作品紹介 03 老騎士フェーデの救済 作者 田上 祐司様
【ストーリーと見所】
暴君と化して圧政で民を苦しめる王に、かつてはその師であった老騎士が戦いを挑むといった感じで始まる王道のファンタジー小説。
舞台は架空の王国で、ファンタジーではあるのだが作中では珍しく魔法の類は一切登場しない。剣や弓などの武器を使った純粋なぶつかり合いがメインとなっている。
物語の序盤では老騎士が圧政に苦しめられている村を救い、王に対して自らの騎士団を率いて戦いを挑む。
結局一度は破れてしまい、再起を図って再び戦う……というのが主なあらすじ。
物語としては非常にわかりやすい王道路線。主人公と敵である王の立ち位置が割と珍しいことぐらいだろうか。
各地を回り仲間を集め、そして民達の力も借りて圧政を敷く王を倒すといったお話ではあるのだが、それが実に丁寧に描かれているのが作品の魅力だろうか。
構成の造りも見事で、展開には緩急やついており王が悪に堕ちた理由なども序盤から伏線として仕込まれている。なのでそれらを読み解いてく楽しさもあり、また後半にはこれまでの全てを叩きつけるような、それこど読者が期待する熱いストーリーが展開されていく。
【個人的に気に入った点】
王道なストーリーを、丁寧に描く。
この小説の面白さはそれに尽きる……といいたいところだが、折角なのでもう少し褒めておく。
実際、ストーリーの面白さはかなりのもの。
人によっては捻りがないと取られるかも知れないが、問題はない。読んでいくうちに作品世界に感情移入するような要素は多く、最終的には読者がそうなった欲しい展開を書ききってくれる。
それに加えて評価したいのはキャラクターの見事さだろう。
主人公の老騎士をはじめ、ヒロインの少女。そして敵方の王やその側近に至るまで全員が確たる人物として描かれており、キャラクターとしての無駄が殆どない。
全員がしっかりとした役割を持ちそれをしっかりと果たして舞台から降りていく。これもまた、丁寧が物語作りが成せる技の一つといっていいだろう。
特に敵方の王に関してはかなり魅力的なキャラクターとなっており、最後まで読んで彼がどうなるのかを是非見届けてほしい。
僕が好きな情けないおじさんも出てき来るので満足度はかなり高い。
【こんな人にお勧め】
王道のファンタジーや、騎士物語が好きな人。
戦闘シーンの大半は大軍を率いての合戦なので、その手の軍記小説が好きな人にも満足してもらえると思う。
また全体を通してキャラクターの作りが上手く、その辺りを重視する人にもお勧め。
【本編URL】
https://ncode.syosetu.com/n8177in/