人物紹介2
チーム『クォークオブフェイト』
戦績――昨年度準優勝。
夏の合宿を経て更に進化した日本最強のチーム。
新人を含めての総合力では現時点で3指に入るであろうと目されている。
合宿を経て成長した2大エースの存在が最大の特徴。
佐藤健輔――2年生。系統:万能。魔力光『白』。
(天昇・万華鏡)――系統:特殊。魔力光『白を基本として不定』。
魔導機――第7世代人格搭載型特殊概念実証機『陽炎』。
2つ名――『境界の白』――世界ランク第6位。
新術式『天昇・万華鏡』を完成させたことで能力を飛躍的に上昇させたクォークオブフェイト最強のエースにして最強のエースキラー。
単独で桜香と対峙して彼女を打倒できる可能性がある数少ない1人。
『天昇・万華鏡』で複数の新系統を誕生させたことで研究者を日々発狂させていく悪魔である。
元々のセンスに系統創造による初見ラッシュが加わったことで並みのランカーを瞬殺する中堅詐欺の実力を得ることになった。
安定した実力は実際のところ中堅なのだが、スペックに反映されない部分での強さが重要なタイプなため、表面上のデータを信じていると痛い目を見る。
合宿での失敗を活かすために既に新しいモードを考案中。
誰よりも先を行く者は今日も止まらない。
『天昇・万華鏡』―分類:健輔専用術式。
回帰・原初を経て完成した健輔のバトルスタイルの根幹を担う力。
最大の特徴は魔力の性質を意図的に変化させること――新系統の創造にある。
想像力が及ぶ範囲であらゆる魔力を生み出す部分は『皇帝』からの影響が随所にみられており、昨年度からの情報蓄積の賜物。
万能系の弱点である出力不足は『原初』の段階で解決しており、『天昇』にも反映されているが健輔の制御力に難があるためまだ真価を発揮しきれていない。
多数の系統の制御、という新しい難題があるがそれを差し引いても強大な術式。
対応力という点で世界の頂点に立つ術式である。
『ミラージュモード』―分類:特殊術式。
特定用途に特化したモード。
天昇・万華鏡による魔力生成を『突破』に傾けた形態。
攻撃に全霊を注ぐモードであるため、防御力には難がある。
代わりに本題である攻撃力は桜香でも防ぐことが出来ない。課題は固有能力への対処。
健輔の予想では『美姫』が持つ最強の防御系固有能力を突破できないため、新しい力が早急に求められている。
『バーストモード』―分類:特殊術式。
一言で表現すると疑似皇帝モード。
足りない出力を補うために魔力吸収系の術式と決戦術式を掛け合わせている。
細かい系統の変換は出力過多により難しいため、純粋な肉体強化などをメインとしており皇帝のようなシンプルな強さを体現するために生み出された。
目的は達しているのだが起動にアホみたいな魔力量が必要なため実用レベルは微妙。
九条優香――2年生。系統:創造―身体。魔力光『蒼』。
魔導機――第6世代人格搭載専用武装型『雪風』弐式。
2つ名――『夢幻の蒼』:イマジネーションブルー―世界ランク第2位。
健輔との激戦を経て更に逞しくなったクォークオブフェイト最強の魔導師。
自らの長所たるパワーを扱うことを心得たため、数段階強さのレベルが上昇。
姉と比較しても見劣りしないレベルに到達した。
純粋な魔力量では歴代最強であり、桜香ですらも最終的な出力では足元に及ばない。
人間の限界をぶっちぎっており、比較対象が大型の魔力生成装置となるなどいろいろな意味で規格外となった。
現時点ではようやく武器を自覚した段階なので、まだまだ扱いが拙い。
健輔に関しては魔導師の中でも誰よりも知っているゆえに対処可能だが、それ以外のテクニックタイプの魔導師との戦いが今後は重要となる。
『過剰収束能力』―分類:番外能力。
ついに扱いをマスターした能力。
優香の根幹を成す力となる予定であるが、やはり制御の問題がある。
圧倒的すぎる出力ゆえに通常の方法で制御することは不可能のため、如何なる方法で制御するかが今後の焦点。
『ミラージュモード』―分類:特殊術式。
健輔のミラージュモードを参考に優香が生み出した対決闘用の術式。
想定している相手は桜香。
固有能力の『夢幻の蒼』を応用しているため、理論上はあらゆる『能力』を封殺して真っ向勝負を強制できる、が現時点ではまだ優香の力が足りないため、魔力などの限定的な効果に制限されている。
格としては優香のミラージュモードの方が健輔よりも上位なのだが、なんとか突破した辺りは『天昇・万華鏡』の対応力の高さが窺える。
チーム『アマテラス』。
戦績―昨年度優勝。
現時点における最強を有する頂点に立つチーム――なのだが、些か纏まりに欠ける傾向がある。優秀なエースへの一極体勢が最大の問題。
今年度の大会は全般的なルールの変更と全体の錬度向上が合わさり桜香でさえも相対的な弱体化が生じており、このままだと彼女は勝ててもチームは負けるという可能性が高い。
エースだけでなくリーダーとして桜香がどのようなチームを作るのかが今後の焦点となるだろう。
九条桜香(通常)――3年生。系統:収束―浸透―遠距離―創造―身体―変換。魔力光『虹』。
(モードアマテラス)――系統:統一系。魔力光『漆黒』→『虹』。
魔導機――分類世代なし:人格搭載型『天照』。
2つ名―不滅の太陽―世界ランク第1位。
史上最高の才能を持つ怪物魔導師。
モードアマテラスが安定期に入ったため、全般的な実力は大きく向上。
健輔のような格上キラーでも最低2人はいないと勝率は3割を切るという訳のわからない強さとなった。
魔導師としての傾向は総合型なのだが、普通に強いため特質する部分がない。
真っ直ぐに行って、そのまま殴ると勝つという理不尽の権化。
パワー、テクニック、スピードと全てに隙がない。
しかし、偏りは存在しており、パワーとスピードに寄っているため、能力の多彩さに比べて戦い方には幅がなく、本人も自覚している弱点ではある。
もっともその弱点が問題になるほどの魔導師は少なく文句なしの最強の一角であろう。
合宿での練習試合からただ強くとも出来ないことがあると知り、彼女なりの新しい在り方を考えている。
健輔ほどではないが、アルメダにもいろいろと因縁が出来たため世界大会ではキッチリとお返しする予定。
モードアマテラス―分類:固有能力との複合術式。
統一系へと自らの系統を変化させ、己が保持する固有能力を効果的に組み込むことを目的とした術式。
現状は第1段階の統一系の掌握のみが完遂しており、他の要素はまだ満たしていない。
恐ろしいことに他の固有能力も合わせて未だに発展途上。
妹もそうであるが完成したと言えるタイミングがほとんどないだけの圧倒的な才能こそが彼女たちの最大の武器なのかもしれない。
二宮亜希――3年生。系統:創造―収束。魔力光『ピンク』。
魔導機――第6世代近接対応型『ツルギ』。
事実上のアマテラスのサブリーダーなのだが、主体性がないためほとんど活動していなかった。
現状のアマテラスを象徴している人物であり、同時に憂いている筆頭でもあった。
桜香の圧倒的な才能に折れてしまった――それでも、最後まで手を離すことはしなかった人。
いろいろとあったが吹っ切り桜香のために身を粉にする決意を固めた。
魔導師としては真っ当なベテラン、なのだが実戦経験に難があるため、昨年度のクォークオブフェイトのベテランなどと比べると頭1つ分劣る。
秀才型のため、能力的には不足していないが意欲の面で問題があった。
チームのために1度自らのバトルスタイルを大きく崩すことも考えており、世界大会では侮っていけない人物の1人となるだろう。
大隅杏――1年生。系統:身体―流動。魔力光『不定』。
魔導機――次世代テストモデル『ツルギ改』。
アマテラスの1年生にして、期待の選手。
常に眠そうにしている人物であり、実際に座学の大半は寝ているなどと割と問題児に寄っている子。
小柄な体格と合わさって世話をしてくれる人が後を絶たないため生活できている。
本人は楽しければなんでもよいらしく、特に気にした様子はない。
魔導師の中でも稀有な特性をいくつか持っている『不定』となっている魔力光などがその証。
非常に稀有な症例である系統異常があり、本来の力が発揮できていない。
問題が解決した場合、一気に化ける可能性があるため、将来性と言う意味ではアマテラスでも随一。
現状でのバトルスタイルは流動系を基本とした近接型。
実技の成績はいいため1年生の中では飛び抜けた格闘能力を保持している。
河西俊哉――1年生。系統:収束―遠距離。魔力光『青』。
魔導機――第6世代遠距離対応型『シラベ』。
アマテラスの1年生にして新入生のストッパー。
特に大した理由がなくアマテラスにやってきたが無難にこなす才能があったゆえに沼に引き摺り込まれた。
杏と真里に振り回されているが、最近楽しくなっている自分に戦慄している。
1年生にしては戦局把握能力が高く長ずればよいベテランになれるだけの素質が見受けられており、安定感では他の2名とは比較にもならない。
前アマテラスのリーダー『北原仁』と似たような気質のため、桜香は纏め役として期待しており彼の望んでいた傍観者としての役割はさよならすることになる。
笹川真里――1年生。系統:収束―身体―創造系。魔力光『混合色』。
魔導機――固有能力対応型特殊機体『ダガー・コンダクター』。
アマテラス期待の新星。
桜香の後釜となることを期待されている真正の天才、なのだが本人は自分のことを凡才だと思っている。
真実の天才である桜香のことを過剰と言ってもよいほどに尊敬しており、あらゆる行動が全肯定。
価値基準の全てが桜香に寄っているファンというよりも信者と言うべき人。
周囲の評価である天才と言う言葉に違わず1年生の中では最高峰のオールラウンダー。
弱点らしい弱点がなく、番外能力を含めて極めて高い総合力を持っている。
惜しむべきは強力な武器を持っていないことであり、優秀だがそれ以上でもない。
挫折を知らない天才らしい天才。
合宿で知った本当の意味での高みとどのように付き合っていくかが今後の鍵。
『魔力掌握』――分類:浸透系と身体系の複合番外能力。
制御を干渉を同時にこなす応用力の高い能力。
操るという分野における1点ものの能力なのだが、基本に忠実な能力であるがゆえに使いこなすにも相応の時間を必要としている。
自分の強化、相手の弱体化と多岐に渡る用途と真里自身の才覚との方向性の一致による将来性は抜群であり、非常にシンプルな能力のため研究者の胃にも優しい。
赤木香奈子――コーチ(大学部1年生)。系統:破壊―遠距離系。魔力光『漆黒』。
魔導機――破壊系対応型特化モデル『カタストロフィ改』
2つ名――破壊の黒王。
かつての『天空の焔』のエースにして3年生という遅咲きの存在。
卒業後はいろいろと迷ったがコーチとして舞い戻ってきた。
桜香は複数人のコーチから候補を選出したがアマテラスは優勝チームとして制限が多いためその中でもっとも最良の人物として選ばれたという経緯がある。
口数の少ない背中で語るタイプの人で物凄い努力家。
健輔でさえも万能系という可能性は無限の系統でなければ多くの努力を重ねられたのかはわからない中、完全に行き詰まりを見せていた破壊系で道を切り拓いた人物。
戦術的な相性を含めてアマテラスとはかなりよい塩梅なので今後の動向に期待される。
『バランスブレイカ―』――分類:破壊系特殊型。
3つの固有能力を一纏めにした総称。
昨年度における最高レベルの技術的衝撃であり、付けられた名前からも衝撃度が窺える。
この能力の登場がルール上では無敵の存在たるコーチやより戦術的な試合運びを必要とするように『フィールド効果』が設定された要因でもある。
能力的には
1.破壊系と他の魔力を同時に扱えるようにする力。
2.魔力の収束に関する力
3.高密度の最後に圧縮魔力を生み出す力
で成り立っており、全てを十全に発揮することで後衛としては史上の最強の火力を発揮することになる。
対魔力における最高峰の力であり、優香や桜香の出力であっても純魔力であれば消し飛ばされてしまう。
チーム『シューティングスターズ』。
戦績―世界大会本戦出場。
3強の時代におけるスター選手『ハンナ・キャンベル』が設立したチームの第2世代。
多くのチームにとっての壁たる4年目に突入しながらも総合戦闘力を落とさず、むしろある部分は上昇させている非常に稀有なチーム。
初代のリーダーであるハンナが代替わりを見越して動いていたゆえにもっとも上手く世代交代を成したチームである。
現時点でも十分に本戦を狙えるだけの実力があるが、逆に言うと非常にわかりやすいレベルのチームでもある。
エースであるアリスを含めて安定した下位チームという評価を如何にして崩すのかが鍵となるだろう。
アリス・キャンベル――2年生。系統:収束―遠距離。魔力光『明るい黄色』。
魔導機――新世代魔力適応強化型:『スタープリンセス』。
2つ名―『流星姫』―世界ランク第10位。
姉、ハンナ・キャンベルからチームを継いだ若き新星。
昨年度の世界戦でも高いレベルを示していたが見違えるほどのレベルアップと共に夏合宿に降臨した。
基本的には強力な後衛としてのバトルスタイルを堅持しており、彼女を超える面があると断言できる後衛は『星光の魔女』クレア・オルブライトぐらいであり、その部分も攻撃に限定されるため、総合力では事実上現役最強の後衛魔導師である。
バトルスタイルはオーソドックスな後衛としての戦い方と切り札たる超攻撃型の高速機動砲台の2つがあり、前者は安定した戦いをする時に使い、後者は強敵などに使用されることが多い。
彼女の真価はハンナよりも洗練された戦術眼にあり、自分というエースすらも戦術の駒として使い潰せる合理性の高さにある。
新世代のルールに適応したチーム作りを心掛けており、以前のチームのままと思いぶつかるチームは痛い目を見るのは間違いないだろう。
固有能力を1つ保持しているが、現状はまだ覚醒したばかりで正確な効果が定まっていない。
貫通系の能力であるのは確定しており、この能力の規模によっては上位を食うこともある侮れないランカー。
固有能力:特殊効果型。
名前も定まっていない能力。
アリスはもっぱら貫通系の能力として使用しているが、解析を担当したメアリーには複数の効果が見えている。
まだ完全に覚醒した訳ではなく未発達の力。
完全掌握をした時に姉をも超える魔導師になるだけの可能性を秘めている。
ヴィエラ・ラッセル――2年生。系統:創造――収束。魔力光『黄金』。
魔導機――新世代魔力適応強化型:『クリエイター』
2つ名―『人形姫』。
双子のラッセル姉妹の片割れで姉の方。
良く似た容姿をしているが性格は大きく異なり、姉のヴィエラはおっとり系の人。ただ天然なように見えても頭の回転は早いので甘くみると手痛い代償を払うことになる。
前衛と後衛のどちらもこなせる万能型の魔導師。
創造に特化した能力を保有しており、物質化を用いたゴーレム創造などは『皇帝』すらも技術面では凌駕している。
質量を活かした防御に優れた魔導師であり、サラに代わるシューティングスターズの盾を担う人材。
矛であるアリスとの組み合わせを前提としており、単体だと多少しぶとくて面倒な程度の相手。
固有能力を保有しない魔導師としては最高峰の創造能力を持つため、どちらかというと卒業後の進路に期待を持たれている。
ヴィオラ・ラッセル――2年生。系統:収束――浸透。魔力光『灰色』。
魔導機――新生代魔力適応強化型『ドール』。
2つ名―『影姫』―世界ランク9位。
ラッセル姉妹の妹の方でシューティングスターズの頭脳。
姉とは異なり魔導師としての才を含めて基本的なスペックは凡才なのだが、それを補って余りあるほどに知恵に長けている。
悪辣さが足りないが相手を嵌める状況を生み出す能力では霧島武雄に劣らぬ逸材。
健輔の戦い方にも影響を与えており、相手の力を利用するバトルスタイルは見掛け以上の脅威を秘めている。
常に曖昧な笑顔を浮かべているため、非常に内心を読み取り辛いが基本的には優しげな美少女。割とドSでもあり、その辺りのことを察した非常にコアなファンが付いている。
比重としては戦闘魔導師というよりもバックスに寄っている稀有なタイプであり、現在のシューティングスターズにとってはアリス以上に重要な存在。
彼女在りきでチームが成り立っている面もあるほどのため、裏のエースと言えるだろう。
クリストファー・ビアス――コーチ(大学部1年生)。系統:創造――創造。魔力光『黄金』。
魔導機――分類世代なし。専用魔導機『プロヴィデンス』。
2つ名―『皇帝』―元世界ランク1位。
『3強』の時代における頂点にして、現在でも最強の魔導師として最も名を上げられる人物。歴代の魔導師の中でも単純な完成度においては最高峰であり、彼よりも優れている部分がある、と断言できる魔導師の方が少ない。
過去のバトルスタイルは3段階の進化を経ており、1段階目の1年生時代は武器の具現化と自らの強化を機転とし、何体かのコピー部隊を生み出してからの包囲殲滅。
2年生では無限の軍勢を召喚するようになり、3年生において『黄金』の魔力による究極の質を体現するレベルに至った。
能力の応用範囲の広さと裏腹にシンプルな強さを体現しており、戦闘魔導師の完成系とも言われている。
性格的には質実剛健にして王者の自負を持つ者であり、自覚に相応しい器がある。
多くの羨望を集めてもおり、歴代の中でも最高の『皇帝』と名高い。
そんな彼であるが自らが最強だという『自覚』があるため、同じにように意思が強い女性からの人気は今一。
ただ彼の好みの女性像が彼女たちであることを考えると皇帝の唯一の弱点は其処にあるのかもしれない。
『魔導世界』――分類:創造系固有能力。
歴代の能力の中でも能力面で五指に入る固有能力。
『魔導大帝』ことアンドレイが持つ固有能力『全能の権威』に比すると評されるほどの能力であり、皇帝たるクリストファーを象徴する力。
効果は極めてシンプルであり、創造系で出来ることを極めた力となっている。
皇帝の『想像力』はそこまで優れたものではない。
そのため、使い方は至極平凡なのだが持ち得る想念の量が力になる能力でもあるため鋼の意思を持つ皇帝を最強の存在へと押し上げた。
戦闘面でも技術面でも健輔の『天昇・万華鏡』すらも凌駕する脅威の能力である。
チーム『ヴァルキュリア』。
戦績―世界大会本戦出場。
昨年度の欧州最強のチーム。女性のみで構成されたチームでありファンも多い。
代々のリーダー、その中でも優れた者に『女神』という称号を与える伝統があり、アメリカの『女帝』と共に女性魔導師を代表するチームとなっている。
フィーネが抜けたことにより戦力低下は否めないが、それでもまだ欧州で最強と言うだけの布陣の厚さは健在。
低下した戦力も前向きに捉えるのならば、成長の余地となるため、今後の戦いでどれだけ伸びるのかがチームの命運を分けることになるだろう。
カルラ・バルテル――2年生。系統:変換――身体。魔力光『赤』。
魔導機――特殊系統対応試験型『ロートシュテルンMk2』。
2つ名―『劫火の戦乙女』
ヴァルキュリアの主力前衛の1人。得意属性は『火』。
1年生の時はフィーネの存在による常勝もあってか少し傲慢な面も目立ったが世界大会での敗戦や自らの能力の限界を知ったことで落ち着きを見せるようになった。
真由美の指導の下、実力をしっかりと根付かせており昨年度と安定感では比にならない。
反面、伸び悩みを見せてもおり如何にして殻を破るのかが今後の課題となる。
バトルスタイルは拳闘型。
以前よりも扱いが上手くなった属性『火』を組み込んでいるが、属性は遠距離で用いるようになり近接戦闘は通常の拳闘型とあまり差はない。
これは真由美が意図的に指導した形であり、カルラの希望も混じった結果となっている。
葵の格闘戦に後衛型に負けた火力用の大砲を持つ。
最終的なバトルスタイルに想定された領域に辿り着くと確かな武器を持つ厄介な魔導師となるは間違いないと思われる。
イリーネ・アンゲラー――2年生。系統:変換――創造。魔力光『深い青』。
魔導機――概念創造補佐型『シュトローム・カスタム」。
2つ名――氷河の戦乙女。
ヴァルキュリアの主力前衛の1人。属性は『水』。
現在のヴァルキュリアにおける中心人物の1人であり、主力要員であるが同年代のランカーや2つ名持ちと比べると戦闘能力に差がみられる。
彼女の適性がどちらかと言えばバックスに寄っていることが原因であり、戦闘センスに難があることが理由。
反面、指揮官適性やバックス適性は高い領域で纏まっており、ある程度の戦闘も可能な面を考慮すると正しく次世代の魔導師と言える存在である。
クラウディアの親友でライバルであるが、親友に大きく差を付けられていることを理解しており学習に余念がない。
夏の合宿を経て、戦闘用の属性を『水』から『氷』へシフト。
バトルスタイルを前衛と後衛を混ぜた中間的なものへと変更した上で物理的な攻撃属性へと自らを偏らせることを決めた。
この決断の裏には何でもやるという方向性では絶対に勝てない魔導師が同年代にいることが大きい。
ライバルであるクラウディアに遅れを取っているからこそ、決意と共にイリーネは今までの自分と決別するのであった。
レオナ・ブック――3年生。系統:変換――遠距離。魔力光『レモンイエロー』。
魔導機――変換系次世代モデル『シュトラール・カスタム』
2つ名―『光の女神』―世界ランク第7位。
得意属性は『光』にしてフィーネから跡を継いだ新世代の女神。
性格は温和であり基本的に争いは好みではないため、強いリーダーシップを発揮するタイプとは言えない。
ただ、ヴァルキュリアというチームを継いだことへの責任感はあるため、決断する時はきっぱりと決断する人間でもある。
能力的には現在の欧州において最強クラスの後衛。
遠距離型で後衛なのだが、能力の応用性の高さからか距離を問わずに戦える汎用性を誇る。フィーネほどの力強さはないが、油断を致命に変える戦闘速度は圧巻の一言。
健輔や優香だからこそ対抗可能であるが、葵のように普通に強い魔導師にとっては『光』の速度が立ち塞がる。
合宿を経て、自らの強みと過去を受け入れた。
精神的にも安定した新世代の女神は悲願の優勝に手を伸ばす。
エルフリーデ・ベーア――3年生。系統:変換――遠距離。魔力光「黄緑」。
魔導機―変換系次世代モデル『シュトルム・カスタム』。
2つ名―『風の導き手』
得意属性は『風』。
完全遠距離特化であり、スナイパータイプの後衛。
現在のヴァルキュリアは前衛が些か脆いため同格のチーム対決では不利な面が目立つが後衛陣は非常に優秀。
『光』のレオナを凌いでも、『風』で音すらも立てない彼女が控えており、連携において格上すらも落とす最高峰のスナイパー。
格下チームには文字通りの必殺の連携となっている。
友人のレオナが覚悟を決めたのを見てひっそりと努力を重ねる人。
目下の目標は先代を撃墜した挙句、友人も毒牙に掛けようとしている極東の白い奴。
万能の力を如何にして抜くか、と秘策を練っている。
リタ・アーレンス――2年生。系統:変換――遠距離。魔力光『茶』。
魔導機――変換系次世代モデル:『アビス・カスタム』。
属性は『大地』。
変換系で物質化まで至った大地の魔導師。
単純な物理属性に特化しているため完全な防御や攻撃が困難。
属性である『大地』は便宜上のものであり、実際のところは変換からの物質化に特化した魔導師である。
フィーネでさえも特定分野では上回っており、穏やかな人柄に反して才に溢れる魔導師。
現在のヴァルキュリアの中でも精神的に安定しており、真由美からもレオナを支える参謀として期待されている。
近藤真由美――コーチ(大学部1年生)。系統:収束――遠距離。魔力光『真紅』。
魔導機――分類世代なし:専用魔導機『羅睺』。
2つ名―『終わりなき凶星』―元世界ランク5位。
元クォークオブフェイトのリーダーにして創設者。
3強の時代におけるスター選手であり、現在の魔導における火力優勢を生み出した1人。
ライバルであるハンナ・キャンベルと比べると威力において優り、世界最強の後衛として名を轟かせた。
天才というよりも秀才系であり、確かな努力と冷徹な戦術眼の2つを武器にして世界を戦い抜いた人。
自分たちでもやり方次第ではあのようになれる、と示した意味では『皇帝』以上に影響力がある人間である。
総合的な戦闘能力はランク以上のものではないが、それ以外の要素で上位に食らいつける稀有な人材。
その中でも人を見る目は確かであり、彼女の弟子と呼べる人物は例外なく大成している。
チームを組織的に組み上げたりするのはハンナの方が優秀であるが、個々の適性を見極めて能力を引き出すのは真由美の方が優れていた。
次世代でも活躍できるチームを組むのではなくて、次世代を牽引するであろう人材を発掘するのが得意技。
桜香の才能も入学時から見抜いており、独立への最後の切っ掛けはそこにあったりする。
真由美の能力を十全に発揮するには自分にあったチームの色や全体に関与できる地位が必要であり、アマテラスではそれが満たせそうに無くなった故の離脱でもあった。
自己の実力以外の部分でもいろいろと手を打っているが現在でも鍛錬は続けている。
自分の実力で遥かな格上に勝つことを諦めない。
この不屈の姿勢こそが健輔たちにも引き継がれた最強の武器であろう。
プライベートでは割とダメダメな部分も多い完全仕事特化の人。
兄である隆志は嫁にいけるのかを切実に心配している。
『リミットブレイク』――分類:収束系固有能力。
収束系による収束限界を失くす能力。
限界を超える系の能力であり、制御が極めて難しい。
基本となる収束能力は自分で高める必要があり、確かな実力が必要。
現時点でもまだ底が見えないため、真由美はこの能力を極めたとは言い難い状態。
『パワーコントロール』――分類:身体系固有能力。
魔力の減衰を操作する力。
圧縮速度を高めたりするのにも役立つ制御系の優れた能力。
ただ、こちらの能力も真由美が本来持つ制御力を補助するものなので本人がサボっているとあまり意味がなかったりする。
意図的なリミッターの解除などにも応用されており、真由美の飛躍的なレベルアップにはこの能力の制御範囲が密接に関わっている。




