、道具弾を空撃ちして調整を重ねる。
「ミストくん!そこっス!」
「よし!じゃやるか!」
「ところでさっきから何やってるんスか?」
「ああ、言ってなかったな。念話がレベル上がってユキのチームと会話出来る様になったから、ちょっと食料送れないかなって」
「おおー!おめでとうっス!…って、道具弾の弾道は合ってるっスけど、あれじゃ届かないっスよ?」
「だろうな。そこまで射程長くないからな。
だけどなオード。お前の風魔法と俺の能力を組み合わせれば」
「ハッ!なるほど、アレっスね!」
「流石オードだ、話が早くて助かる。じゃあ行くぞ!」
射角調整良し、射出威力調整良し。
”餅”で対象物を覆い、その場で竜巻頭突きで独楽の如く高速回転し千早振る。
ブンブンと風を切り、自身が一つの竜巻の化身になる様な。
回転が最高速度に到達、それを維持する。
そして”餅”を切り離す様に道具弾を発動させる。
そこにオードが風弾を発動。
対象物に衝撃を与えるが、”餅”が余計な威力を抑えてくれる。
「「行っけえぇぇぇ!!!」」
対象物…いっぱいに詰め込んだ食料は空を切り、翔ける天馬の如く。
ユキ達、”白銀の風”へと飛び立った。




