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失敗勇者の邪神転生  作者: 杜邪 悠久
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隣の芝生は青く青く

旅を始めて三日目。

王国へは大体徒歩で二週間の場所にある。


王国と言っても、今行こうとしてるのはその中でも辺境地域に当たる町である。

辺境の町とはいえ、王立ギルドの本拠地が置かれており、活気に満ちた場所だという。

だが反面、最もアウリス地方でも危険区域にあるグラロマニカ大森林が面しており、魔物の侵攻の対処の為に本拠地を構えている。


そんな場所から魔物がやって来て入国出来るのかは些か怪しいところではあるが。

ユキ曰く、ギルドで発行しているランクのプレートを見せる事で、入国審査をスルー出来る。

同行者であっても審査はされるのが普通なのだが、ユキは亜人ながらも現在までの功績を買われており、信頼度も高い。

なので審査も簡単なもので済むそうだ。


旅の間も能力(スキル)の練習は欠かさない。


正直、火弾(ファイアーボール)を狩りの時にレクチャーしてくれたが、属性が合わないせいか覚える事が出来なかった。

同様に他の魔法も試したが使えない。


オードは父親に魔法を、師匠に戦い方とスキルを学んでいるそうで、今では感覚で扱える。

なので実際の説明も、


「いいっスか?火弾(ファイアーボール)は体内にぶあーって感じで魔素をシュピーンってして、バァーってすれば出るっス!」

とか物凄いざっくりした説明をされた。

全く分からなかった。

ユキに説明を求めたが、魔法は適正があって尚且つ自身の属性の相性が良くないと習得出来ない、というぐらいしか知らなかった。

むしろユキは魔法を使えないのだから、知らない方が自然だと思う。


そう考えるとオードは四属性を使える上に、鑑定上では闇の適性も持っていた。

充分異常だろう。

俺も魔法を使いたいものだ。

道具弾(キャノン)?あれは魔法って言うより魔砲じゃない。



ユキの能力もかなり強い。

空中跳躍による二弾ジャンプ。

縮地による高速移動。

奪取によるバフの対象移動。


この奪取、今回は状態異常を移す為に使われたが、本来は相手の強化魔法やスキルを奪い、自分に掛け直すというものである。

単純に相手の強化が無くなり、自身の能力が上がる。

これだけでかなりの優勢に導けるスキルだ。


因みに疾風迅雷というスキルもあったが、これは自爆技らしい。

肉体の制御、タガを外して無理矢理強化し、音速で動く事が出来る様になるスキルだ。

しかし無理矢理駆動させられた筋肉は、使った時間だけダメージを受け、能力を切った後も暫く動けなくなる。

その代わり、これを使った相手には未だに負けた事が無いらしく、その過程で称号:疾風を得ている。


この称号だが、風聞によって得る物が殆どだが、世界の意思から称号を与えられる事がある。

ユキの称号はそれに当たり、それ自体に特殊能力が秘められている。

流石に生命線なのか、効果までは教えてくれなかった。

詳細鑑定でも具体的な効果は自身の物しか見れないし。


全く、何で周りはあんなに戦闘出来る能力が揃ってるんだろ?

俺も異世界バトルやりてー。




ユキは思っていた。

どうして私にミストの能力が無いのか、を。


転生者の固有能力は、その人が前世で最も行動した行為がなる事が多い。

私の場合は、親の目を盗んで行動していたせいか、窃盗鑑定等という不名誉な能力を持っている。


恐らくミストは、何らかの物を多量に箱に詰める作業でもしていたのかと思われる。

オードは辺りを窺う行動だろうか?


そんな事より、もっと前世でお金に執着するんだった。

転生するなんて思ってもみなかった。

いや、夢見ていたけれど、それが叶うとは思わない。

結局、あの頃はお金よりも生きる事に執着していたのだろう。



成長する収納グローアップクローゼットはまさに私が欲しいと思えるスキル。

あれさえ有れば、私は今頃お金持ちになれただろう。

ミストはその辺り余り興味が無さそう。

私もお金持ちになったから何をしたい訳じゃないけど、この世界はお金さえ有れば大体何でも買える。


回復薬もそうだけど、あの魔法薬は金貨での買取りを提示してもいい物だ。

魔法薬は貴重なヒイラ草に、更に貴重な魔素水という物を使う。

魔素水は名前の通り、魔力が長年掛けて水に溶けたもので、普通は魔物が棲息する湖等から採取する。

その為危険度も高く、それに比例してかなりの値段になるのが魔法薬という訳だ。


金銭の話をした時も、正直少し嘘を言おうかと思っていた。

もし金銭感覚を身に付けて、自身に価値があるのが解ったら、利用される事を第一に考えるだろう。

そうしたら、私から離れていくんじゃないかと思った。


結果、何か普通に納得された。

廃坑での時も思ったけれど、後先考えずに行動していたりする事が多い気がする。

周りを見る能力はあるけど、普段から気を張るのが面倒な印象を受ける。


まあ、その方が私も楽ではあるけど。


楽と言えば、オード。

気さくでよく話しかけてくれる。

可愛いと言って近寄って来るが、特に悪意も無い。


しかしこのゴブリンも大概だ。

話を聞いている内にその異常度がどんどん増す。


まず属性は言うまでも無くおかしい。

火、水、風、地の四属性はこの目で見たが、更に闇属性の適性まであると言った。

魔法を扱えるのも珍しい。

魔物で知性があり、転生者であるのも珍しい。

属性が5つも適性があり、固有能力があるのも珍しい。

更に問題は職業が魔法戦士という点。


これはミストが鑑定で見た際にそう表示されたと言っていた。

魔法戦士とは、本来魔法とは遠距離攻撃が基本である。

理由は能力よりも発動が遅く、近代魔法であっても魔法使いであるが故に、戦士には近接戦闘は遠く及ばないからだ。


けれど、魔法戦士とはその近接戦闘を得意とした魔法使いを指す。

発動の早い近代魔法で自身を強化しつつも最前線に立つ。

生半可な魔力操作では出来ない芸当。


最早天才の域にいる。

私はこの二人に付いていこうと決めた。




オードは思う。

ユキちゃんと会話しててミストくんが恨めしいっス!


そりゃオイラじゃ世間の話なんて分からないっス。

そもそも師匠と旅したのも大分昔だし、その時も殆ど冒険がメインだったっスから。


ユキちゃんは何となくだけど、ミストくんに色目を使ってる気がするっス。

まさか…惚れっスか!?

ぐぬぬ……。


確かにミストくんは意外と勇敢に闘っていたっス。

回復薬があるからかも知れないっスけど。


あ、そう言えばあの魔力が回復するジュース美味しかったから、また貰えないっスかね?

廃坑で渡された時は、回復薬以外にもそんなのあったんスかと思っていたけど。


まさかあんなに甘いとは思わなかったっス!

こんな森で暮らしてると、なかなか甘い物なんて口に出来ないっスからね。

王国まで結構あった気がするし、頼めば飲ませてくれるっスよね!



そんな3人の旅路はまだまだ続く。

飼い犬の夜鳴きで寝れません。

犬「今日も仕事?でも寝かせないよ」

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