狂う紅魔館
[博麗神社]
(霊夢さんは、この神社の巫女さんらしい。そして、この世界のバランスを保つ為、代々妖怪退治をしている・・)
(・・私は害はないと見なされたのか、殺されなかった)
『紫ー?いるんでしょ?』
??・・・!!
霊夢が突然何もない空間へ向かい大声を出した。
突如空間が切り裂かれ、その中から金髪のロングヘアーの妖艶な女の人が現れた。
『はいはいー。お帰りー?霊夢』
(この人が、八雲・紫・・・・?。とてもそんな凄い人には見えない。てか、こんな綺麗な人だったのか・・)
『紫ー?その人が用あるんだって。』
紫は、美鈴を見て首を傾げる。
『・・誰かしら?』
『はい!紅・美鈴と申します!八雲紫さんにお願いがあり、参上しました!』
『・・お願い?』
『はい!単刀直入に言います!・・ある人を、貴女の力で生き返らせて欲しいんです!お願いします!』
美鈴は、土下座をした。
長年生きて来た美鈴。今までやったことのないそれは生まれて初めての事だった。
(・・こんなことで、咲夜さんが生き返るなら、私は何度でも・・・)
・・・・・。
返事がない。
『お願いします!』
美鈴は再度、頭を下げた。何度も額を地面にぶつけ、頭からは流血していた。
・・・・。
紫はそれを憐れんだ目で見ていた。・・・そして
『・・無理よ。一度死んだ人を生き返らせるのは、私には出来ないわ。それに、なんの関係もない、知らない人の為に動くなんて、面倒くさいだけだわ』
・・・・!?
(・・・・・出来ない?そんな・・・馬鹿な?・・・それじゃあ、もう、咲夜さんは?・・もう、話すことも出来ないのか?・・・私は・・・)
・・・。
それを聞いても頭を上げず地面に擦り付けている美鈴を見て霊夢が憐れみ、後押しをした。
『紫?私からもお願いするわ。生き返らせるのは無理でも、貴女ならなんらかの方法があるんじゃない?見るだけでもいいから、行ってやってくれない?』
(・・・霊夢さん・・。ありがとうございます・・そしてすいません・・・。この人は良い人だ)
美鈴が心の中で霊夢の心遣いに感謝していると霊夢が近寄り小声で美鈴言った。
『別料金』
・・・・・・。
・・・・・・。
(ですよね・・・。でも、それで咲夜さんが生き返る道が開けるなら、私はいくらでも出します。・・・ありがとうございます)
紫は霊夢の言葉を聞き、少し呆れながら。
『・・・もー。仕方ないわねー?霊夢がそんなに言うなら、見るだけ見に行ってあげるわ』
・・・・・!?
『本当ですか!?』
『えぇ。でも、見るだけよ?本当に蘇生は出来ないんだから』
『それでも、いいです!』
(よし!これで一応、望みは繋いだ!紫さん、ありがとうございます!霊夢さん、ありがとうございます!)
美鈴は霊夢の方をチラリと見て、深々とお辞儀をした。
・・顔を上げると、霊夢は左の人差し指と親指をくっつけ、円の形を作り、ニッコリとしていた・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・なんにせよ、希望は出来た。これで咲夜が生き返るかも知れない。
紫の力にパチュリーの知識とレミリアの能力。これだけあれば・・・と、美鈴は希望を持ち、皆で笑って過ごす日を夢見た。
そして急ぎ、紫を紅魔館へ案内した。
『紫さん!此方です!付いてきて下さい!』
『そして霊夢さん!本当にありがとうございました!』
笑顔で手を振り見送る霊夢。頭をポリポリ掻きながら嫌そうに付いてくる紫。霊夢に手を振り、紫の手を引き喜びながら走る美鈴。
紅魔館の現状を知らない今の美鈴には、希望しか見えていなかった。
[図書館]
609・・・グシャ。
610・・・グシャ。
611・・駄目ね・・グシャ!
612・・これも駄目・・・グシャ!
613・・・・・グシャ・・・
[紅魔館]
美鈴は紫と共に紅魔館に着いた。
門番には小悪魔がいた。パチュリーに門番をするように言われたらしい。
取り敢えずパチュリーに紫を会わす為、美鈴は図書館へ紫を案内した。
ッ・・・・・!?
(物凄い鉄の匂い・・・いや、これは・・・・・血の匂い!パチュリー様は無事なのか!?)
美鈴達が図書館に入ると血の匂いが充満していた。周りは真っ暗だった。奥に灯りが見えたので美鈴は紫を連れ、奥に向かって行った。
奥に進むに連れ血の匂いが強くなる。
・・・グシャ!
・・・・711・・グシャ!
蝋燭の灯りだけの中で、誰かがいた。
『パ、パチュリー様?』
『・・美鈴?』
物凄く小さい声だったが、間違いなくパチュリーの声だった。
『は、はい!美鈴です!』
美鈴はパチュリーと思われる人影に近づいた。・・・。
『美鈴?』
『ねえ?美鈴?』
・・・・・・・。
・・・・・・・。
『私は、あと何人、咲夜を殺せばいいの!!何人殺せば咲夜は生き返るの!?』
ッ・・・・・・!?
美鈴はパチュリーの大声と共に足が止まった。そしてはっきりとパチュリーを視認した。
・・・・パチュリーは血塗れだった。
美鈴は慌てて周りを見渡す。
・・・・ッ!?
パチュリーの周りには・・・咲夜の死体の山があった。
ヴッ・・オエエエェェェ・・・。
美鈴は、思わず吐いてしまった。余りにも酷い様の死体。
首の無い者。
手足の無い者。
心臓の無い者。
体半分の者。
そんな咲夜の死体が100・・・いや、500は越えて山積みにされていた。
・・・パチュリーは泣きながら美鈴に縋り、言った。
『最初はね?動かないし喋らないし、目がなかったりとかだったの?』
『少しずつ喋るようにもなってきて。・・・痛い。やめて。とか言うのよ?不完全で体のどこかがおかしい咲夜が。・・・まだ咲夜じゃないのに。』
『そして、今は泣くのよ?不完全なのに!本当の咲夜じゃないのに!咲夜の声で!』
『泣きながら、助けて。とか、殺さないで。とかいうの・・・・咲夜の声で!・・・・何回も・・・何回も・・・!』
『でも、これは咲夜じゃないの。失敗作なのよ?それでも、私には咲夜に・・・』
『それでも!それでも!・・・・それでも!!私はレミィの為にも咲夜を殺さないといけないの!!じゃないと、レミィが・・レミィが・・!!』
パチュリーは泣き崩れた。美鈴は唖然としたまま動けなかった。
その咲夜でない咲夜の山を見つめたまま・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・。
『ホムンクルス生成によるクローンね・・・』
黙って見ていた紫が、口を開いた。




