第81話『ターゲットはただ1人』
集まった現役の中で真っ先に動いたのは言うまもでなくこの男だった。
センスに優れた万能の器。
桜香に技術で抵抗してみせた奇跡のアホが、期待を裏切らずに疾走する。
勝算を投げ捨てて、挑むことだけは決してやめない。
世界最強の桜香キラーが動く。
「陽炎!」
『パターン・セレクト』
滅茶苦茶で不規則な魔力の流れ。
目敏い者は健輔が何かをやったと理解して、同時に嘆息した。
外から見てわかる魔力の流れは明らかに普通ではない。
あれでは防御をしようにも上手く力の配分が出来るとは思えなかった。
かつて桜香に見せた必殺のノーガード戦法。
その密かな進化系がこの前準備に必要なのだが、見ているものには真意は伝わらない。
意味のわからない狂気の戦法を前にして、ヴァルキュリアの2年生たちが固まった。
常識を投げ捨てて全力で踏み躙るスタイルは慣れていないと驚く。
「いやー、何かやると思ってけど、アホすぎるでしょう! あの魔力流れ、最高に面白い予感がするね」
「健輔様は、歴史に名を残す方ですから。常人ではやろうと考えても、実行に移さないことを平然とやってしまわれますしね」
逆にアリスたちは至極普通の様子で健輔の吶喊を見守る。
こいつはこれくらいはやりかねない。
そのように思っていた者たちには驚くほどでもなかった。
健輔を良く知るからこそ、大した衝撃もなく受け入れたのだ。
皇帝という非常識と触れ合っている彼女たちにとって、この程度は日常茶飯事だった。
「ま、やっぱりあいつは敵になるわね」
「ええ、厄介な敵ですね」
驚くに値はしないが、感嘆はしている。
自分には出来ない、と認めるのは吝かではなかった。
そして、改めてアリスは思う。
「ホントに、バカは手におえないわ」
アリスたちは呆れたように推移を見守る。
これは彼女たちが挑戦の対象ではないからこその余裕でもあった。
逆の立場、挑まれている側にはそこまでの余裕はない。
前に桜香と戦ったよりもさらに狂気度を上げた戦い方が、脇目も振らずに不滅の太陽に迫る。
健輔との戦いは楽しいが、流石にいきなり心臓に悪いとは思っていなかった。
「うおおおおおおおおおおおおッ!」
「本当に、あなたと言う人はッ! 毎回、毎回!」
この時、桜香の顔に浮かんでいた表情は実に奇妙なものだった。
嬉しいのか、怒っているのか、もしくはどちらもなのか。
一体どういう感情なのかを本人も理解していない。
わかっているのは、魂が命ずるままに刃を振るっているということだけ。
先ほどまでの戦いよりも規模自体は下なのに、魔力の質が明らかに違う。
どこまでもいけるような全能感が彼女を包んでいた。
「はああああああッ!」
正面からの大振り。
カウンターを取られやすい大技だが、あえて隙を見せることで健輔の出方を見る。
己の防御力も考えて最悪一撃を受けても良しと判断していた。
健輔でも出力の壁は簡単に超えられない。
ましてや、今の桜香は絶好調なのだ。
倒せないはずがない。
確信を抱き、振り下ろした剣。
流れるように次の動作に移るが、
「――はっ」
「えっ」
交差する一瞬、健輔は確かに笑った。
予想通りに動いてくれてありがとう、と言わんばかりの笑みに桜香の中で何かが叫ぶ。
「くっ、このまま!」
周囲に響く甲高い音。
魔導機同士が激突した音だと気付いた時、桜香はこの状況を現実として受け入れた。
「私の、統一系を……正面から止める……?」
「おいおい、俺は言ったぞ。万能系に、2度目はない! ましてや、この俺に同じ技が通じるかよッ!!」
「ば、バカな……どうやって!?」
膂力の問題ではなく系統の問題として、統一系は既存の系統全てを保持している。
この系統の力を込めた魔力は複数の性質を発現させるのだ。
現在、桜香は細かい制御は出来ていないが同時に複数の性質を均等に高めることが出来る。
正確にはそれしか出来ないのだが、問題にならないほどに強いのでここまで誰も破れなかったのだ。
クリストファーの圧倒的な密度の黄金でも完璧な突破が不可能な時点で通常の魔導師には絶対に抜けない壁である。
そして、最強の壁はそのまま最強の剣になってしまう。
如何なる防御も許さない。
つまりは魔力的な性質を無効化する斬撃に魔導師は沈むしかない――はずだった。
「別に大したことじゃないさ、とにかく無敵の系統に見えるが、別にそんなことはない。普通の白兵戦だったらある程度のダメージはあるみたいだしな」
「それは……」
魔力に対する絶対性。
これとよく似た力を健輔は知っている。
それを突破するための方法も心得ていた。
どれほど出力に差があろうとも穴があれば針を通すのが万能系である。
「言っただろう? パターン、セレクトってな」
「まさか、魔力の性質を……!?」
「ああ、選んでるんだよッ!」
基本として魔力の性質は1つである。
色に例えるならば一色であり、2系統を同時に使用するのは色を混ぜるのではなく別々の色を塗る行為なのだ。
しかし、統一系とそして健輔の『回帰』は違う。
統一系と撃ち合える健輔の『回帰』は全ての系統の性質を備えている。
それも個別では混ぜ合わせる形で、つまりは統一系と力の性質こそ違うが立脚点は同じだった。
違うのは、健輔には細かな配合の指定が可能だと言うことである。
このまま普通に戦えば桜香の方がパワーで圧倒的なため、健輔が消し飛ばされるだけなのだが、ここでセレクトという言葉が意味を持つ。
リソースの集中。
健輔が対桜香用に見出した戦法は魔力のより細かい部分にまで及んでいた。
普通は均一の魔力の性質に偏りがあれば、当然桜香に砕かれる量も変わる。
生きのこる性質が残る以上、健輔の力が効果を発揮するのは必然であった。
「しょ、正気ですか!? 戦闘中に、そんなことをしていれば、何が起こるかわからない!」
浸透系の力を使いたいのに発動する時に最小限しかなかったら意味がないだろう。
分割思考は戦闘でも有用だが、瞬時の決断が求められる前衛では全幅の信頼はおけない。
普通は絶対に取らない選択肢。
戦うよりも弱体化の方が激しいだろう。
桜香から漏れ出た掛け値なしの本音。
バカか、と叩き付けられた健輔は楽しそうに言い返す。
「バカだなっ! 正気でやるから、面白いんだろうが!」
絶句。
桜香が言葉を失う。
誰よりも健輔を評価していたが、まだ甘かったのだ。
魔力の性質を偏らせて撃ち合う。
言うなれば自分の武器のコンディションがよくわからない状態で戦っているようなものだ。
身体系の肉体強化は最低限あるとしても、刃に籠めた魔力にどこかミスがあれば受け止めた時に消し飛ばされる危険性はあった。
勇気を通り越して無謀な挑戦。
しかし、健輔はやってのけた。
「回帰は進む。いつか、空に至るために――てな!」
「言いますね!」
「おうよ、前言っただろう? 必ず、あなたを超えるってな」
「――それは……」
統一系と正面から戦える数少ない1人。
パワー不足を戦い方と工夫で補っている。
本来はその程度で埋まる差ではないが、桜香の力が制御出来ていないという事実がここで重く圧し掛かるのだ。
「これでも正直者で有名でな。俺は、嘘は吐かんさ」
アホな博打だが、健輔としてはやる意味があった。
正面から桜香と戦って敗れたからこそ、健輔だけが知っていることがある。
桜香の統一系は桜香が持っている系統を詰め込んだ玩具なのだ。
一律、全てが平均的であり、お互いに干渉はしないが力の元自体は統一されている。
使いこなせればまさに最強の系統なのだが、化け物的な性能は桜香の制御すらも完全に振り切っていた。
「性質は発現しているが、制御は出来ない。つまり、統一系は無理矢理纏められているってことだろう?」
「ぐっ……!」
桜香が制御出来ていない理由、それは統一系が強大だからと言うことも原因だが、本質的には別のところに問題があるのだ。
自分の系統でも、破壊系は全ての魔力を破壊する。
ごく自然に桜香が統一系でも破壊系の資質を得ていることからわかりにくいかもしれないが、統一系となっても性質は発現しているのだ。
桜香でもまた完全に纏めきれていない。
この弱点を突けるものなどほとんどいないが、非常に残念なことにこの男が該当している。
無理矢理に纏められた部分を、彼は引き剥がせるのだ。
「本当に、厄介な!」
「性分だ。諦めてくれ!」
健輔の意味不明な領域に達した制御力に桜香が後手に回る。
瞬時に全ての系統を発現するが偏りを生んでおく。
普通は絶対にしないが、だからこそ健輔は挑む。
これくらいはして常識を超えないと勝てないと確信している。
「しかし、まだ甘い!」
健輔は確かに統一系を揺らすことが出来る。
同時に、それだけしか出来なかった。
彼我の差。
純粋な力の強弱が、彼に桜香という城壁を砕く力を与えない。
仮に――1人だったのならば、これは揺るぎようのない事実だった。
「そうね。あなた、意外と甘ちゃんよね」
「なっ――!?」
背後からの強襲。
健輔が狙っていた訳ではないが、劇的な登場をした彼に桜香の視線は無意識でも集められていた。
強者であるという自負を最悪のタイミングで突く。
これは1対1の決闘ではないのだ。
目前の敵にだけ極限の集中力を使えばよいというものではない。
「っ~~!」
桜香が剣の振るう場所を迷った。
刃を向けなかった方に無防備を晒すのは確定している。
もはやどちらかの方が被害を減らせるのか、というのが焦点になっているのだが、健輔を評価するからこそ桜香は決断出来ない。
戦場での迷い、この似た者同士の前では致命的なミスとしか言いようがなかった。
「見えたッ!」
「貰う!」
関係性からすると妥当としか言いようのない完璧なタイミングで前と後ろから両者が攻勢に出る。
当然の如く防御を捨てて裸突貫の健輔。
当然の如く攻撃に全振りで防御は最小限の葵。
著しく攻撃に偏ったバカ2人の攻撃が、棒立ちの桜香に直撃する。
「いえ、まだです!」
服に攻撃が触れる瞬間に、魔力を一気に放出することで防御を行う。
背後から迫る葵に向けての最大放出。
ワンテンポ遅れてだが、桜香は明確に脅威を定めた。
葵も脅威だが、桜香にとってだけは正面の男性こそが警戒すべき存在なのだ。
無様を晒さないためにも、相対すると決めている。
「はああああああああああああッ!」
「このぐらい、でええええええええええ!」
桜香の剣が健輔の双剣を迎撃する。
間一髪での防衛。
確かに桜香は健輔の攻撃を防いだ。
『健輔』の攻撃を防いだのである。
桜香の攻撃を受けて弾き飛ばされる時、確かに桜香は健輔と目があった。
「――抜け目のないッ!」
統一系の纏められた力が確かに緩む。
弾き飛ばされると理解していたからこその所業。
上手く弾き飛ばされたら無傷でいけると確信していたからこそ、干渉に全力を傾けた。
緩んだ力。
抑えるのに、桜香も力を傾けないといけない。
ならば、
「私は、止められないわよね?」
ここで彼女が止められないのは当然の帰結である。
片手であろうが、全てを籠めた左腕。
敵を喰らわんと猛る力に陰りはない。
「藤田、葵――!」
揺れ動く天秤で、どうしても目を離せない存在から意識を逸らせなかった。
桜香の未熟を、容赦なく突く戦法。
最強を認めたからこそ、彼らは全力で戦う。
葵の伝家の宝刀。
健輔にも受け継がれた必殺の攻撃――腹パンが桜香に明確なダメージを刻んだのだった。
「なるほど、真由美さんが絶賛するだけある。流石のコンビネーションですね」
いつでも手を出せるようにはするが、実際には様子見という選択。
レオナの判断は正解だったと言えるだろう。
世界大会の決勝でもそうだったが、葵は肝心なタイミングで桜香から何かをもぎ取るのが上手い。
健輔のアシストもあるが、圧倒的な格上から2度も奪い取ればそれはもはや奇跡というよりも葵の実力であろう。
土壇場における勝負強さでは、レオナが知る魔導師の中でも飛び抜けている。
桜香という極点が揺らいだからこそ、戦場に確かな波が立った。
イリーネたちのように目の前に集中し過ぎて敵を見逃すことはレオナにはない。
このタイミングが動く時だと確信していた。
「イリーネ、わかってると思いますが」
「はい。積極的に前に出ます」
「ええ、お願いします」
この状況での突撃は葵との戦闘を意味している。
白兵のスペシャリスト相手に前へ出ろ。
イリーネは決して弱くないが、純粋な格闘戦の性能は流石に葵には勝てないし、健輔にも勝てるかどうかは微妙なラインである。
ここで普通の指導者ならば中距離戦で牽制しながら戦え、と指導するのだろうが、レオナ・ブックは普通ではない指導者たちに指導されてきた。
真由美も、きっとフィーネも苦境だからこそ、我武者羅に前に出るべきと言う。
そのように確信していた。
いつまでも最強を見て惚ける訳にもいかないだろう。
「――散開、試合を動かします」
レオナの号令に従い、カルラとイリーネ、リタたちが別々の方向へと飛び立つ。
戦乙女たちも既に真由美から魔導師の流儀は学んでいる
偉大な指導者たちの教えを胸に秘めて戦いに赴く。
「さて、戦いはまだ始まったばかりです。確実に詰めていきましょうか」
戦いのインターバル。
桜香が一瞬とはいえ、無力化された隙を突いて周囲の敵が動き出す。
迅速に行動を開始したのは、ヴァルキュリアだけではない。
レオナが判断したのと似たような経緯で、この展開を待っていたシューティングスターズが動く。
この場にいる流星は、全員が2年生。
上級生がいるヴァルキュリアには経験で劣っていたが、補うものはしっかりと準備を終えている。
「アリス、吶喊するわよ!」
杖に魔力を集結させて、アリスは一条の槍となる。
貫通力だけを考えた一極集中。
自らを武具に見立てた一撃が、流星となって敵へと向かう。
ラッセル姉妹の巨獣も、獅子の鬣を靡かせて戦場へと舞い戻る。
彼女たちのとっての敵。
この場での最大の障害とは、桜香に吹き飛ばされた例のあいつである。
「あんたが、1番厄介だからね。とりあえずは落とすわ!」
閃光のように空を掛けるアリスと言う名の槍。
移動と攻防に優れた術式であり、速度に優れた魔導師でないとまともに術式を当てるのも難しい。
敵に成りえる存在からは余すことなく学習する。
アメリカ的な合理性を以って、アリスは自らのバトルスタイルを構築していた。
砲撃は基礎であり、核であるが、絶対ではない。
必要ならば、時々に応じて破棄をするのも吝かではなかった。
「クスクス、アリス様は楽しそうですわね」
「本当に、羨ましくなってしまいそう」
鮮やかに巨獣を操作しながら、姉妹は微笑む。
巨躯と魔力に対する高い耐性。
桜香ならばただの虚飾でも、健輔には必殺に近い怪物である。
こんなものに命を狙われてしまえば、普通は諦めてしまう。
「なんとも、俺の勝利を確信するとは。いい奴らじゃないか」
吹き飛ばされながらも既に体勢を立て直していた。
脅威の対応力で健輔は動き出す。
顔には浮かぶのは、己の隙を狙ったアリスへ賞賛の笑み。
「歓迎するぞ――盛大にな!」
魔力の迅速な部位移動。
敵の巨獣は確かに巨大だが、その巨体ゆえに接触する部分は健輔が選べる。
相手の動きが機敏かどうかなどは、最初から考えていない。
敵に関する情報は最小限で、もしもの恐怖を忘却する。
「陽炎!」
『アリス様が前に来ています!』
「知ってる。だから、前に行くんだよ!」
『相変わらず、無茶をされるっ』
相手を貫くことだけを考えたフォームは付け焼刃の準備では防ぐことも、迎撃することも出来ない。
しかし、回避も選択としてはあり得ない。
アリスを回避出来ても、次に繋がらないのだ。
よって、健輔らしい解答は1つだろう。
迎撃をする――ただし脇道から、であった。
「健輔、貰った――」
わよ、と続けようとしたアリスの軌道が大きくずれる。
重心を引っ張る力に、プリンセスの表情が歪む。
「ちょ、ちょっと!?」
「はいはい、1名様。地上への着陸コースへどうぞ。シートベルトはしておけよ」
「お、覚えてなさいッ! と、止まって!?」
海に突入するアリスミサイルをイイ笑顔で見送る。
正面と後方に魔力を集中させるのは面白いが、健輔だけには悪手だった。
脇という絶好のポイントに重力を操作してしまえば勝手に大地に引かれていく。
発想は悪くないが、発想のぶつけ合いで健輔に勝てるはずがない。
桜香ですらも力押しでしか勝てない時点で小細工でこの男に優る存在はそうはいない。
「うんで、今度はこの可愛らしい猫か?」
「獅子に対して、この暴言」
「まあ、可愛いというのは嬉しいですわよ?」
ヴィエラの天然ボケをスルーして、ヴィオラは獅子の腕を振り降ろし――次の展開に眉を顰めた。
「ヴィオラ」
「ええ、お姉様。本当に、厄介な殿方ですわ」
巨獣が崩れる。
攻撃を仕掛けて健輔と接触した際に起こった怪事。
犯人がニヤリと笑い、ラッセル姉妹は苦笑する。
獅子はもう1度生み出せばいいだけだが、健輔の手品のタネを考えればこのままの攻勢に意味はないだろう。
分配を弄った魔力で浸透系と破壊系の割合を上げて、内部に流し込んだのだ。
抵抗するだけの力がないと何度やろうと魔力攻撃では意味がない。
「魔力の扱いでは、健輔様に優る人はいなくなるかもしれないですわね」
「ええ、遠くない将来、あの方はまた強くなるでしょう」
アリスを回収して、仕切り直しのために距離を取る。
無理をして健輔を仕留めるのも選択ではあったが、全く勝てるイメージが湧かなかった。
敗北を心が認めているような状態でぶつかっても意味はない。
参謀として、アリスをサポートするヴィオラだからこそ決断は早かった。
攻めるべき場面もあるが、退くべき場面もある。
今がそうだと、ヴィオラは強く感じていた。
「まだまだ荒れますわね」
桜香もダメージを受けたが健在であり、アマテラスにはまだコーチの召喚が残っている。
均衡状態はまだ崩れた訳ではない。
クォークオブフェイトが僅かに飛び出たが不安要素はある。
しかし、ヴィオラにはある予感があった。
この試合が始まってから見ておいて然るべき人物をまだ見ていない。
クォークオブフェイトが何かしらの動きを見せているのは明らかだった。
「ヴァルキュリアも不気味ですし、本当に……厄介で楽しい方々ですね」
「そうね。私たちも、恥じないように精いっぱい踊りましょうか」
1つの山場を越えても、まだ挨拶は終わらない。
お互いを理解し合うまで、4チームの殴り合いは止まらないのだった。