レミリアの力
【図書館隠し部屋】
咲夜の力の使用を制限したレミリア。
それは戦力の大幅ダウンという決断だった。しかしその決断を咎めれる者は誰もいなかった。
・・・咎めれるはずはない。それは言い換えれば咲夜に『死ね』と言っているのと変わりはないのだから・・・。
『・・あのー?』
美鈴が毎度の如く、申し訳なさそうに手を挙げながらレミリアに話掛けてきた。
話を変えたかったレミリアにとって、それは有難い事だった。
『その・・・。妹様をここに連れてくるわけにはいかないですかね?』
(・・フラン。・・・そうよね。美鈴の話が全て本当だとすると、いつまでもあそこにいては危険だわ)
『パチェ!?フランを迎えにいくわよ!』
(それに早く私もフランに会いたい)
『レミィ!待ちなさい!』
『え?』
急ぎフランを迎えに行こうとするレミリアをパチュリーが制止した。
『レミィ?まずは現状の整理をしてみて?・・外には兵がうろついている。貴方と咲夜は死んでいることになっている、見られてはまずいわ。・・・そして、美鈴は治療を急ぐ為に動かすわけにはいかない。この分だと全快には夜中までかかるわ。同じく私は治癒で動けない。こあには入り口の見張りをしてもらわないといけない。』
(・・でも。)
『でもこのままじゃ!』
『貴女はフラン様のことになると冷静でなくなるのが欠点ね・・。無理に連れてくるくらいなら、ここはまだフラン様は関係ないということにしといたほうがフラン様は安全だと思わない?』
(・・フラン。・・ッ!?)
(・・こ、これは?あの時と同じ・・・。)
(・・フラン?・・書状?)
(フランが書状を持ち、こあになにかを掛け合ってる景色が見える・・これってまさか?)
『美鈴?』
『はい?』
『あなた、お父様と謁見したと言ったわね?』
『はい、しました。そこで図書館にいけと』
『その時、書状をもらった?で、それは今フランが持ってる?』
・・・!?
『え!?私、書状の話してませんけど。なぜ?しかも、なんで妹様が持っていることまで?』
(・・少し試してみようかしら)
皆が不思議そうにレミリア見ている。レミリアの知り得ない情報を彼女は知っていたのだ。
『恐らく、その書状を持って・・フランがここへ来るわ。』
・・・・ッ!!?
【地下牢】
『・・美鈴、遅いなあ・・・。』
フランは、待ちきれないのか扉の前をウロウロして、迎えに来るはずの美鈴を今か今かと待っていた。
『遅いなあ・・』
(・・前もこんなことが・・。・・!?あ!お姉様の時だ!そしてあれからお姉様は帰って来てない!・・まさか!美鈴も!?)
『・・いやだよぉ。』
半分涙目になりながら、座り込むとポケットになにか入ってるのに気付く。
・・・!!
(そうだ!)
フランは書状の事を思い出す。
『確か、図書館だったよね。・・・よし!』
フランは両手で顔をパンッと叩き、書状を握りしめ牢をゆっくりと開けた。
そもそも、この牢に鍵という鍵はない。姉妹は父の命令には絶対だった。
故に出れても、出ようとはしない。鍵なんかは不要な物なのだ。
(・・うわあ。兵士が一杯だあ)
コソコソ隠れながら、フラン進んでいった。こういう時、小さい体は便利だった。
屋敷の造りも解っている。フランの小ささだからこそ、ばれずに隠れながら進めた。
・・・・。
『・・あった!図書館だ!』
入り口には小悪魔が暇そうにしていた。
あくびをしている時、急に物陰から子供が飛び出して来た。
・・・ッ!?
『フラン様!?』
『小悪魔、久しぶりだねー!ねえ、お姉様いるでしょ?通して?』
(レミリア様は死んだことになっている、それにメイドが見ている)
『いや、ここにレミリア様はいませんよ?』
『えー、そんなはずないよー?』
(まずい、メイドが聞いている。しかも死んだとはフラン様には言えないし)
渋る小悪魔にフランは少し苛立ちながら書状を見せた。
『これ!お父様から書状!これでも通さないの!?』
お父様と聞き、メイドはそそくさと離れていった。
これで周りには誰もいなくなった。本来周辺にいたはずの兵は咲夜が少し前に倒していて、隠していたのだ。
『あ、あ、主様の書状ですか?・・では、パチュリー様に見せて、許可を取るので暫らく待合室でお待ち下さい』
『うん。』
小悪魔は隣の待合室にフランを案内し、その後図書館の中へ入っていった。
『パチュリー様!フラン様がこれを!?』
!!!!
(当たった。・・・皆驚いている。そりゃそうよね。私も驚いているのだから。)
『レミィ、一体どういうこと??…その前に、こあ。フラン様にはすぐに帰ってもらいなさい。今、図書館の近くに居ては危険だわ』
『パチェ!・・待って!』
・・・ッ。
(・・・なんとなくだけど自分で見れるみたいだわ。強く願えばその時知りたい未来が見える)
・・・牢の前で兵に囲まれ、取り押さえられ縛られるフランが見えた。
・・そして勝手に迎えに行き、その現場に合い、助けようとして殺される美鈴と小悪魔・・。
『パチェ!!フランをこちらへ呼びなさい!早く!』
『??……さっきのことと関係あるみたいね?』
『いいから早く!それからその後、ばれないよう小悪魔に牢の前を偵察してもらってきて』
『…こあ!』
『はい、パチュリー様』
レミリアの慌て様から、緊急を感じたパチュリーは理由について深追いをやめ、ひとまずは迅速に対応した。
小悪魔を直ぐに偵察に向かわせ、自身はフランを迎えに行った。
・・・・。
・・・・。
ガチャ。
『お姉様!美鈴も!』
フランは嬉しそうに走り、レミリアに抱きついた。
レミリアはそれを安堵した様子で迎え入れた。
・・咲夜は自分との対応の違いに少し羨ましそうだった。
(フラン・・良かった。)
レミリアは泣いていた。
フランも泣いていた。
『フラン様……良かったです』
美鈴は約束を果たせた満足感、安心感、達成感に包まれ、喜ぶ二人を見て感動し泣きそうになっていた。
しかし、そんな美鈴をフランがキッと睨みつけた。
『美鈴!ひどいや。信じて待ってたのに!嘘つきは許さないぞ!嫌いだ!』
『…すいません……』
違う意味で泣きそうになる美鈴がいた・・・。
レミリアはそんな美鈴に救いの手を差し伸べた。
『フラン?それはね?』
レミリアは美鈴が来れなかった理由、自分が今までどうしていたか、今がどうなっているか、これからどうするつもりか、と言う事を全てフランに話した。
・・・・
・・・
『・・そうだったんだ・・美鈴ごめんね?・・許してくれる?』
『いやいや!許すなんて、そんな!フラン様が喜んでくれるなら私はなんでも!』
美鈴どうやら照れてるようだった。その時、牢へ偵察に行った小悪魔が帰ってきた。
『パチュリー様!大勢の兵が牢の周りにいて、殺気を漂わせながらフラン様を探してました!』
(・・・やっぱりね)
『レミィ?どういうこと?』
『・・未来予知。そしてそれを変えた先も見える。余り長くはまだ見れないけどね。』
!!?
(言った自分でも嘘みたいだが、事実この光景も見ている、そしてこの後は咲夜が)
『さ、流石お嬢様!それって運命を左右、、いや!運命を操ってるようなものじゃないですか!?』
(と興奮気味に聞いてくる。まったく・・相変わらず私のことはどんなことでもすぐ信用する。)
咲夜の戦力の低下・・・希望を見出だせなかった皆は縋りたいという気持ちがあったのか。それとも信頼関係なのか。誰一人疑わずにソレを信じた。
『レミィにそんな力が付いたのなら、この戦い。勝ったようなものね?』
『それで?これは?』
パチュリーは書状を開き、目を通した。
『あ、主様が図書館に入る為に持って行けといってましたけど、たぶんもう必要ないかと』
!!!
??
パチュリーの表情が青ざめる。
『レミィ!急ぐわよ!』
レミリアはパチュリーが見せてきた書状を手に取り目を通した。
・・・ッ!?
《道化よ。レミリア共々死ぬ準備は出来たか?もう待てぬぞ?》
外にはもう月が出ていた。
・・・吸血鬼にとって一番魔力の高まる、[絶対時間]だ。




