第15話 魔を食らうモノ
なガガガが。。。。?
これを見るまで俺は馬鹿な事を二つした。
一つは死んだはずの父親の墓に日本酒を瓶ごと投げつけたこと、もう一つは父親が死んだことを確認しなかった事。どちらもあの頃は冷静ではなかったにしろ、馬鹿だなぁと俺は思う…
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【よう、俺の名前は船島 康二、魔食を狩る事を専門としている変革者の一員だ。】
何言ってんだ?コイツ、俺の目の前、目の前で死んだはずじゃ…と最初は思った。だが、淡々と話していく父親の姿を見て、本物だと理解してきた。
【ここに来たってことは魔食を退けるまたは対抗できるだけの能力を持っているてことだろ?だが、奴らと本当に戦うというのなら、今以上の力が求められる。だから、俺はお前たちが持っているものについて詳しく解説してやる。ありがたく思えよ。こんな感じでいいのか?】
【それでいいです。続けてください。貴方ぐらいしかまともに喋れる人がいないので…】
どうやら画面外に父親以外の人がいるらしい。
【ッたく!どいつもこいつも、異常者しかいねのかよ……しゃあねぇなあ、いいかよく聞いとけよ。俺は一度しか説明しねから、録画でも撮って巻き戻すなり、なんなりしてくれ。】
どうやら、俺や福垣さんの使っていた未来視、魔食について説明してくれるらしい。
【まず、この地球上には魔っていうもんが存在する。ゲームで言うところの魔力的なもんだ。こいつは俺たちが普段体内に取り込むような酸素みてぇな存在で取り込む量が多すぎると死につながるし、逆に少なすぎると不健康や事故に遭って死ぬ確率がグンッと上がる、厄介な存在だ。お前たちの能力は魔ってやつの一部でそれを自然と制御、または意識的に制御することによって個人の能力ができるわけだ。運動する時に酸素を取り込んで体を動かすのと同じだな。この魔は地球上に存在しているわけじゃなく、俺たちの知らない外部から供給されている、決まった量をな。それは人類が増え続ける分、供給量は多くなるのはいいがそれ以上は増えない。つまり、限られた資源って言うわけだ。そして、こいつを人間から奪おうとしているのが魔食ってわけだ。魔食はその名の通り、魔を食らう。そいつらを魔を使って、人類間の魔の量を管理しているのが俺たち、変革者ってわけだ。】
長々しい説明が終わった後、康二は席をたって拳を壁に打ち込んだ。すると、壁がメシっとへこんで内側から外側に亀裂が広がり、壁が崩れた。それを「見たか、今の?」みたいな感じでこちらに指を刺すと魔について語り始めた。
【こいつが魔の力だ。人によって魔の貯蔵量は違うが、これくらいは人類全員できるぐらいの魔は持っている。赤ん坊でも意識さえすれば今みたいに壁をぶち壊すことだってできる。だから、俺ら以外は魔の存在を知らない。政府であってもな。確認したところ、ここ十年はどっかの国の戦闘部隊に魔を使えるやつはいねぇと分かっている。
だが、見えてねぇだけの可能性もあるな。実際、オリピック選手なんかは魔のオーラを常に纏っているがそれに気づいてるやつは存在しねぇと思うが、見えたとしてもほんの僅か、体をモヤが覆っていると思うだろうな。】
じゃあ俺が見た福垣さんの濃いオーラはなんだったのかと問いたくなる。
俺は逃げる前、確かにオーラらしきものを見た、最初は煙か何かかと思ったがそれをだんだん見ていくうちに濃くより鮮明に見えるのが分かった。なぜ、見えていたのかその理由が次の言葉で分かった。
【オーラを認識するために必要なのは知覚することただこれだけ。最初はほんのうっすらでもいい、「そこに何かあるな。」でなく、「ある。」と思えばいい。そうすれば自ずとオーラは見えてくる。ちなみに俺は赤子の時から見えていたがそこんところは気にするな、才能だからな。】
この話を聞いてから、自分の手のひらを見ると確かに何か漏れ出ている。これが魔っていうやつなのかもしれない。だが、制御しているというより垂れ流している感じに近い。常に自分から何か出ている感じがする。
【魔を使いこなせれば、魔食に対抗できる。ほんのたまに魔食以外にその能力を使おうとする馬鹿がいるがそいつらは俺が全部片付けるから放って置いてほしいな。対人戦は俺の楽しみの一つでもあるし、人に危害を加えようとした結果、珍しい能力も生まれるからと言っても、響かないよな?だからお前たちには団員とも戦って貰うから頑張れよ。俺が喋るのはここまでだ。後は魔の師匠に任せるぜ。なぁ?上坂。】
【君は本来の任務に戻っていいよ、船島君。ご苦労だった。さて次は魔の基礎について君たちに学んでもらう、】
と言ったところでテレビは切れた。
スポットクーラー最高だよな。