20 「王」――同期――
王の疑問としている
光華の謎―――
くた王編に戻っての展開となります
「これは、――一体、どういうことだ?」
厳しい視線で問うかれ――王、に。
さて、と。
優雅に肩をすくめてみせたのは、氷華だ。
光華の対局にあるともいわれるシステムコンピュータ。
そして、いまは人型をとりかれの前にあるのだが。
皇帝の宮。
その一画にある摂政のすまう宮。
摂政宮と呼ばれる一画は、白と透明な素材が宮を造る。
黄金に彩られた宮殿の中で、風が清涼に吹き抜け青空を映して白い雲が流れるのをのどかに眺めることのできる実に素朴にすらうつる一画なのだが。
「つまり、これ、…は」
口籠もりながらかれがいうのは、そして、ちら、と視線をあげてみるのは光華だ。
「かれの見慣れない外見」をしたー――光華。
それは、そして、――。
その姿は。
「光華、…――」
「うん?王?どしたの?」
無邪気にたずねてみせる光華を見返して、かれは軽く息を吐いていた。
勿論、原因は単純だ。
その容貌が、…―――。
手にした表示機器をそのままに、かるくもう一度息を吐く。
「おまえのその姿は、―――」
いいかけて口籠もる。
にっこりと、そのかれに摂政少年が微笑みかけていう。
「ちゃんと理解した?王?」
「あのな、…だから、その呼び方は、―――それも、か?」
「――――…」
問うかれに無言で圧力を感じさせるにこにこにっこりとした微笑みで摂政少年がかれを見返す。
その無言の圧力に思わず額を押さえて、肩を落とす。
「どーしたの?王?」
そして、無邪気にたずねる光華だが。
渡された表示機器は、平凡な接続機器だ。
唯、単にその接続が摂政少年が司る領域につながっていて、本来なら一般市民が見られないような機密情報や、みたくもない色々につながっているというだけの機器だ。
手にした小さな画面表示機器。
単純に、表面に映像を再生することができる機器だが。
そして、―――。
…―――見たくはなかったな、…。
尤も、選択の余地など少しもなかったのだが。
摂政少年の宮に連れてこられて。
御客様にお茶を出さなくてはね?とかいっているのを寒く眺めていたのだが。
ついでに、と。
お茶を入れるまで、これでもみててね?
ひまでしょ?といって渡された機器からは、有無をいわさず映像が再生されていて。
その映像が、―――-…。
どうやって記録されたのか、いつのことなのか?
それままるでわからない。
唯、ひとつだけを理解していた。
光華、…―――。
映像に再生されたのは。
光華のいまの容姿と瓜二つの姿だった。
モデルはいないと、たぶん?と曖昧にいっていた光華と。
光華にその自覚はあるのか、ないのか。
そして、―――。
その存在は、死にかけていたのだ。
命を失う寸前であると。
空中から映像は撮影されたのか?
あるいは、もっと異なる技術であるのか。
昏く陰る日の中で。
血と、汚れ。
命の灯が失せていくと理解できる姿があったのだ。
荒野に、唯一人。
光華に相似の姿をした存在が、斃れ。
「これは一体、どういうこと何ですか?」
摂政少年に問うかれに、首をかしげている光華。
そして、そっと微笑むとにこやかに告げる摂政少年の言葉を、半ばかれは予期していたのだ。
理解、したいわけではなかったのだが。
「同期という言葉を知っているかな?」
美少年の姿をしている摂政少年が問うのに、かれは大きく息を吐いて、怒りを消せずに見返していた。
勿論、残念ながらかれはその言葉を知っていたのだ。
単なる言葉としてだけではなく。
「同期」と、…――――。
そう摂政少年がくちにするときの含む意味を。




