表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
失敗勇者の邪神転生  作者: 杜邪 悠久
19/123

廃坑内の闘い ②

「オード!そろそろ行けるか?!」

「OKっスよ!」

「よっしゃあ!頼むぞ!爆裂道具弾(バーストキャノン)!!」


俺は爆裂道具弾(バーストキャノン)の第2の能力を起動させる。

とは言っても別に珍しい事をする訳じゃない。

普段は固定砲台として放つこの技を、反動を利用して後ろに退く為に利用したのだ。


相手は爆風で体勢を崩し、俺は後ろに下がれる。

同時にユキも後ろに下がる。


そこへオードが魔法を放った。

「来れ水流よ!我がオードの名の下に大流を巻き起こさん!


水禍流(アクアトルネード)!!!」


呪文を唱え魔法を放つオード。

この魔法、俺が鑑定に見た時はなかったが、話によれば呪文を覚えていれば使える古代魔法の1つらしい。

古代魔法は呪文がいるが強力な範囲攻撃が出来るが、近代魔法は呪文詠唱が要らずスキルの様に放てる。

火弾(ファイアーボール)などが近代魔法だ。


魔力消費を考えても近代魔法の方が使いやすいが、盾役がいればその限りでは無いようだ。

いいぞ俺、まだ役割あるぞ!


こうして放たれた水禍流(アクアトルネード)は渦を巻き、辺りのゴブリン達を一掃する。

スゲェ…魔法強ぇー。


前衛として前に出ていたゴブリンやその後ろで弓を構えていた奴等まで綺麗に何処かへ流されて行く。


「ふふふ、ゴブリン達は少し別の場所に流させて…ぐっ」


オードは膝から崩れ落ちる。

ゴブリンの身で古代魔法を行使するには、かなりの魔素を使うようだ。

俺の鑑定では状態異常までは分からない。

だけどオードの顔が青ざめている。

俺はすぐさま中位魔法薬を掛けオードを回復させる。


「ありがとうっス」

そう言って立ち上がるが、肩で息をしている。

「ここは俺に任せて、少し俺の中で待機していてくれ」

有無を言わさず飲み込む。

オードからも反論は挙がって無い。


広場には半数以上流されたゴブリンだが、今のを耐えたのであろう。

見る限り体格が良さそうなのが4体、リーダーの前に2体…多分この2体が近衛か?

その後ろにリーダーにリーダー、四方にはゴブリンの尖兵らがまだ10体。

と思ったらユキが後ろに居た2体を倒していた。

それを確認しようと後ろを振り返ろうとすると、俺の前の方に居た1体が俺に襲い掛かってきたのを、俺はあるアイテムで受け止めた。


そう、廃坑にあった壊れたツルハシである。


俺はここに来るまでにただただ回転してた訳では無い。

《薬効調合師》のスキルは薬を作るのに特化している。

だが、普通の合成もちょっぴりだけど出来る。

俺は色々出来ないか試していた時、飲み込んだ鉄鉱石がどうなっていたかを確認していた。


魔鉄鉱 魔力103


これをツルハシと合成出来ないか試していたのだ。

結論は合成出来ない。はずだった。

そこを可能にしたアイテムこそ、あの爆発する失敗作。


この失敗作。魔素を能力素より多くすると爆風が起きる硬い石の様な物になるのだが、反対に能力素を高くするとどうなるのか?


試しに能力素が高いアイテムを探す。


マチャル草 能力素200

ただの雑草に人為的に能力素を込めた植物。粘土が高く物に混ぜると粘度が増す。


お前かよ!

最初の頃に能力素が込められないかと試していた物だった。

成長も遅いから育たないと見限っていたけれど、いつの間に能力素200に…?


まあ深く考えても仕方ない。

俺はマチャル草に魔力1の石ころを無理やり使う。

当然何も出来ずに失敗、かと思っていたら、


跳薬

ジャンプ力が増す。


失敗薬 魔素1 能力素150

粘性がある。


が出来た。

跳薬って…。

まあ結果オーライ。


その失敗薬を使い、ツルハシの金属を魔鉄鉱と馴染ませたのだ。



まさか俺が剣をこんな風に受け止められるとは思っていまい。

何せ俺も受け止められるとは思ってなかったのだから!


えぇ…このツルハシ、剣戟受け止めるとかツルハシとしてどうなのよ?とか思っていた。

何はともあれ、ゴブリンは後ろに下がる。


「ユキ、大丈夫か?」

「大丈夫…それよりあなた、今のは」

「それは後だ。俺は前のガタイのいい奴等を相手する。

ユキは後ろと左右の奴等を頼む」

「分かった」


こうして俺はそれぞれの相手と交錯する。






ユキはそのツルハシを見た事がある。

移動中、千里眼を使いながらもそれを目にしていた。


ミミックの中では激しくアイテムが独りでに移動している。

ポルターガイストのような光景。

石は草をすり潰し緑に輝く液体を作る。

鉄鉱石は徐々に煌めく。


窃盗鑑定(ヌスミミルヒトミ)を発動させる。

するとアイテムの数が前より増えていた。


まさか、この薬の量は自らで精製したものなのか、と。

確かに道中、事有る毎に道端の石ころを飲み込んでいたが、まさかそれがこれを生んでいるとは思いもしない。

おそらくはこれが彼の固有能力なのだろう。


固有能力は転生者が必ずと言ってもいい程持っているスキルだ。

この世界の者でも、それを持つ事はあるが。


これは最早常軌を逸している。

資材力なら、国の道具屋と同じぐらいだろう。


同時に考える。

このミミックをどうにか仲間に出来ないか。

今は共闘関係にあるが、これが終わればそれも無くなる。

どうすればこのミミックに取り入れるだろうか。

と、ゴブリンが襲い掛かる手を切りつける。


今は戦闘中だ。

今後を考えて今を疎かにするのは良くない。

思考を切り替え敵へと注意を向ける。

すると、ミミックとゴブリン達が対峙するところだった。




俺に向って来た4体はいずれも大きい個体。

俺はそのうちの1体へと近付き、飲み込む。

そしてそれを詳細鑑定(ミサダメルヒトミ)道具弾(キャノン)へと繋げる。

このコンボは俺の中では現在最強だ。

1度鑑定してしまえば、吐き出した後でも相手を見るだけで鑑定結果が確認出来るのは大きい。

本当なら爆裂道具弾(バーストキャノン)を放ちたい所だが、あれは放つ物体によって威力が上下する。

道具弾(キャノン)は固定ダメージと思って貰えれば分かりやすいか。


乱戦では爆風による恩恵は得やすいのだが、そもそも爆裂道具弾の方は液体を飛ばすスキルのが基本で、範囲攻撃を得意としている。

範囲攻撃の特徴なのかは知らないが、威力が単体のものよりも劣る傾向がある。

オードとかは逆何だけどなぁ。


ともかく!

俺は飲み込む、吐き出すを繰り返しながら距離を保ちながら戦闘している。

だけどこのゴブリン達、かなり連携が上手い。

4体がローテーションを組んで相手をしている。

3体が前に出て1体は下がる。

疲弊すると後ろと交代。

それを続けられているせいで俺はずっと防戦を強いられている。

辛うじて攻撃は回復薬を使ってゴリ押ししている状態だが、これ続けていたら向こうの体力が尽きるのが早そうだ。

俺の能力で体内には1000本以上の回復薬がある。

一撃必殺でもされない限り、俺は負けない。


と、見ているとユキも数の暴力で防戦に回っている。

だが俺と違い、隙を伺っては確実に数を減らしている。

だけど身体には無数の大小傷がある。

回復薬を渡したが、持てる数に限度のあるユキやオードは回復薬を限界まで使わない戦法を取っている。


…と考えると俺はその意味ではやっぱりインチキ臭い気がする。

今もあまり恐怖を感じずに戦えているのが何よりの証拠だ。


しかしユキまで脱落されるのは痛いので、俺は道具弾(キャノン)で回復薬を飛ばす。

そう、俺は道具弾キャノンを用いれば、少し離れた相手にも回復を施す事が出来る。

また爆裂道具弾(バーストキャノン)の場合は範囲効果が付く。

これを使い分ける事で回復役すら出来るのだ!

……攻撃力が今後の課題だな。


だが、それを見たゴブリン達は狼狽える。

そりゃそうだろう。

幾ら数が多くたって、ずっと回復され長期戦を強いられるのは、相手にもかなりの負担だ。

そろそろ諦めて杖返してくれないかな。


そんな中、1体のゴブリンが遂に動く。


「どけ」


その一言でゴブリン達は道を開ける。


「少し見くびっていたようだ」

「…杖を返してくれるなら、停戦しよう。

そちらにも被害を出したが、先の言葉を借りるなら、この世は弱肉強食だ。

恨みはしても文句は言えないだろ?」


そう言って牽制する。建前上。

本音は超顔怖い。

何このゴブリン、背高い上に顔の厳つさオード以上なんですけど!?


「そうだな、部下達では太刀打ち出来なさそうだ。

数で攻めても魔法で流されてはな…」

「なら」

「だがこちらにも意地がある。

どうだ?俺様とそちらのゴブリンで決闘するというのは」


何だと?

オードは今魔素切れに近い状態。

俺の中で魔法薬を飲みまくってるだろうけど。


そもそもオードは遠距離でこそ、その真価を発揮するのに対し、相手は接近戦が得意に見える。

この広場も広いとは言え、半径20メートルも無い。

流したゴブリン達がいつ戻って来るか分からないのに、オードに戦わせて魔法が使えない状態で挟み撃ち、なんて事も有り得る。


どうしよう…この辺りが引き時か?


そう思っていると俺の中からオードが無理やり飛び出してきた。




「分かった、オイラと勝負するっス」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ