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5月の連休が終わり、梅雨に入るまでには少し時間があるのか、今日も暖かく気持ちの良い晴天である。
よし、弁当も完成!天気もいいから布団干してこうかなぁ。翠花は、朝食を並べながら外を眺めた。
朝食を並べ終わっても一向に同居人が起きてくる気配がない。
・・・・・仏の顔も3度までと決まっている。
「叔父貴。いい加減起きな!!遅刻するよ!!」
「う~~~ん。・・・・・・すぅ。」
たくっ、何回言っても学習しないんだから。
朝食の用意をしながら何度も声をかけたのにもかかわらず、起きない叔父に保冷剤責めの刑を執行する。
「ぎゃあああああああ!!!!・・・・・・す、翠花ぁ!!ううぅ、この悪魔め!」
「何度声をかけても起きない叔父貴が悪いんでしょ。早く起きてご飯食べて。今日は、9時から打ち合わせがあるんでしょ。私そろそろ学校に行くから、食べ終わった食器は洗って片づけて置いてね。テーブルに置きぱなしにしてたら明日の朝食抜きだからね。」
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「少しは、叔父さまを尊敬することはできないのかよ。朝から心臓麻痺を起させる気か。」
ぶつぶつ言いながら朝食を食べている叔父に声をかける。
「じゃあ、いってきます。」
「おう、気をつけてな。」
翠花は、4月に高校2年に進級したばかりの17歳。ピチピチの女子高生である。両親は音楽家で海外を拠点に世界中をツアーで回っている為、高校進学を機に両親の元を離れ母の弟である叔父、拓真の元で一緒に暮らしている。
最近、ピアノ弾いてないなぁ。どこかいい場所ないかなぁ。あ~あ、やっぱり、教室通うしかないか。
翠花の通う王凛高校までは、自転車で10分。考え事をしながら運転していたらすぐに着いた。自転車に鍵をかけていると雄たけびが聞こえてくる。
「翠花ぁ~~~!!」




