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第1話 長い長い夏休み

夏休みが来るよね。

私がこの文章を書いているということは、やっとあの忌々しい悪夢から抜け出せたということだ。北嶋きたじますべるより

───────────────────────

「か.....かも..かも...め、起きろ、起きろ、おい。」

耳元で囁き声がする。

「......ッたく早く起きろッて、いってんだろ?」


「....ん?」

「やっと起きやがったか。」


「どうしたんだよ?」

「どうしたって.....授業始まるぞ。」


「今、何限目だよ。」


「昼休みだよ、昼休み。分かったか?そんなことよりお前、夏休み何かしたいことあるか?」

「特にないが...」

俺は面倒くさそうに返事を返した。

「やったら、話は早い。」と渉が何かありげに話を進めてくる。

わたるは.....何かしたいことありげやな?」


今、俺が喋っているのが上崎かみさき わたるだ。中学の頃、教室の角で一人、本を読んでいた時に急に話しかけてきた。初対面の俺に対して、「俺と友達になってくれぇぇぇえ!」とか大声で言ってきた。正直いってヤバイ奴だ。身体能力が化け物みたいだが、勉学に関してはびり決と言うべき存在だと考えている。

俺は生まれは東京だが、三才ぐらいの時に両親が離婚。父親の方に引き取られて、関西の方にでてきた。だから、若干、関西弁と関東弁が混じることがある。そして、俺の力、いや世間一般やと超能力ってやつになるんか分からないが、そういう能力、俺が名付けた名前。

「「アダプト。」」

この能力、簡単にいってしまえば自分のクローンを作ることに等しい。この能力を使うにはまず、「アダプト。」と発言することから始まる。すると俺の身体からもう一人の俺が生み出されるのだが...少々説明がややこしい。生み出される前の俺をAとして生み出した俺をBとする。その時、Aが家にいた場合、Bは家に居なかったことになる。そして、他人から俺を見た時、二重に重なっているように見えるらしい。さて、こんな能力を持っている俺から言わせてもらうが正直いって使い道がない。難関大学に合格するためにはそんなものはいらない。親が離婚した時に分かった、金が真実ということにいい会社に入り、いい服を買って、自分の家を持つ、それで充分だということに....

「聞いとるんか?」

「ああ、もちろん聞いとる、聞いとる。」

「じゃあ、というわけで近くの山にある軍事研究施設にレッツラgoやで。」

───────────────────────

「ホンマに来てももうたんか、俺。」

山中深い、森の中。木々が生い茂るそこはかつて人が通ったような形跡はなく、ただ一本の獣道があるだけだ。

「早よ、早よ。」

渉の呼ぶ声がうるさい蝉の鳴き声と一緒に混じって、なかなか聞き取りづらい。

どんどん離れていく渉の背中にのっかかりたい気分だ

「お前、歩くの早すぎんやろ。お、俺は…万能型な人間ちゃうんやぞ。」

息苦しそうにする俺の顔を見て、渉はすかした顔でさらに歩くスピードを早くする。

「お、お前なあ。」

そんな会話をしていると目的の場所についた。

「えらい暗い施設やな。電気ひとつも通ってへん。」

渉は不思議そうに思いながらも、奥へ、奥へと進んでいく。そんな時だった。

カランカランと近くで音がした。

「なんや今の音、今音絶対したよな?」

渉の方に顔を向けると今までにないような顔をして、奥をまじまじと見つめていた。

「かもめ、今すぐ走れるか?」

「急にどうしたんや、そんなガチトーンで…」

朝だったからなのだろうか。服に滲んだ汗が冷たく感じるに対し、急激に上がる心拍数と喉の渇きが収まらない。明らかにこちらに気がついたようでペタペタとまるでそこに人間がいるのかのように足音が聞こえてくる。

そして、俺は無意識に「「アダプト」」と唱えていた。

渉も近くにあった錆びた鉄パイプを竹刀のように持った。

俺と渉が完全な臨戦体制に入ろうとした時には既に怪物それは渉の目の前にいた。

「わたっ、る」と俺が声をかけてきた時にはもう遅く、渉の持っていた鉄パイプごと渉を遠くに投げ飛ばした。

これはまずいと一瞬で判断した俺は怪物から反対方向に全速力で逃げながら叔父さんに電話をかけた。

「頼む出てくれ…」と懇願する俺に神は一度だけチャンスを与えてくれた。

『どないしたんや?』北川さん、叔父の声だ。

『今、高校のちか…くの、山…軍事』

『待て、よう聞こえへん。なんやて?』

『だ…か、ら…….』

ピーピーという音と共に電話は切れてしまった。

「クソ。」とため息を漏らした瞬間だった。

俺は足を踏み外し、崖から落ちた。



次回は別視点なのでよろしく。※区切りの線がパソコンだとおそらく途中で切れている可能性があります。

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