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現代版リアル童話シリーズ

現代版リアル『花さかじいさん』!

作者: 華凜

リアルシリーズ第7弾です。今回は“最後までお読みいただくこと”を推奨します。

 むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。


おじいさんは定年退職して以来、パソコンと睨めっこの引きこもり生活です。

一方でおばあさんはいい歳してエロゲーにはまってしまいました。

最近の二次元の女の子はなにかと可愛すぎてハマりがちです。


さて、そんなニートなおじいさんと腐女子なおばあさんには子供ができず、家で飼っていた犬のポチを実の子のように大切にしていました。


――が、あまりに大切に扱いすぎ、ポチを学習塾に入れてさらには海外留学もさせて英才教育を受けさせてしまいました。

『可愛い子には旅をさせよ』とは昔からよく言います。


おかげでポチは人語がペラペラになったのです。



そんなある日、自室に籠って二次元の女の子と「キャッキャウフフ」するおじいさんを見て、ポチはこう言いました。



「ジジイに恩返しだ!!」



――☆――☆――



 ある日のことです。

おじいさんはニート生活をしすぎるあまり、貯金が底をついてしました。

でも引きこもりニート&コミュ障なので、働く気は毛頭ありません。


そこで自宅の庭など掘って埋蔵金でも掘り当て、一攫千金を狙おうと畑にでかけました。

『夢は大きく、努力は小さく』がモットーです!


すると急にポチが目の前に現れ、こう言ったのです。


「ここ掘れワンワン!」


しかしポチの示した場所は公道のアスファルトの上でした。

昨日ホームセンターで購入した園芸用スコップでは歯が立ちそうにありません。


「ぬぅ」


おじいさんはパッとひらめき、すぐさま工事現場に駆けだしました。


 工事現場に行くと、ちょうど地面を削岩機(ドリル)で掘っていたオッサンに出会いました。


「ちと、よろしいかな」

「へい、なんでしょう」

「おぬしの持っておるドリルをもらいたい」


オッサンは目を丸くしました。

そりゃそうです。

犬を連れて散歩しているジジイにイキナリしゃべりかけられたと思ったら、「ドリルをくれ」なのですから。


「おぬしの持っておるドリルが欲しい」

「か、漢字ドリルでいいですか!?」

「そのドリルちゃうわい!!」


工事現場のオッサンは困惑しました。

もしここで計算ドリルでも与えたら逆切れされそうです。

腕を抱えて「むぅ」と唸っていると、堪忍袋の緒が“プッチンっ”となったおじいさんは、懐から一枚の手紙を取りだしました。


「これが目に入らぬか!!」

「そ、それは俺が小学生の頃に20年後の俺に宛てて書いた手紙!!!」


そうです!

おじいさんは工事現場のオッサンが埋めたタイムカプセルを掘り当て、『20年後のぼくえ』と書かれた羞恥の黒歴史書を見つけていたのです!

あんなものを公然と読み上げられたら恥ずかしくて外も歩けなくなります!


「この我を誰と心得る! おそれ多くも先の副将軍、水戸光ジジイ公であるぞ! 控えーいッ!!」

「へへーっ!!!」


もう土下座です。

ついでに、牛乳パックを丸めて作った『いんろー』と書かれた筒状のアレも提示します。

実にチープかつ環境に優しい副将軍です。

やはり時代は再利用(リサイクル)でしょう。


「もしおぬしがそのドリルを渡すと申すなら、この手紙をネット上で公開することはやめてやろう」

「へへー!! ありがたき幸せー!!」


かくしておじいさんはドリルを穏便に入手し、ポチの示したアスファルトに戻りました。

オッサンからゲッチュしたヘルメットを装着し、小鳥さんが歌うのどかな田園の真ん中でズドドドドドッです!

ちょっと近所迷惑な老人です。


「ぬっ!」


なにか出てきたと思えば、なんとそれは5年前に無くしたお宝AVだったのです!

おばあさんに取り上げられて行方不明になっていたと思えば、こんなところに埋葬されていたとは驚きです。

とりあえず懐にinしておきましょう。


「おじいさん! 次はここ掘れワンワンです!」


次にポチが示したのは地面ではなく、家の近くにある岩壁でした。


「ぬぅ」


やはり園芸用のスコップでどうにかなりそうにありません。

電動ドリルは刃が下方についているので、水平面には使えません。やはりピッケル的なやつが要ります。

そこでおじいさんはまた工事現場に進撃しました。『進撃の老人』です!


するとこんどはダイナマイトを持ったさっきのオッサンに出会いました。

これからトンネル工事でもするのでしょう。


「ちと、そこの」

「はいはい、一体だれ――」


オッサンはおじいさんの顔を見て蒼白になりました。


「この我を誰と心得る! おそれ多くも――」

「いや、先に用件言えよ!!」

「ぬぅ」


あわてるあまり、ダイナマイトをくれと言いそびれてしまいました。

出会ってすぐにチープな印籠を見せつけるのは大変よくなかったと猛反省です。


今度はちゃんと「ダイナマイトちょ~だいっ♡」と、可愛くおねだりしたあとで仕切り直します。


「この我を誰と心得――」

「副将軍」

「むくっ……」


言質をとってくるとは、こやつ、なかなかやりおる! なのです!


「ダイナマイトは流石にムリっすよ。 第一あんた免許持ってないっしょ」

「ぬぅ」


そうです。

ダイナマイトは爆発物ですので火薬類取扱い専任技術者という資格が必要です。(byネット)

しかし引きこもりニートなおじいさんは無資格です。


それでもどうしても手に入れたいおじいさんは、強硬手段に打って出ました。


「――20年後のぼくえ。 ハナタレ小学校1年2組、中島サブロー」

「おい、やめろ」

「20年後のぼくはどんなオシゴトをしていますか? 今頃お嫁さんと子供との楽しい結婚生活を――」

「わかったわかった!! ダイナマイトあげるから俺の黒歴史書を読み上げるな!!」

「ぬぅ」


作戦成功です!

かくしておじいさんは手紙の代価としてダイナマイトをゲッチュしました。

これで岩壁だろうがおばあさんとの軋轢(あつれき)だろうが、ちょちょいのちょいです!


でも無資格なのにいいのでしょうか。


「案ずるな、バレなきゃいいのじゃ!バレなきゃ!フハハハハハッ」


この悪人は一体誰に言っているのでしょうか。

でもまあ目的物は頂いたので良しとしましょう!


早速現場に戻ってヘルメットを装着し、ダイナマイトを岩壁にセットです。


「3、2、1、Go!!」


ちゅばどーんっ!!


と、緑あふれる自然豊かな風景のド真ん中で火柱です。


ご近所迷惑・環境破壊どころの話ではありません。


「むっ!」


今度は何が出てきたのかと思うと、化石――ではなく、化石化した古代のエロ本が出土しました。

ちょっと試しにページをめくってみます。


「ぬぬっ!」


なんと開始1ページ目から我が国の女王、卑弥呼さまのビキニ写真が掲載されていたのです!


「ふおおおおおおおおっ!!!!!」


しかも巫女さん卑弥呼とかスク水卑弥呼などなど、昭和の男を対象としたコアな写真ばかりです!

さらには小野小町、紫式部、清少納言、小野妹子など、野球でいうところのクリーンナップです!

ちょっとBL要素が混じっていた気がしますがこの際気にしません。

一冊でエロ男子と腐女子のニーズを満たすとは、古代のエロ本はなかなかやりおる! なのです!



 名犬ポチのおかげでレアなエロ本をゲッチュしたという噂を聞き、となりに住むイジワルなおじいさんは嫌がるポチを無理やり連れ、エロ本を探させました。


「ホレ、さっさとエロ本を見つけんか!!」

「いや、でも」

「口ごたえするな!」


イジワルなおじいさんはどうしてもポチにエロ本を見つけさせたいようです。

おじいさんからヒドイ仕打ちを受け、ポチは心の中でこう言い放ちます。



(ジジイに倍返しだ!!)



「ここ掘れワンワン」

「ふむ」


イジワルなおじいさんはホームセンターで購入した園芸用スコップで掘り始めました。


――が、「地面(そこ)の5メートル下を右方向です」と、ポチからカーナビみたく言われてしまいました。

園芸用スコップでなんとか頑張ろうと思いますが、さすがに5メートルの大穴を掘るのは厳しいと大反省です。


そこでイジワルなおじいさんは工事現場に進撃しました。


「ちと、そこの」

「ひぃ!!!」


工事現場のオッサンは震えあがりました。

せっかく気を取り直して仕事をしていると、またまた犬を連れたおじいさんがやってきたんですから。


「おぬしの乗っておるショベルカーが欲しい」

「もうやだこの会話」


どうせ次もロクでもないものを見せつけられるに違いありません。

精神的に摩耗したオッサンは、イジワルなおじいさんにショベルカーをプレゼントしました。

しかしイジワルなおじいさんは無免許です。

いいんでしょうか?


「バレなきゃいいんだ!バレなきゃな!フホホホホホッ」


どこかで聞き覚えのあるセリフです。

まあ目的物は頂いたので、おまわりさんには目を瞑ってもらいましょう!



 イジワルなおじいさんはショベルカーを操縦し、緑あふれるのどかな田園地帯をキャタピラ走行です!

しかし無免許+判断力の低下ゆえ、ブレーキのかけ方が分からずに車両通行禁止の商店街を大進撃してしまいました。

ざっと50軒くらいの店を全壊させてしまったと思いますが、ドンマイです!

これぞ『真・進撃の老人』です!



 その後、懲りずにまた数十軒の家を倒壊させ、交番もぶっ潰したおじいさん。

早速ポチの言う場所をショベルカーで掘り掘りです!


「ぬっ!」


なんと出てきたのは隣の家に住むおばあさんのヌード写真集だったのです!

しかもおばあさんは90歳にして、スク水やJKコスプレでポロリやチラリをかましてくるんですからたまったもんじゃありません!


「おええええええええっ!!!!」


激しく嘔吐です。

昨日食べたカレーが滝のように口から溢れだします。


「ぬぐっ……、ポチ!! キサマ――」


思わずポチを懲らしめてやろうと立ち上がると、ポチは仰向けになって倒れているではありませんか!


「ポチ?」


返事がありません。

ただの屍のようです。


「ポチー!!!!!」


そうです。

ポチは倍返しをしようとしたまではよかったのですが、イジワルなおじいさんの掘り当てた汚染物質をうっかり見てしまい、ショック死してしまったのです。

おばあさんの悩殺スキルは兵器並みです。



 ポチを失ったおじいさんとおばあさんは庭に墓を作って埋めてやりました。

ちなみにポチが見つけてくれたエロ本やAVはおばあさんに略奪され、燃やされて灰になってしまいました。


「ああ、ワシのポチとエロエログッズが」


シュンと肩を落として落ち込んでいると、おじいさんの手元にあったエログッズの灰が風で舞い上がり、近くの枯れ木にかかりました。

するとどうでしょう。

今まで枯れていた木は息を吹き返し、たちまち見事な桜の花――いえ、無数のエロ本やお宝AVの花を咲かせたのです!!


「ふぉっふぉいッ♪」


おじいさんはもう大喜びです。

さっそく木になっているエロ本を収穫しようとすると、そこに大名さまが通りかかりました。


「な、こ、これは全国に100冊しか流通していないというマボロシの『エロエロ男のハーレム学園』ではないか!!」


大名さまは木に実っているエロ本を見て驚嘆しました。


「そこの老人よ、わしにかような素晴らしき“花”を見せた褒美を授けよう!」


かくしておじいさんは大名さまから沢山の褒美をもらいました。


一方でそれを見たイジワルなおじいさんも真似をし、断腸の思いで自分のエロ本を燃やして灰にしました。


「大名さま!あっしも18禁な花を咲かせてみせましょう!」


自信満々に灰を振りまきます。


これで自分にもエッチな花が咲くと思っていましたが、ところがどっこい。


「おえええええええ!!!!!!」


なんと咲いたのは水着ギャル写真集ではなく、おばあさんのヌード写真集&AVだったのです!

しかも表紙が裸エプロンverおばあさんなんだからたまったものではありません!

男性としていつかは彼女にしてほしいコスプレランキングNo.2(2012)ですが、おばあさんに需要はありません。


「わ、わしにかような汚染物質を見せつけるとは!!」


かくしてイジワルなおじいさんは褒美ももらえず、おまわりさんに連れて行かれてしまったのでした。



追伸


善良なおじいさんの犯罪歴

・恐喝罪(牛乳パック製の印籠で脅した)

・強盗罪(電動ドリル略奪+ダイナマイト略奪)

・横領罪(タイムカプセルの中身を略奪)

・遺失物横領罪(古代のエロ本を勝手に入手)

・爆発物取締法違反(ダイナマイトの無免許所持)

・放火罪・激発物破裂(ダイナマイト使用)


イジワルなおじいさんの犯罪歴

・道路交通法違反(無免許運転)

・器物損壊罪(ショベルカーで大進撃)

・自動車運転過失致傷(建物デストロイ時に人が負傷)

・動物愛護保護法違反(ポチを乱暴に扱った)

・公序良俗違反(おばあさんのヌード写真集を公開)


善良なおじいさんの方が罪数が多い?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「ジジイに恩返しだ!!」 「地面そこの5メートル下を右方向です」 [一言] 相変わらずの安定感でニヤニヤしっぱなしでした(笑)
[良い点] 面白かったですw 置きにいかず最初から最後までエロで通す、攻めのある内容だと思いますw 一部の作品しか読んでいませんが、文体が良いですね! [一言] 重複ですが、昔話風の文体って嫌味が無く…
2013/11/14 10:41 退会済み
管理
[一言] 面白過ぎのギャグマシンガン! つ、ツッコミきれませんッ!! コミュ障のお爺さんが平然と恐喝したり 卑弥呼の時代から写真が存在していたり 両家共々ペットがポチだったり…。 でもなんやか…
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