毒は最高のスパイス、んな訳あるか!
まあ、何にせよポポル草に火を付け燻していく。
火を付けた瞬間、ウネウネ動いていた件については、俺は断じて見てはいない。
無いったら無い。……キモ。
でだ。
燻製にした物や焼いた物、そして残りの生肉を1度俺の中に放り込まれる。
二人とも味を占めたのだ。
ユキは最初会った頃は無口で何考えてるのか解らず、クールな印象だった。
今は年相応、子供っぽい一面があって可愛い。
そんなユキまで率先して俺にトカゲを突っ込んでいる。
やめて、とは言わない。
俺も少しちょろまかして調合の材料にしているからだ。
だけど体長10メートルもあるトカゲの肉塊を飲み込むのに5分も掛かった。
今度からはもう少し細かく切ってほしい。
で、このトカゲ、鑑定してみて解ったのだが。
個体名:トカゲ
種族:アウリスポイズンリザード
属性:闇
称号:まな板の上のトカゲ
職業:森の番人
固有能力:地中移動、視野拡大
能力:おねだり拒否、猛毒
魔法:無し
「おい、オード」
「何っスか?あ、ユキちゃん、このトカゲは尻尾が一番美味しいっスよ」
「ホントだあ」
既に食ってた。
「いや、生肉の方鑑定したらアウリスハイリザードじゃないんだけど」
「ん?何だったんスか」
「アウリスポイズンリザード」
「ああ、そっちっスか」
「えぇ…」
オードは普通に無視して食ってるが、ユキの方は焼肉を落としてしまう。
「アウリスポイズンリザードはアウリスリザードの亜種で、棲息している環境で変異したものっス。
因みに猛毒持ちで、ピリリとした痺れが病み付きっス」
病み付きっス、じゃないわ!
ヤバイ、ユキが何か痙攣起こし始めた。
俺は急いでレシピ一覧を探す。
これは能力じゃない、完全に俺の記憶メモのようなものなのだが。
解毒薬が有ればと思ったが見付からない。
…いや待てよ?
このトカゲ、自身の毒でやられたりはしない。
普通の生物も、自身の毒で死ぬなんて事は無い。
理由は抗体を持っているから。
なら、このトカゲを使えば、解毒薬が作れるのでは?
考えたら即行動!
そして1分掛からずに答えを導き出す。
魔素水(魔力200)+アウリスポイズンリザードの牙+魔石(魔力150)
牙を魔石ですり潰す。
ぶっちゃけ牙が砕けなかったので魔石の中でもかなり魔力の高い物を使う。
すると簡単に砕けた。
その粉を魔素水に混ぜる。
飲み薬は大体魔素水を使えばいい。
こんなの効率悪いわ!とか思ってた自分、今役に立ったぜ。
で、こういうのは魔力が強い方がいいに決まってる。
勿論自論だ。
だが今回はその思い切りが功を奏した。
高位解毒薬
死に至る猛毒でも一瞬で治る。但し、即効性の強い毒には効果が薄い。
何かやり過ぎた気がするが、、
そんな事はどうでもいい。
ユキにその薬を飲ませる。
するとみるみる回復する。
一応、確認の為に鑑定してみる。
個体名:ユキ
種族:狐亜人
属性:風
称号:疾風
職業:ローグ
固有能力:
千里眼
窃盗鑑定
能力:
疾風迅雷
風の加護
空中跳躍
強奪
速度補正
回避補正
縮地
毒耐性
魔法:無し
んー………ん?
毒耐性?
そう思った瞬間だった。
───能力《毒耐性》を獲得しました。
「何か毒耐性が付いたんだが」
ユキもビクッと尻尾を揺らしていたし、恐らく同じタイミングかな。
だがオードは、
「あ、オイラ毒弾覚えたっスね」
なんでや!なんでコイツだけ魔法覚えるんや!
おかしいやないか!
ふう、思わず関西弁になってしまった。
だがどうやらオードは、魔素の流れを操作して毒に耐性を持たせる事が出来るらしい。
毒というか、状態異常全てに。
このチート野郎、どこまで器用なんだか。
そんな訳でオードには耐性では無く、毒を浴びせる魔法を覚えた。
威力は掛かると痛いと思う程度。
何故かオードが空中に放ち自分に毒を掛けた時に、
「ああ…足つぼマッサージみたいな?」とか言ってたが。
コイツの判断は当てにならないのが最近解ってきた。
理由はコイツの状態異常耐性の高さにある。
旅の中で魔物が襲って来る頻度が増えた。
まあそれはオードの不幸せな踊りという、魔素の流れを乱して魔物達にとって嫌な空気を作り出すというヘイト操作能力。
これを使ってトカゲを誘っていたのだが。
その中にアウリスパララバットという蝙蝠がいた時の事。
これに噛まれると手足が痺れて動きが鈍くなる。
あのユキですら速度が出せなくなる程。
下位回復薬で治せる程度ではあるがとても厄介な相手だ。
なのにオードは噛まれても普通に魔法を放っている。
そのカラクリは高度な魔力操作。
魔物は生きてる間、呼吸以外にも自然と微量、身体の周りを覆う様に魔素を放出している。
これは自身に取り込める許容量を超えたものを放出しているだけなのだが。
これを噛まれる瞬間、その攻撃箇所に対し体内の魔力を固める。
それによって体外の魔素にも影響を与え、強固な防御力を生み出す。
だがこれは防ぐ為では無く、むしろ食らう事を前提とした対処である。
普通毒は血液や魔力の流れで全身へと流れるのだが、それを固める事で進行がゆっくりになる。
また毒と言っても、強い魔力を当てると解毒出来てしまうので、ゆっくり対処に移れるとの事。
それを聞いてたらユキが「有り得ない、化物すぎる」とか言ってた。
俺には一切理解出来ない内容だが、普通じゃないのはよく解る。
だからオードは大体何食っても大事には至らない。
まあ、怪我とかしてない時に限るだろうが。
一応ユキの為、トカゲの毒抜きだけは進めている。
薬にもなるし。
オードは刺激が美味しいとか言ったが却下だ。
ユキの事を考えろと回転頭突きを遊びで放ち続けていたら、
───能力《回転頭突き》の進化を確認。
《竜巻頭突き》を新たに獲得しました。
更に《擬態》が《完全擬態》に進化しました。
最早頭突きじゃないんだが。
ともかく俺のスキルが強くなった!やったぜ!
どう強くなったかと言うと、その場で回転出来る様になった。
意味が分からんと思う。俺だ。
今迄これを使うと必ず前転なり側転なり移動してしまうスキルだった。
移動には便利だが、崖とか沼地に突っ込んでしまったりする事がある。
だが、今回のこれは独楽の様にその場で回転が出来る。
しかもその中心にちっさい竜巻が発生するのだが、これが割と威力がある。
試しにオードに地弾で俺と同じくらいの岩塊を投げつけられた時はマジ焦ったが。
見事に粉々に砕け散った。何これ強い。
だけど欠点も見つけた。
これをやってると周りがよく分からん。
回転頭突きも最初慣れるまで時間掛かった気がするが、これも要練習だな。
あと魔法も微妙に弾ける。
風とか地なら弾けるが、火と水はダメだった。
火に関しては種族的な弱点なのか、弱い火でもダメージになる。
いや、痛みは無いから感覚的なものだけど。
擬態がサイクロンバッシュのついでとばかりに進化したが、これは実用的になった。
壁や木々の色に溶け込める。
前は迷彩色が限界だったが、俺が動くとバレる。
だがこの完全擬態は、俺が移動すると色がそれに合わせて変化するという物だった。
オードがめっちゃ驚きながら話してくれた。
自分で見れないから嬉しいのだが、お礼とばかりに手を突き出して魔法薬を強請る。
まあ、就寝中に1000個になるようキープしているが、それも材料がある内だけだ。
砂漠とか行ったら水無くて作れないから、どうにか別のレシピも探さないとな。
因みに世界の意思が聞こえないが、鑑定の精度は大分上がっている。
鑑定時間も大分早くなった。
一応、種族が分かる程度にはなった。
狐亜人ってそのまま読んでたが、それだけを思い浮かべるとフォクシスと読めるのだ。
何か意味あるのかと思って、試しにオードとユキに適当に文字を書いて貰ったら読む事が出来る様になっていた。
が、オードが書いた方は全く読めなかった。
どうやら魔法文字とかいう、呪文用の文字があるらしく、オードはそれしか書けないんだと。
まあ、多分魔法も呪文が必要なもの覚えられそうに無いし、スルーでいいか。
そんな感じで旅の間もスキル強化に励んでいた。
見にくい箇所があったので直しました。




