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総合魔導学習指導要領マギノ・ゲーム ~Next Generation~  作者: 天川守
第4章後編『ドキドキが止まらない』
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第150話『最強の武器とは』

 健輔の宣誓、場を包む空気、圧倒的な力の差。

 ニヤリと笑う男の顔を見て、クラウディアが思ったことはなんとも言い難い感情だった。

 相手を怒らせて冷静さを奪うような飄々とした空気を持っているのが武雄であったが、健輔のそれは似ていて何処か違う。

 皇帝と武雄のミックスと言えばいいのだろうか。

 お前ならやれるよな、仮に無理でもついてこい――きっと楽しい戦いになる、と価値観を全力押し付けてくる辺りは武雄だが、相手への敬意があるのは皇帝にも似てる。

 そして、素晴らしい戦いへの希求は葵と合致していた。


「まったく、この人は本当に仕方のない方です」


 溜息を吐いて、肩から力を抜く。

 どれだけ強くなっても本質に微塵も揺るぎはなし。

 いろいろと緊張していたクラウディアがバカみたいである。


「相手のペースに飲まれない。健輔さんのハチャメチャは今更ですし……。私もしっかりしないとダメだよね」


 自信満々でこちら見返す男を睨み返す。

 頼り甲斐のある人間なのかただのアホなのか、なんとも悩ましいところであるが今は置いておこう。

 クラウディアは頬を叩いて、気合を入れ直した。

 限りなく0に近くとも結果が出るまで可能性は常に存在する。


「いきますよ、トール」

『術式装填。展開準備』


 意識を切り替えてクラウディアは攻めていくことを選択する。

 相手に主導権があるからこそ、無策であろうとも流れだけは掴む必要があった。

 健輔たちも攻勢のペア。

 得意の分野で同じように競い合えば負けるのは必定である。

 定めを崩すには予想もつかないことをする必要があった。

 最強を最弱が倒すこととて、理論上は可能なのだ。

 単体での強さが全ての優位を決める訳ではない。そう言って叱咤激励をしてくれているのだから答えないと嘘だ。


「――師匠、いきましょうか」

「ふむ……ああ、行こうか我が弟子よ」


 健輔の啖呵に言葉ではなく行動で応える。

 クラウディアの決断は笑う男を非常に喜ばせた。

 紗希とアルメダの驚いた顔に反応もせずに雷光は空を駆ける。

 行くと決めた――ならば後は駆けるのみ。


「流れを引き戻す――!」

「はっ、ここで攻めてくれるお前さんが俺は好きだね!!」

「そういうのはもっとロマンチックな場面で言って下さいっ!」


 行動としては先ほどまでと同じ。

 しかし、籠められた気迫は桁が違う。

 テンションというものは思いの外重要なものである。

 特に魔導という精神と密接に関わっている能力ならば尚更であろう。

 同じ攻勢でも行く先をしっかりと定めたこの攻勢は先ほどよりも1段階上の領域にある。


「良い攻撃だ。気迫も、技も、威力もある」

「簡単に防いでおいて言うことですか!」

「ああ、当然だろう? 気合を入れるのは大事だが、それだけじゃあ、勝てないのも現実だぜ!!」

「そんな現実、踏み越えてみせる!!」


 威勢のよい啖呵は何処かの誰かに似ていて、自覚のある男は口元を大きく歪めた。


「こっちのセリフ――だろうがッ!!」

「偶には、というやつですよ。オリジナルを主張するほど、器の小さな人じゃないと思ってます」


 軽口の応酬だが、その間にも斬撃による対話も成されている。

 気合を入れた程度で覆るのならば格差というものは存在しない。ましてや、天昇・万華鏡の万能性は数多ある能力の中でも最高峰。

 術式に類する能力の中では文句なくナンバー1であろう。

 磨き上げた健輔の技にクラウディアも感嘆の念を禁じえない。

 同時に完全でも無欠でもないと冷静に見切っていた。

 彼女には健輔を敵として誰よりも長く見つめてきた自信がある。

 天昇・万華鏡を使う健輔は恐ろしいが、桜香のパワーと併用している健輔はそこまで怖くなかった。

 理由は単純である。

 力押しをするような健輔は健輔ではないだろう。


「――このタイミング!!」

「ふはっ! 気付いてたのか。やっぱりお前さんは怖いな」


 系統を生み出し、魔力を切り替える刹那の隙をクラウディアが穿つ。

 結果として起こるのは変化の不発。

 天昇・万華鏡の万能性を一時とはいえ、クラウディアの技量が防いだ形になる。


「いいね。こういう展開を待っていた! ありがとう、俺をしっかりと研究してくれて!!」

「この程度、想定済みのくせに。本番はここからなんですから、きちんと見せてくださいよ!!」

「おうよ、期待しててくれ」


 クラウディアに対して、今度は健輔が攻めの姿勢を見せた。

 健輔が受け身から前のめりに移っていく。

 つまりは彼の相方も同時に動き始める。戦場を一変される怪物の進撃。

 健輔だけでも厳しいのに、おまけがやってくるのはクラウディアとしても勘弁して欲しかった。

 このまま2対1になれば蹂躙されるのは疑うべくもない。だが、クラウディアには不安はなかった。

 彼女にも頼れる仲間はいる。


「風よ!!」


 クラウディアと健輔を包む風の檻。

 桜香から隔離――などは出来るはずがないので、本題は視界を奪うことだ。

 健輔とクラウディアが接近している状況で全てを吹き飛ばす訳にはいかない。

 移動し、部分的に破壊するしかなかった。

 そうなれば必然、移動時間が生じる。

 生じた時間をどのように引き延ばすのかはもう1組の仕事だった。


「太陽、援護しなさい!!」

「お任せします」


 僅かに出遅れたが、アルメダと紗希が桜香を押さえに掛かる。

 難なく2人の攻撃を桜香は迎え撃つが表情は苦かった。

 健輔と分断された状況、相手が何やら思惑を持って動いている。

 桜香にしては珍しい渋い表情は健輔と引き離された形になったからだろうか。


「こちらの取れる手を制限する。経験豊富、というのも伊達ではないですか。だったら、私は私としての戦法をするだけです」


 力で全てを吹き飛ばす。

 自分らしい選択をして、桜香は健輔と合流することにした。

 健輔から流れ込む異形の系統の中からちょうどよいものを選択しようと魔導機に力を入れる。

 分断は分断だが、同時に各個撃破のチャンスでもあった。

 圧倒している実力で押し切ってしまえばよい。

 誰を落とすべきか。

 思考は一瞬で終わり、桜香は真っ直ぐにアルメダの下へ突き進む。


「はああああああああッ!」


 魔力を籠めて、横薙ぎに放つ斬撃――アルメダを両断せんとする一撃を女神は『技』を以って迎撃した。

 無造作に突き出されたように見える槍。

 変哲がないため、逆に違和感を感じさせる一撃は桜香の攻撃をしっかりと受け止めてみせた。


「切断能力……!」

「1回負けてるのよ。あなたの対策ぐらいはきっちりやってきてるわよ。まあ、あれだけ狼狽してたら想定も意味ないけどね。ほんと、いい勉強をさせてくれるわよッ!」


 戦闘パターンの把握。能力の推定。

 勝つために必要な道筋。どれほどか細くとも思考をやめたつもりはない。

 アルメダにどれほど抜けたところがあろうとも彼女も『女神』である。

 最強であろうが一蹴されるほどに弱くはない。

 ましてや、今は最高の支援が付いている。

 剣と槍の激突。

 その隙を狙った糸が背後から桜香を奇襲する。


「紗希さんっ」

「やっぱり、あなたには系統の変化なんかは似合わないわ!」

「言ってくれますね!!」


 健輔にあなたは似合わない。

 言外の意味に桜香の顔が険しくなる。

 険しくなるが、言い返すようなことはなかった。

 紗希の似合わないと言う言葉が私的な部分に掛かっているのならば全力で反論しただろうが、戦力としての意味ならば桜香も内心で納得していた。

 至福の連携、お互いの能力を協力し合う素晴らしい術式。

 桜香から見ても絶賛しかない完成度であるが、


「くっ!!」

「系統変化を使うの? そんなもの、あなたには必要ないと思うよ」

「紗希さんっ」


 言われた言葉に反論が出来ない。

 事実、桜香の中でしっくりこない部分はあった。

 カタログスペックだけを見るならば最高にして最強の組み合わせなのだが、それだけでやっているほど世界は甘くない。

 桜香と健輔の戦い方は能力のレベルで噛み合わない。

 格上であることが自然な存在と格上を喰らうためにいるような男が最高の相性を発揮するのは敵対した時であった。

 決して、味方となった時ではないのだ。


「系統の変化……そして、創造。結局は私に勝つための力ですか」


 桜香は天才ではあるが、出来ないことは出来ない。

 健輔の天昇・万華鏡を使いこなすには至らないし、バトルスタイルも適合していない。

 供給される魔力から統一系に混ぜるのは可能でも、そのパワーアップは高が知れていた。

 自分と組んで喜ばせておいて、こういった現実を突き付ける。

 かつて撃破された時もそうであるが、健輔は実に容赦のない男だった。


「……まあ、私はそんなところも素敵だと思っている訳ですが」


 微笑む桜香は味方なのかよくわからない男に想いを馳せる。

 実に楽しそうに1対1に応じたのだ。

 クラウディアが正解を引いたと仮定すれば、桜香に課せられる試練はここからが本番であろう。

 3対1になれば、いろいろと意味は変わってくる。

 想起されるのは桜香にとって忘れられない戦い。

 国内大会での初黒星。

 あの時も敵は3人だった。


「超えてみせろ、と言うことならばやってみせましょう。だから――」


 この貴重な機会、健輔が隅々まで堪能しようしているのは確信している。

 雷光とイチャついているのは許し難いが、気分が良いので大目には見よう。

 何より桜香もそろそろ頭に敗北がチラつくような状況はなんとかしたかった。

 超えてみせろと言うのならば超えていくのが良い女の条件である。


「――きちんと勝利してください、健輔さん。後、あまり遅いようだと私が全部終わらせますからね!」

「あのね、余所見しているんじゃないわよっ!!」

「余所見じゃないです。愛の支援です」

「――試合中に、何してるのよ!!」


 中々に反応のよい先輩に苦笑してしまう。

 そこまで嗜虐的ではない桜香でもついつい突いてしまいたくなるのはある種の人徳である。女神は育てる者の称号であり、同時に慕われる者の称号でもあった。

 フィーネのカリスマとは違うが、この女神も現役の際には愛されていたのだろう。

 戦いとは関係のない想いを抱く。

 出来ればプライベートで話してみたいと思いつつ、桜香は剣を振りかざした。

 いつか気持ち良く語り合うためにもそろそろ気合の入れ所である。


「何と言われましても、強いて言えば、そうですね」


 尊敬すべき先達であるし、実際のところそこまで余裕と言う訳でもない。

 牙はあり、武器も備えているのだ。

 届けば身を害される危険性はある。それでもついつい、手を出してしまうのは魔性の類と言ってもよかった。

 端的に言うと弄り甲斐がある。


「遊び、でしょうか。ええ、私は真面目に遊んでるんです!」

「――あのね」


 一拍間をおいて、アルメダは吠えた。


「きちんと、やりなさいッ!」

「やってますよ、失敬な」

「んな!?」

「それよりも、行きますよ。折角、いい戦いなんです。もっと、楽しんでいきましょう」 


 真顔になったアルメダが次の瞬間には顔を引き攣らせた。

 咆哮と共に向かってくる先輩をいなしつつ、桜香は存分に戦いを楽しむのだった。






 風の檻の中では2人の激突が続く。

 両者が前のめり、全力の攻防に努める。

 守りという概念の消滅した戦場。正確には攻撃こそが守りとなった戦場で2人は自分の全てでぶつかり合っていた。


「総合的に見るとお前さんも優香ぐらいはありそうだな。俺には厳しい世界だよ!」

「褒めていただくのは嬉しいですが、にやけている表情では説得力がありませんよ。何よりもあなたに負けるつもりなんて微塵もないじゃないですか」


 クラウディアの剣戟を健輔が全て防ぐ。

 力の増した健輔の万能系は万能の域を超えようとしている。

 あらゆる多彩な系統を圧倒的なパワーを伴って粉砕していく。

 桜香は健輔から多様性を付与されても自らのバトルスタイルと噛み合わないため急激なパワーアップはなかったが健輔は別である。

 シルエットモードでの経験はこの時のためにあった。

 如何なる相手、如何なるバトルスタイルでも一瞬で適合していく。

 その上であらゆる可能性を網羅するのが、現在の健輔のバトルスタイルである。

 そう、如何なる相手、如何なるバトルスタイルでも――吸収するのだ。


「ギアが上がって来たな。俺の系統の変化を見抜いて、その隙に攻撃を加速させる。まあ、良い手だと思うよ。俺がバトルスタイルを使いこなすが得意でも流石に齟齬はある」

「基本形に近いからこそ、見抜くのも容易ですしね!」


 通常時の健輔のバトルスタイルはクラウディアの頭に叩き込まれている。

 系統の追加という予想外はあっても、大本の部分には大きな変化はないと踏んでいた。

 やること成すこと破天荒であるが、基本は押されているのが健輔の特徴である。

 シンプルな思想を下地にしている故に対処も難しいのだが、基本の競い合いはクラウディアも望むところだった。

 何より、今の健輔は結果として彼の良さが損なわれている。

 大きな力による大味な系統の振るい方は似合っていない。

 もっと精緻で、かつ美しいのが普段の健輔の在り方だとクラウディアは確信していた。


「あなたほどの方がパワーに振り回されるのは見たくなかったです!!」

「はっ! それはどうかな」

「駆けよ、稲妻!!」

「潰せ、光閃!!」


 雷光が駆け、光が迎撃する。

 クラウディアの魔力の変化を見抜いての同じ手段での迎撃。

 普段は力的に押し負ける可能性があるからこそ選ばないが、今の状態ならばこういったことも可能だった。

 失ったものもあるが、得た物もある。

 後者の方が大きければ健輔は強くなったと表現しても何もおかしくはないだろう。

 しかし、クラウディアからするとパワー型よりもテクニックを基礎とした健輔の方が遥かにやり辛かった。

 パワーによる強者は少なくない。

 クラウディアもそうだし、桜香や優香も傾向としては力寄りであろう。

 自らと違う分野で上がってきたらこそ、尊敬の念も強かった。

 どうせ見せてくれるのならば、テクニックの発展系も見たいところである。

 そのためには、


「私があなたから可能性を引き出すしかない」

 

 周囲には宗則の風の檻。

 環境は彼女に味方している。未完成の切り札は彼女にもあるのだ。

 世界大会を見越して温存しておく。

 賢い選択肢が頭に過って、直ぐに投げ捨てる。全身全霊、前に進む者にこそ栄光が与えられるのだ。

 全てが揃っていて、足りないのは実力だけの状況。

 いつかを待つよりも今に賭す。

 昨年度の戦いを通して、クラウディアが得た挑戦者としての在り方だった。

 1年前、迎え撃つ側だった自分が今度は迎え撃たれている。

 何とも言えない感慨を胸に、雷光は1つの壁に挑む。


「術式展開――『シンクロセンス』!!」


 変換系からクラウディアが獲得した創造系。

 3つ目の系統のリミットスキルにして、可能性においては万能系に匹敵する力が解き放たれた。

 空間展開。

 宗則の魔力と対峙する健輔の魔力を取り込んで、雷光が彼女の理想に手を掛けた。


「これが、私の全力」

『モード『ヴァルキュリア』発動』


 発動と同時にクラウディアの魔力が一気に爆発する。

 優香には及ばないし、真由美のリミッター解放ほどでもない。

 しかし、以前のクラウディアと比べると比較にならない増大の仕方であった。

 相手の切り札の発動。

 健輔に応えてくれた親友に最大級の親愛を籠めて、


「なるほど、なるほど」


 剣を振り降ろす。

 リミットスキルの中でも固有能力に1番近いのが空間展開である。

 クラウディアが何を思っているのかなど、多少考えれば簡単に理解できた。

 対等であることを望む彼女の切り札は、必ず健輔や優香の領域に至る願望として発露する。


「俺の魔力を取り込んだってことはだ。多分だけど――」


 振り下ろした剣が以前の数倍の膂力で弾き飛ばされる。

 流れる身体、致命傷になりかねない隙を晒していた。


「もらっ――」

「――えないな。足りんわ、奇跡で俺に勝つのなんて不可能だ」

 

 体勢が崩れていようが、戦力の行使に問題はない。

 適当に系統を選んで砲撃を放つ。

 含まれている系統の中には破壊と類似した効果を持つものをいくつか含ませていた。

 単純に考えて、攻略には苦労するはずなのだが、


「はッ!!」


 クラウディアの斬撃が一閃し、刃と砲撃が衝突。

 お互いに消滅することになる。


「は、はは……ははっはははッ!」


 自らの予想の正しさを確信して、健輔は歓喜の声を上げた。

 変換系を基幹としていながらも、フィーネをある意味では凌駕しているクラウディアだからこそ出来る個人レベルでの空間展開。

 そこに先ほど起きた現象を食わえれば相手の能力の想像は可能だった。

 取り込んだ魔力の性質を打ち消す魔力を生み出す力。

 取り込んだ魔力で自らの魔力量を増大させる力。

 対峙する相手の特性とパワーを基礎に組み込む在り方はクラウディアに良く似合っている。


「すごいな。見事な完成度だ。俺の『万華鏡』に劣っていないぞ」

「過大評価ですよ。あなたの能力が持つ可能性には負けます。ただ――」


 再度、クラウディアは剣を構える。

 怪物たちの才能には及ばない。自らの器も見切っている。

 それでも彼女が戦うことを諦めないのは、友人たちがいるからだった。

 誇れる人が誇ってくれるだけの人物になりたい。

 追いすがる意思では劣っていないと自負していた。


「――競技で、置いて行かれるつもりはないです。無限の可能性も、最後の選択肢は1つしかない」

「ああ、わかってるからこそ、こういう状況を待っていた。去年は負けたが、そろそろ完璧にリベンジをさせて貰おうか」


 興奮と共に健輔はレインボーモードを解除する。

 普段通りこそが最高にして最強。

 今はまだ、失敗作として置いておく。

 いつか再びやって来る日までにもっと完璧に仕上げておこうと決意した。

 その決意を無駄にしないためにも健輔は進む。

 

「俺は俺であることが最強。自惚れか?」

「いいえ、その通りだと思いますよ。足りないことが、あなたをここまで連れてきた。それは嘘ではないでしょう?」

「ああ、その通りだ! いくぞ、俺のライバル」

「来なさい、私の宿敵」


 天昇・万華鏡を前にしても怯まずに向かってきてくれる友人。

 得難い友が此処にもいる、と歓喜を振るえた。

 健輔にとっての決戦の作法。素手の型で雷光に応じる。

 この試合、2人にとっては最後となるであろう交差が始まった。


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