グラロマニカ大森林調査①
──Aチーム ノーデンス大聖洞東
現段階での調査結果
湿地帯で雨が降りやすく、敵もそれに適応したものが多くいる。
また岩場、川も多い。
岩場は能力素の結晶体の影響か、草木の侵食が弱い。
敵となる魔物は主にワーム、リザード種。
アウリスワーム、アウリスリザード、アウリスポイズンリザードを確認。
他のアウリス地方に比べ、ここグラロマニカ大森林の個体は身体も大きく魔力も強い。
棲家は不明。
洞窟や巣穴等の発見が課題。
道中、大量のアウリスワームと遭遇、これらを殲滅に成功。
我々ハーヴェルト小隊もランクEでありながら、アウリスワーム一体の討伐に成功。
ミスト小隊の協力によるところが大きい。
なお、現在戦死者は居ないが後にカニス隊員とノーリン副官が…
「だぁぁぁぁから!!アホなセリフ吐きながら調査まとめて無いで踏ん張れって!!」
現在、アウリスワームの群れを掃討し、カニスとノーリンも俺の中でだがワーム一体の討伐に成功した。
俺の中から出て来たカニスは達成感に満ち溢れ、逆にノーリンはノイローゼになっていた。何があったし。
二人を飲み込んだ後は、俺とオードで殲滅。
オルディンが細切れにしてくれた。
ワームを保存しても…と思ったが、どうやら酸を無効化する中和剤の材料になると、カニスからレシピを教えてもらった。
流石、本職の錬金術師である。
で、今どういう状況に陥っているかと言えば、カニスとノーリンを外に出した後、探索を開始した直後、またワーム達と遭遇。
ワーム自体はオードが火弾で撃滅したが、ノーリンが一目散に逃げ出してしまった。
そのノーリンが崖を踏み外し落下、カニスが救援に入ったが同じく落下。
今生の別れだと思ったのか、調査報告を落下しながらまとめる様はギルド魂だなと思ったものだ。
まあ、俺が”餅”で二人を縛ってんだけどな。重い。
「御二方、暴れずそこで待っていて下され」
そう言ってオルディンが崖をひょいひょいと降りながら、一番下のノーリンを抱き上げて崖を登る。
それを補助するように、オードも風弾で重さを軽減している。
君達、本当にゴブリン?俺の知ってるゴブリンと違う。
ま、人の事は言えんな。
「うおおおお助かったー!」
「し、死ぬかと思いました…」
「全く…安全確保もしないまま、無闇に走り出すなよ」
「ううう…だってぇ…」
どうやらワームとの戦闘で、というよりワームそのものが苦手の様だ。
まあ一対一では無いけれど勝てない訳じゃないし、苦手意識は誰にだってあるから、今後はワームは避ける方向で行こう。
そもそも戦闘訓練するなら、ワーム以外とも戦いたいところだし。
しかしあれだな。
普段はあんまり気にしてなかったけれど、出会い頭に強襲されそうになると、大体ユキが先に潰してくれていた。
オードも感知出来るし、不意打ちに遭う事は少ない。
けれど対応速度が段違い。
オルディンも普通に考えれば、お前ゴブリンか?ぐらい速いんだが。
あー、まさかユキの有り難みがここに来て解るとは…。
俺ももっと盾極めるべきかな。
この職業の欄も実際はかなり曖昧で、今現在の自身の役割に近いものが表示される。
勿論、何らかの職業に就いていればそれが表示されるが。
俺自身はオードやユキが有能なお陰であまり盾役っぽくは無いが、痛覚は無く回復薬も無限に近しいレベルで所持してる為、所謂ゴリ押しプレイが出来る。
敵の注意を俺に集めて、固まった敵をオードの範囲魔法やユキの背後からの暗殺を補助する。
ネトゲで言う”釣り”が出来る。
なので職業もそれに沿うものになっているんだろう。
だけど敵の注意を俺だけに惹き付けるには、オードみたいなヘイト操作系スキルが必要になる。
一応、魅了薬を拡散道具弾で使えば注意を引く事は出来る。
問題は魅了薬の内包する魔力が高過ぎて、周囲一帯に居る魔物を全て引き寄せてしまう事だな。
俺の成長する収納は、入れておけば自動で魔力や能力素が溜まる。
逆に言えば、ほっとくだけで道具がどんどん強力になっていく。
一応、今現在何とか成長を止められる様になったのだが、それも一つ二つぐらい。
この辺はレベルが上がると解消されると思いたいが、普段の戦闘でアイテムを連打する戦い方をする俺とは、結構相性が悪い。
うっかり強力な魅了薬を使ってしまうと、大惨事が発生するので使わずにいると、たまに見た時に「なぁにこれ」状態に陥る。
また、オードにバッシュを教えてもらった時みたいに、不幸せな踊りを習得させてもらおうとしたが、結果から言えば無理だった。
どうやら種族的に不可能だったり、俺自身の理解力が無いと習得出来ない様だ。
この理由でオードみたいな魔法が覚えられないのだが、まさか不幸せな踊りが無理とは…。
手足が条件なのだろうか?うーむ。
まあ、結局のところ今のスタイルで居るのに落ち着いているが、俺も戦闘スタイルを考えなきゃな。
「ところでこの後はどうするっスか?」
「んー、そろそろ日も落ちそうなんだよな。適当な岩場で野宿するか」
「じゃ薪探してくるっス!」
「お供致しましょう!若」
「おーう、じゃこの辺ちょっと調べてるわ」
「「…………」」
「ん?どうした、二人共」
「いや、何かサバイバル経験の差が」
「よく疲れないのですね」
「まあ俺は生まれてからずっとサバイバルみたいなもんだがな。これはこれで楽しい。
あ、二人も安全確保出来る場所探してくれよ〜」
「ううう。私もう一歩も」
「じゃノーリンは晩御飯は肉抜きかーしょうがないなー」
「行って参りますわ!オホホホホホ!」
「ちょ、ノーリン!走ったら危ないってぇぇぇ」
二人は全速力で探索しに行った。チョロい。
さて、誰も居なくなったし、あれを試すとするか。
ワームとの戦闘中、地味にレベルが上がっていたある意味念願の能力。
[あーもしもし、こちらミスト、オーバー?]
[え?ミスト?]
聞こえてきた声はユキの驚いた声だった。




