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第14話 父親

無である…

不確かだがとても鮮明に覚えている…父親が死んだ日のことを。

俺の家は川の近くにあって、河川敷でよく両親とサッカーやキャッチボールをした。

最初はただの好奇心だった。家から川の方を見ると煙が上がっていた。

誰かバーベキュでもしているのかなと思ったが違った。

そこにあったのは父親の死体だった。

──────────────────

「もうすぐだ。」

警察の包囲網を掻い潜り学校近くの家に戻ってきた。

玄関に立つと渉が話した。

「ナゼ…ここに戻ってきタンダ?」

「俺は犯罪者になっち待ったからな、えんさんに最後の挨拶をしに行くんだよ…もう戻って来れるか分からないし。」

「挨拶は手早く済ませろ。今から十分後、私たちのアジトに案内する。」

そう言われた直後、ガラッと扉が開いた。

「かもめ…生きとったんか?心配したんやぞ…」

涙をポロポロと流しながら棒立ちする育ての親を見て、父親の面影を見た。

「生きとったわ…テレビぐらい見ろ…」

自分の瞳に水が何滴かたまるような感覚がとても気持ちよく感じた…

「俺はこれから犯罪者として生きていかんとあかんかもしれへん。だから…」

言葉を途切るように日見風先生が車を持ってきて、「乗れ。」と言った。

「時間だ…行くよ」

「そうか、行ってこい…やらなあかんことがあるんやろ?自分が決めた事を曲げるのは許さん。最後までやりきれ。それがお前の選択肢なら、正しいって事なんや、いってらしゃい。」

「行ってきます…!」

何がどうなっているのか理解できていないだろうに縁さんは優しい言葉で送ってくれた。俺の育ての父として…


「オイ…ほんまにええんカ?」

ノイズの混じったその一言からは渉の優しさと不気味さが混ざっていて本当にこいつは渉なのかと疑う一方でこいつは渉に違いないと確信を強めた…と思う。

「良いんだよ、これで。」

俺はそう返事を返した。

そしてある疑問が生まれた。それは「「警察」」だ。なぜ、警察は俺の事を犯罪者に仕立て上げたのか?俺は人に対して能力を見せたこともないし、誰かに話したことない。福垣さんと戦った魔食は確かに知能はあったが警察になぜ報告する必要がある。そもそも、奴らは人間世界と繋がりがあるかすらも謎のままでは何も分からない。以後、この謎を探ることとなるだろう。そんなことを考えていると家はどんどん遠ざかって街にでた。


「パトカーが妙に多いな。その全てが私たちの来た方角に向かっている。人気者だな君は…」

「ええ、ほんと困りますよ…」

「デ、アジトってのはどこにあるんだ?」

「それはいうことはできない。君たちを信頼していないわけではないが入る時は目隠しをしてもらい、私が案内することになっている。」

「俺もですか?」

「ああ。そうなるな。」

「分かりました。」


目覚めるとそこは鉄製の壁に囲まれた小さな個室だった。個室についてある小さな窓からは外の景色は見えないものの渉の姿が見えた。窓以外には昭和感が溢れる白黒のテレビがザザッと音を立てながらそこに居座っていた。

「牢屋か何かかな?扉もないし…」

そんな事を言っていると天井から声がした。どうやら日見風先生ではない女性らしい、いや少し男らしい音声が聞こえた。

『諸君、おはよう。昨日はぐっすり眠れたかな?あ、でも君たちは睡眠薬で眠らせたんだっけ?まぁいいやそんなこと。本題に入るよ。君たちは今から魔食と戦ってもらうけどその前に戦えるだけの技術を身につけてもらいたいと思うんだ。まずはそこのテレビをご覧あれ!』

ブブッツと音がなって、テレビの電源がついた。


【よう、俺の名前は船島 康二 魔食を狩ることを専門としている、変革者アダプターズの一員だ。】

そこにテレビに映っていたのは死んだはずの父親であった。

コイツぁ…やべえ、死んじまうぞ…(ナツバテダ。)

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