主人公は黒装束
はじめまして。
初登校なのであまり期待しないでください。職業の都合上、投稿にはきまりがないので自由気ままにかいています。
「アーテルブス」という世界があるのをご存知だろうか?
この世界には魔法が存在する。
俗に言う異世界ファンタジーっぽい世界を想像してもらえればわかるだろう。
ゴブリン、オーガ、スライム、スケルトン、ゴーレム、ドラゴンなどのモンスタ
ーも存在するし、エルフやヴァンパイアなどの亜人も存在する。
もちろん、人もいる。
この世界に存在する全ての種族は、生まれたその日から魔法を学ぶ。
なぜなら、この世界で生き抜くためには必要不可欠なモノだからだ。
生まれたばかりの幼子は、両親の口から紡がれる魔法の言葉を子守唄とし、
遊び盛りの童子は、人気の魔法戦闘で遊び周り、
聡明な少年少女は、農業の変わりに魔物狩りをして、
熟した大人は、次世代のために新たな世界のコトワリを作り出す。
そのような、魔法が全ての世界において、
「自らの手で何かを成す」
という概念は存在しない。
動かずとも魔力の反復使用により、肉体も強化されていくからだ。
しかし、優秀な魔法の使い手もいれば魔法が苦手な者も当然存在する。
そのような者達は、日常的に魔法を使いつつ、剣や槍などの道具を使って生活し
ていたが、だからといって自らの手を使うでもなく、何をするにも道具や魔法を
使って生活していた。
すなわち、この「アーテルブス」は剣と魔法が支配する世界なのである。
その「アーテルブス」の南の端に広がる砂漠。
通称「砂漠海」と呼ばれるこの場所は、その名の通り海のように砂が波打ち、
砂の中を泳ぐ生命体が数多く存在する砂漠を、
なにやら黒い服を着た人らしきものが彷徨い歩いていた。
その人の周りには、巨大な生物の影がぐるぐると包囲していた。
この生物の名は、「サンドシャーク」
名前の通り、砂の中を泳ぐ鮫である。
その鮫は自らに絶対的な自信を持っていた。
その体は刃物の様に鋭く鎧の様に硬いウロコに覆われ、
その筋肉はしなやかで強靭で強力なエネルギーを発生させ、
その牙は魔法で炎の加護を付与しているので掠れば死をもたらす。
今までにこの砂漠海を通るありとあらゆる生物を喰った。
その中には、人もいた。
高位の魔法や鋭い剣などを使う人は中々危うい存在だったが、
自らの強靭な体からしてみれば大した相手でもなかった。
それに人の肉は純粋な魔力が混じっているので、旨いのだ。
それ以来この鮫は好き好んで人を襲い、喰らった。
最近は人達も警戒してなかなか見つけることができなかったが、
今日、久方ぶりに見つけることができた。
しかもこの人、魔法を使用するために必要な杖の独特のニオイや剣などの金属の
ニオイがしない、丸腰のようである。
『丸腰の人を喰う事など、自分からしてみれば赤子の手をひねるより簡単だ。』
そう考えた鮫はさっそく食事を取るために、体をうねらせ砂を切るように、その人に接近していった。
さて、その人こそ、まさに本作の主人公である。
「・・・・・・あつい。」