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第24話 時代遅れの巫女

これもう、冬だろ…

魔食からの追跡を避けるため、俺と渉、そして剣城さんは路地に逃げ込んだ。

その、路地は他よりも少し特殊で、そこに今できたかのように現れる標識や看板、電柱が立ち並んでいた。


「彼女に連絡しておいて正解だったね。…連絡すらまでもなかったけど…」

剣城さんは困ったような顔をして言った。

「彼女って…?」

そう俺が質問した時だった。


「つぅぅぅるううううぎ様ぁあああああ!」

中学生ぐらいの少女が上から雄叫びを上げながら、落っこちてきた。


「何だぁ?こいつ!?」

渉が当然と言える反応をとったが俺も同じ気持ちだった。

しかし、突如視界が上下逆さまになった。

「「!?」」

またも渉も同じ反応をした。

剣城さんを除いて、俺たちの体は何かに縛れられた。


「アンタ達何者よ?…剣城様この追跡者をどういたしますか。火炙りにした後、もう一回火炙りして、首を吊って、体を細切れにして、太平洋…いや、マリアナ海溝にでも沈めましょうか?」


こいつは何を言ってるんだ、頭がおかしい精神異常者なのか、と思った。


「小対面のやつに対して、その扱い用は何だ?この、くそ娘!」

よくよくその少女を見ると確かに中学生ぐらいだが、格好があまりにも変だ。

黒髪短髪に加え、巫女服を着ていて、ガラケーのようなものを手に持っている。さらにはデジタルカメラのようなものを腰に下げている。何というかダサい、と、古いが混在して奇妙な雰囲気を感じられた。


「社ちゃんやりすぎだよ、その人たちは僕の友人さ。」


「そう…だったんですか?てっきり、魔食かと…」

「テメェは一回眼科か精神科に行った方がいいと思うぜ…」

体を縛っていた何かが解け、渉が反撃のように言葉を出す。


「黙なさい、アンタら誰の前にいると思ってるの。」


「「知らねぇよ」」

それが俺たちの答えだった。


「教えてあげるわ。日本一の結界術師。華麗で天才。それでいて、圧倒的な美しさ…」

先程の精神異常者という言葉は撤回しよう…こいつはナルシストだ。


やしろ巫女みこよ。」


「「だから、誰だよ!」」

今日、初めて渉と一心同体になった気がした。


「僕の助手のような、存在さ。」

剣城さんが言葉を挟んだ。


「助手?」

俺が聞き返す。


「昔は日本全体を担当していたんだが、懐かれてしまってね。なかなか離れてくれないし、一緒についてくれないなら結界をなくすだとか言い出すから仕方なく、ね。」

「その結界てのは何なんですか?」

「主に国外にいる魔食を外に出さないようにする効果があるね。結界に触れた魔食はどんなやつだろうと死ぬ。多分…」

「ひどいですわ、剣城様…私の結界は多分などという、確証のないものではありません。確実に仕留めます…どんなやつであっても。何なら、人…」

社巫女が何か言おうとしたがそれを遮るように剣城さんが話だした。


「てな、わけで社ちゃんは結界術師でこういった路地を作りだせる。結界ってよく球状の中を何かする、と捉えやすいけど、実際はある空間を生み出す、と言った方がいいかな。」


「なるほど。しかし、一旦は隠れられましたけど、ここからどうします?」

「ここで試しておきたいことがあるんだ。」

剣城さんはそう言うと、彼女に何かを話した。


「そこのアンタ。」

社巫女は渉に対し、軽蔑の目を向けながら言った。

「私に感謝しなさい、直してあげるわ。特別にね。」

「お前に治せるのかよ…?」

渉は少し不安そうな顔をした。


「私を誰だと思っているの?日本一の結界術師にして、契約解除の達人。結解術師の社巫女よ。」


昼時に差し掛かっていた…


「第二回、船島康二へのインタビューコーナーぁアアア!」

「お前、なんかの能力者だろ…結構マジで。」

「本日は結界術と結解術について解説してもらいたいと思っているのですが。お時間よろしいでしょうか?」

「時間もなにも、勝手にここに呼び出されてるからな…」

「そんなどうでもいいうことはさておき、ですね…」

「分かった、分かった。で?」

「で、って何ですか?解説してくださいよ。するまで、返しませんよ?」

「…まず、結界術てのは基本防衛術の基本として使われる。例えば、魔食による攻撃、熟練度が高ければ弾丸から爆風までいろんなものを抑え込めたり、防げたりする。」

「ほうほう。」

「一方で結解術はその名の通り、「結び」を「解く」つまり契約を解除するってことだ。」

「なるほど、ちなみに後三つほど質問があるのですが…」

「……」

「あれ、どっか行ってしまいましたね…」

「では、今回はここまで、次回もまたお楽しみに!」




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