一枚の写真
家をバックに家族が写っている一枚の写真がある。祖父、祖母、父と母に男の子が一人。皆がそれぞれ幸せそうに笑っている。
ある日、祖父が亡くなった。すると、それまで写真に写っていたはずの祖父の姿が写真から消えた。
次に祖母が亡くなり、祖父の時と同様、写真から祖母の姿が消えた。
それから何年もの歳月が流れ、写真に再び変化があった。いつしか子供から大人へと成長した男の子の傍らに女性と、その女性との間に子供が写っている。父の頭には白髪が目立ち、母の笑顔にもしわが増えていた。
変わらないものがあるとするなら、皆がそれぞれ幸せそうに笑っているという事である。