表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
くたびれたおっさんが酒場に落ちていたのでひろったら王だった件  作者: 御厨 つかさ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/21

15 闇の光 1



「闇の光」



迷うことを忘れよう。

希望を捨てず、そこに掲げて。

高く掲げ、灯を点し、闇に誰もが迷わぬように。

誰もがそれを見ることのできるよう。

誰もが道に迷わぬように。

闇に光を、灯火を。

灯火を迎えよう。


誰もがみることのできるように。


闇に光を。








1 プロローグ



「…――光華?」

冥暗道に足を踏み入れていた。

ふとひかれるように顔をあげる。何故、そうしていたのか。

何が顔をあげさせたのか。わからぬままに闇王は荒涼とした道を。

険しい峡谷の丈高い山脈を見上げて闇王は足を止めていた。

「どうしたの?」

「―――千歳、いや、…」

先を急がねばならぬ道だ。迷う暇も振り返る刻もない。

千歳が問い掛けるようにみる。吾千も足を止めて闇王を振り返る。

「どうしたんだ?闇王」

道に迷ったか?という吾千に微笑む。迷おうにも道は無い。

「…――いや」

短くいうと歩を進める。その闇王に。千歳と吾千は、足を速め無言で道を急ぐ背に目を見交わして、かれらもまた歩を速めた。






2 光華






馬を駆けさせる。

常態であるなら五日。けれど、光華は馬を駆り、一日半で到着していた。

氷華の都、華央の眠りの塔が見える。

走らせたまま馬を飛び降り、尻を叩く。馬は勢いのままに駆けていく。

駆け去る馬に視線を微かにおき、光華は地に立ち改めて氷華の都を見上げていた。

剣を手に確かめる。灰色の影が落ちる氷華の都。

無言で見上げ、息を整えた。

足に地を踏み締めて歩き出す。

灰色に都が翳るのは、眠りの塔に悲歎の色彩が色濃いのは。

光華は周囲を見渡した。

馬を放ちいま一人大地に立つ光華の前にそびえる白き防壁。

けれど、大地に人の気配はなく。

まるで、既に華央は墓標のようだ。

碑であるのだと。

既に、この氷華の都は。

滅んだ鳳都と同じように。

歯を軽く噛み締め、光華は浅く俯いた。

いま、此処に姿を現した光華に、誰何の声ひとつ掛ける兵もおらぬ。

防衛に兵は割かれ、もはや通常の旅人を見咎める衛兵さえいないのだ。

目を一度閉じ、静かな貌で光華は立ち止まった。

誰もいない地に独り立つようにして、しずかにたたずむ。

白く氷華の都を覆うのは灰色の影。

天を覆う雲が晴れず、暗雲がこの地を浸しているのだ。

黒雲が闇が覆い、空に青さをみることがどれだけ遠いか。

旅に出て、光華は知ったのだ。

空に青さがあるのだと、子供の頃にみたきりの、その空が存在するのだということを。

絶望を胸に飼っていた。

戦いながら疲れ果て、いつかこの地に我が血を吸わせるのだと。

それに疑いを抱いていなかった。

…そう、いなかった。

けれど、そうだ。…

静都に青空があった。

美しい空がそこにあった。

亜千達は、何と戦をしらなかったという。

…善きことだ、それは。

そうして、そう。ならば。

答えはいつも単純なのだ、…。

瞳をあげた。

灰色の空は変わりはしない。

この氷華竜国を、氷華の都を、闇は既に取り巻いている。

既に都は落ち掛けているのだ。

なれど。

闇があるなら、はらせばいい。

雲を払う風があるように。

いつか明けるのだと、知ればいいのだ。

夜の明ける前は一番暗い。

暁光の射し染めるその前が、一番夜は暗いのだ。

笑みが光華の口許に浮かんでいた。随分と不適な笑みだ。

剣の柄に軽く手を置き、城壁を見上げ歩き出す。

不敵な笑みの気配を軽く漂わせ。

光華は歩を進めていた。








くた王、連載中に変えていてようやく続きをUPできました

少しずつですが、よろしくお願いいたします。

しばらくファンタジー路線です、はい

でもSFなので安心してください(?)


それでは、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ