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第10話 心理と真理

トルコの漢字ってこう、書くんですね→土耳古(初耳)

そこは巨大な空間であった。

既に覚悟を決めた者、複数の魔食と異質な存在が一つ。

最初に気がついたのは複数の魔食。横たわる遺体のようなものを少数のものが取り囲み守る。それが予め決められていた一種のプロセスであるかのようにそのものたちは警戒と護衛の体制を崩さない。

福垣、いや彼は腰に据えられた短刀を手に、そして数体の魔食を殺した。

時間にしてわずか1秒にも満たないその細い濃密な時は周りの空間、敵味方双方に影響を及ぼした。

なぜならどちらも死を持ってこの場を押さえ切るという覚悟があったからである。

「どちらにせえ、ワシは死ぬ覚悟でここにおる。貴様らと心が同じやとしても牙をしまうつもりも、引くつもりもない。ただそれだけや…」

その言葉を言い終わると同時に魔食たちは奇声をあげ、彼に向かった。だがそれをものともせず彼は一瞬にして魔食達を葬り去った。

「あとはお前だけや。」

ゆっくりと起き上がったそれは人の形を保ちながらも、どこか人とは違う質の違いを感じさせるものがあった。

そして、話した。人の言葉を使って。

「奇妙な感覚だ。我の、我自身の言葉には理解し難いものがある。言葉か………言葉とは一体何なのだ?」

「………ホンマに人の言葉を話しよるんか..........やはりお前は生かしておくことはできん。」

彼はそう断言した。

「我は一体何者なのだ?何故ここにいる?そして今、対峙しているお前は誰なのだ…」

「安心せい、すぐにあの世に送ったる。名前を覚えんでいいようにな。」

「そうか…」と一言それは言い放った。

圧倒的なオーラをまとい臨戦体制に入ったそれは彼の足を一歩下がらせた。

「ようやく、やる気に入ったはわけか…」

(今までに相手をしてきた魔食の中でも桁違いの圧迫感、それに加えて殺気すら感じられない表情…まさにこの世を支配するに匹敵する人間がどれだけ鍛えても手に入れられない肉体…)

「どうした、来ないのか…?」

「雑魚ほどよう煽りよる…」

彼が手に持ったライフルの引き金を引いて、発射された弾丸とともに戦いの火蓋は切られた。

一瞬でも気を緩めればどちらかが命を落とす戦い…しかしどちらも恐怖を抱いていなかった。

ただそこにあったのは…

「まだまだ…その程度なのかああああ!魔食の親玉よ!」

「我に対してその不敬な言動、今ままでは許していたがこれ以上は許されんぞ。」

「そうか、ならワシは国王様に刃向かった時点で死刑といったところか?」

(よう、言いよるわコイツ。ワシの攻撃を全て間一髪のところでかわしおるし、何よりも凄いのは30キロはある木製のこのライフル全体による重みの攻撃を全て正面から受け止める頑丈さ。恐ろしいな今まで狩ってきた奴らより格段に上…)

それは彼の攻撃を最小限の力で受け止め、時々挟まれる小細工を容易に交わす。言葉すら理解していなかった者が今までの攻撃を受け、まさに武人の域に到達しようとしていた。

「そろそろか…」

その時、それは受け身の姿勢を崩し、反撃の姿勢を整えた。

わずかではあったが彼の脳内は攻撃をやめ、防御の姿勢に入った。その行動は一見すると相手に有利に思えたが次の瞬間、それは正解だったと確信へ変わった。

「フン!」

初めての攻撃であったその攻撃は人間界でいうところの発勁にあたるものであったが魔食の身体能力に加わって、一撃で10トン級のトラックを破壊するまでに至っていた。

「ぐっ!」

ライフル全体で受け止めたがあまりに衝撃が大きく、彼の肋骨を3本、両腕の骨を共に一本ずつ折った。

「次だ…」その一声はこの次があると思っていなかった福垣の心をへし折った。

「…ざけとんちゃうぞ!」

だが、彼は次で終わりなのかもしれない攻撃を避けなかった。逆に正面から受け止めたのだ。

1回目と2回目合わせ、約5秒間の発勁、そして相対して攻防した時間は1分にも満たなかったが、彼には十分であった。

「発動条件……完了や。」

福垣の能力、五手読み《アドバンテージャ》は対象となるものの両目を10秒間見ることによって、発動する。

発動直後から最大で10分、最小で2分間これから起こる未来を右目と左目に投影する様な形で視ることができる。

10分の場合は2分間の出来事を5等分にして静止画のように10秒ずつ、視ることができるが未来は確定しない。

つまり、視た未来は何らかの行動によって変わる可能性がある。逆に2分間の場合は映像の様に連続して、未来を視ることができ、10分の場合と違って視た未来は変わることはない。


彼はどちらを選ぶのか…今、膠着状態に陥っていた…




※今回、キャラクターの心情を言葉を言った後に()で示しています

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