パーティー同士の食事会
何かあり得ないとか言われてしまった。何か変何だろうか?
「スマン、何がおかしいのかよく分からないんだが、理由を教えてもらっても大丈夫だろうか」
「いや、いやいや。ランクっていうものは昇級試験を受けて徐々に上げて行くものなんだ」
「ああ、確かに受けたな」
「……。それはいい。そのランクCっていうのは、なろうとしても昇級試験時に自分の不得手とする敵との戦闘を強いられる。
試験とは言え、死ぬ事だってあるそれを名乗る事が出来るとは…」
いや、結構俺死にそうだったよ?
てかその法則だと、それを軽々とクリアしたオードの方が異常だと思うが。
「しかもCランクハンターともなれば、国内外への融通が効く。僕達も目標はCランクで今はまだ仮だからEしか無いんだ」
「ああ、融通が効くってのはオードから聞いたな」
「オード?」
「お前達の仲間を魔法で捕らえてた奴の事だよ」
「ああ、彼も凄いね。まさか魔物で魔族でも無い者が魔法を…ってこれだけでも君達が知性無き魔物じゃない事は明白だったのに。
どうも僕は熱くなると周りが見えなくなるみたいだな」
「ハルは悪くないよ」
「だけど…」
「あーとりあえず外で飯の準備が出来たみたいだから、話はそれ食ってからにしないか?」
「え?食事…」
「嫌なら別にいいんだが」
「い、いや、戴こう」
「そう、だね」
「?」
何か微妙な雰囲気だが、もしかしなくても飯マズかと思われてるんだろうか。まあ、それは無いがな。
外に出た彼等はすぐにその香ばしい匂いに気付く。
「何だこの美味そうな匂いは」
「これ…アウリスリザードの肉!?」
「アウリスリザードって…あの」
「ああ、それ道中狩ってきたんスよね〜」
既に肉を頬張りながらオードが話し掛ける。
喋るか食べるかどちらかにしなさい。
「ええっ!?君が狩った物なのか!」
「そうっス!それにオイラはオードっス!」
「あ、ああ。済まない。自己紹介がまだだった。
僕はハーヴェルト・フォン・グライス、皆からはハルと呼ばれていてこのパーティーのリーダーをしている」
「貴族なのか?」
「まあ、騎士爵の四男だから思っているような物では無いが、一応はな」
「俺はミストだ、よろしく。
転生者でミミックだが、別に敵対するつもりは無いんだ」
「それについては本当に済まない」
「ハル!ねぇハル!これめっちゃ美味しいよ!」
「ノーリン!君も貴族の端くれならちゃんと自己紹介ぐらいしないとダメだろ!」
こっちの槍の女の子、ノーリンもオード同様肉を頬張っている。
「ノーリン・フォン・ヴェントよ。貴族って言っても私も男爵家の三女だけどね。
それよりハル!このお肉めっちゃ美味しいの!」
「ノーリン!済まない、彼女ちょっと貧乏であんまり肉にあり付けなくて…」
「でもこの肉、市場やそこらで出回ってる肉とは比べ物にならない美味さだぜ?」
「それはミストくんの能力で熟成してるっスからね」
「へぇー。何か収納の空間?みたいなところでも色々なアイテムあったよな!」
「爆弾投げまくっていた奴が何を言う」
「アハハ、確かに!悪い悪い。
俺はカニス、平民のカニスだ!貴族様二人の後で見劣りすると思うがよろしくな!」
「僕は貴族だの平民だのと言う気は…」
「ねぇハル!このお芋凄く美味しい!」
「だからノーリン!少しは落ち着いて食べ…」
あの二人はデキテルんだろうか。
ハルは貴族っぽいのに、ノーリンは貴族?みたいな感じだな。
ていうかまだあるから落ち着いて食べて下さい。
「あの二人はいつもあんなのだから、ごめんだし」
「いや、別にいいんだが」
「そ。私はルールー・パス。皆からはルルって呼ばれてるし。
一応商家の一人娘だけど、嫁ぐ気は無いから冒険者にって感じ。
まあこのパーティーはそういうの抜きにして、冒険者として生きて行くって感じだし。
貴族だから礼儀がどうとかは思わなくて大丈夫」
「そうか、俺もその辺はよく分からないからな。
作法とかあったらと思ったが気兼ねしなくて済みそうだ」
「そそ〜。軽い感じで問題無いし!
で、こっちのほわほわしてるのがミーシャ・カルナね」
「ふえぇ、ご紹介にお預け、おあ、お預かりしまった、しましたミーシャ・カルナです」
「愛称はミィね!」
「おい二人も早く食わないと無くなるぞ!」
「あ、ユキちゃんこっち焼けたよー」
「そのお芋は食べられな…」
「大丈夫大丈夫」
「ノーリン!それ鑑定したら能力素がかなり高いぞ!
だからその子には毒に」
「ハルは一々うるさいなー」
「……あの子も戦いの時はあんなんじゃないんだし」
「す、すす、すいま、すいません」
「いや…。まだあるからゆっくり食べる様にだけ言っておいてくれ」
それから無心でノーリンって子が、肉や芋、そして市場で購入した果物や野菜の品種改良(量産はまだまだだが)したものを詰め込んでいる。
あの身体のどこに入ってくんだ。食い意地だけならオードと張るだろう。
フェリエはゴブリン達の方へ行き、今後の調査の説明と詳細な情報提供と回復薬や装備を渡す交渉をしていた。
真面目にしてれば凄い人なのに…。
ユキはもみくちゃにされてた。途中助けて的な視線を送って来ていたが。まあ、頑張れ。
んで、さっきの自己紹介と食事中の話から察するに…
ハーヴェルト・フォン・グライス 男 17歳
騎士爵の四男。剣士。あだ名はハル。
パーティーのリーダーで騎士養成学校の授業の一環でギルドに仮登録。
貴族っぽいが熱くなると周りが見えなくなる。
あー、俺もテンパると周り見えなくなるなる。
ノーリン・フォン・ヴェント 女 17歳
男爵家の三女。槍術士。
貴族だが辺境に住んでいるせいか貧乏で、まともな食事に飢えている。
実家に居るよりは冒険者の方が食えるだろうと冒険者育成学校から仮登録。
戦闘中と素の差が酷い。何かハル推し。
カニス 男 15歳?
平民。錬金術師。弓術士。年齢は勘。
貧民街出身のせいか、名字が無い。親も居ない。兄弟は何かめっちゃ居るらしい。
錬金術師になったきっかけは素質があったのと、何となく儲かりそうな響きだったから。
ギルドには唯一正規で登録している。
ルールー・パス 女 18歳
商家の娘。魔法使い。あだ名はルル。
語尾に「〜だし」と付く。オードの同類だろうか。
一応パーティーの財布役で、主にノーリンが暴走するのを防ぐ役割らしい。
ミーシャとは冒険者育成学校の同期。
ミーシャ・カルナ 女 14歳
平民。治癒術士。あだ名はミィ。
パーティーの中で一番若い(一人年齢不詳が居るが)為、奥手な面接がある。
身長も一番低いが他の二人には無い膨らみが…。
ルールーとは冒険者育成学校の同期。
「てか魔法使いって普通に居るんだな」
「まあ、弓や剣士と違って装備が軽装でもなれる職だからね。
でも魔力を使うのは魔物と同じだ、って勇者教の奴等が広めてからは生きづらい世の中になったけどね」
「カニスは物識りなんだな」
「ウチのパーティーは皆世間知らずが多くてさ〜。
まあこれも錬金術師になる一環と思って、知識を貪るわけなのだよ!」
「なるほどな」
「と・こ・ろ・で」
「ん?」
「さっきミストさんの中にお邪魔してた時、凄いお宝があったと思うんだけど!」
あったか?そんなの。
「いや、俺にはよく分からないんだが」
「魔素水に魔法薬、それに魔鋼もなかったか?」
「ああ、あれか」
「いやいや、「あれか」じゃないって!
錬金術師には必要不可欠な代物をあんなに持ってるなんて、俺にはお金より価値のあるものだよ!どう?ウチのパーティーに」
「ダメ。ミストは私の仲間」
「ハハハ。流石、疾風のユキさんにそんな風に言われちゃうなんて羨ましい限りだよ。冗談、冗談だからそんな怒んないで、ね?」
「ユキ」
「ミストはどこにも行かないよね?」
「あ、ああ、大丈夫だ。どのみちどこに行くって予定も無いからな。それよりさっきの話で思い出したんだが、お金、本当に良かったのか?」
「………うん、あれはミストのお金だから」
────遡る事商談後
「よし、じゃあお金も稼いだ事だし、皆で山分けだな!」
「オイラの分はミストくんが預かってて欲しいっス」
「ん?別にいいけど何で?」
「単にオイラには収納系の能力が無いから嵩張るんスよね」
「ああ、そういう事か。ユキはどうする?」
「え?」
「ユキ?何か具合悪いのか?」
「う、ううん、大丈夫」
「そうか…。んで山分けは」
「いい」
「いや、でもここまで案内もしてくれたし、少しぐらいは」
「ダメ。これは私の問題だから」
「ユキ?」
「あ、ううん。何でも無いよ」
「うーん、だけど市場に買い出しに行ってほしいってのもあるし、《スクロール》とかいうのも欲しいしな」
「じゃあ少しだけ貰うね」
「ああ。まあこれだけあれば少しと言わなくてもいいんだがな」
俺はユキに金貨数枚と銀貨を200枚程渡す。
市場で買い物って際には、大きいお金よりも崩したお金の方がいいだろうと、あのオカマに言ってあったものだ。
「ねぇ、ミスト」
「ん?どうした、まだ必要なら…」
「私とずっと一緒に居てね」
「え?急にどうした?」
「約束、ね」
「?…まあいいか。約束な」
あの時、何であんな事言ってたんだろうか。
そう言えばギルドに行く前にどこかに行くとか言ってた気がするが…。
「ミストさん!おかわり〜!」
……まあ考える時間は幾らでもあるか。
この日まさか、ストックしてた熟成肉をノーリン一人で全て食い尽くされるとは、この時の俺にはまだ解っていなかった…。
いや、マジで。
ミーシャ>ルールー>ユキ>ノーリン
何がとは言わないけれど。




