第5話 敗北の一手
(ヾノ・∀・`)
いつ頃からなのだろうか?野鳥の声がだんだん大きくなってくる。
「ここら辺か?」
日見風さんが小さく声をかけてきた。そう、俺は友を失い、味方を得た場所、自分が逃げて、死んだ場所に
戻ってきたのだった。周辺を見渡すと魔食がうろちょろしていて、先刻よりも数が増えているようだった。
「随分と臭い匂いがするな…これはガソリン…」
彼女が言葉を放った瞬間だった。突如、旧軍事施設の入り口から炎が吹き出した。
それと同時に人の形をした何かが飛び出した。
「…ッ!」
瞬きすら許されなかった、自分の体が吹き飛ばされ、右腕がなくなっていることに気付くまでに数秒かかった。そのままの勢いで俺の体は大木に打ちつけられた。
「日見風さんは...?」
最後に振り絞った力を使い、周りの様子を見る。
人型の何かがゆっくり、足音をペタペタと音を鳴らしながらこちらに近づいてくる。そして、横目で木の幹にささった彼女を、なにも出来ない自分の無力さをみた。そんなことを気にもせず、そいつは話しかけてきた。
「おや、あなたはとても美しい死に方をしますね?」
コイツ....!人の言葉を...喋れるのか?死に際で考えを巡らす。
「おっ、俺...俺はまだ、死ん.......でない、死んでないぞ。来いよ、くそやろう....」
右腕の出血部分を左手でおさながら、そう言った。
するとソイツは不満げにこう言った。
「やはり、人間は適応しゆるのですね。我々の....」
そこで俺の意識は途絶えた。
厳しい、厳しい、厳しい。(嘘だったりする ...)