君と半分こ。
「僕」視点のお話です。
君がまだ、
1人じゃアイスを食べ切れないと泣いてる頃から、
僕は一緒にいるんだよ。
僕も1人じゃ無理だったから、
泣いてた君の隣に座って、
1つのアイスを半分こ。
あれからお互い大きくなって、
簡単に食べ切れるようになったけど。
今でも悲しいことがある度に、
君はアイスを1つ買ってくる。
2人で食べて、悲しいことも半分こ。
カップが空になる頃には、君の涙も乾くんだ。
でも今日は、
君はずーっと泣いたまま。
僕の隣で泣いていて、
アイスの蓋も開けぬまま。
「僕にしなよ。」
思わず口から出そうになって、
慌てて君から目を逸らす。
どんなに想っていても、
僕なんかじゃ、
幸せまで半分こにしてしまいそうで。
君はきっと、
僕より素敵な誰かのために泣いているんだよね。
どれだけそうしていただろう。
臆病な僕に背を向けて、
君は溶けたアイスを持って立つ。
アイスが溶けてしまっても、
悲しい気持ちは消えなくて。
帰ろうとする君の手に、
僕は思わず手を伸ばす。
「一緒に食べよう。
半分こしよう。
溶けていたって構わない。
2人で食べたら美味しいから。」
君は背中を向けたまま、
それでも僕は止まらない。
「君と半分こで食べられたら、
僕の幸せは2倍になるんだ。」
振り返った君が、
何か言おうと口を開く。
大丈夫。
覚悟はしている。
僕はもう、1人でもアイスを食べられるんだから。
彼女は何を言おうとしているのか。
よろしければ、「私」視点もお楽しみください。