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32歳女性の場合 part13

自分より少し身長があって、元婚約者より華奢な体は優しく私を包み込んでくれた。失恋からの出来心だったのかもしれない。傷心で少しでも心を癒すためにした行動だったかもしれない。でも、そうだったとしても、今は彼から目をはなすことができなかった。


「飲むもの持ってきますね。」


そう言って彼は私から離れていった。自分から離れていく彼を見ていると寂しさがこみ上げてきた。私は彼の後を追って冷蔵庫の中を物色する彼の背中に腕を回す。


「意外でした。先輩って甘えたちゃんなんですね。」


「悪い?」


「いいえ。可愛いですよ。いつもピシってしている先輩とギャップがあって。」


私はいまだに先輩呼びの彼に少しむかっときた。


「いい加減先輩呼びやめてよ。」


「やっぱり名前で呼ばれたいものなんですか?薫?」


いきなり呼び捨ての名前呼びにドキッとした。少女漫画でよくありそうな言葉を選んでしまった。少し憧れていた状況ではあったが、こういうことができる人なんだと少し残念な気もした。


「宗介くんは昔相当モテたでしょ?女の子手玉に取るのうまそうだし。」


「薫も君付けはやめてよ。まだ、子供扱いされてるみたいで嫌だ。」


「お子ちゃまにはくんでいいのよ。で、どうなの?モテてきたでしょ?」


彼はわかりやすく頬を膨らませてそっぽを向いた。少し怒らせてしまたかな?


「ごめんよ。宗介。」


申し訳なく、彼の名前を呼ぶ。すると、彼は物色するのをやめてお腹のあたりにある私の手を握ってきた。


「初めてですよ。」


「え?」


小声であまり聞こえなかった。


「先輩が初めてです。人のこと好きになったことがなかったので。さっきも自分の初めてでしたし、家に女性がきたのも、女性と2人っきりになるのも初めてです。」


顔を赤くして、私の質問に答えてくれた。私に撮ってみれば少し衝撃的な答えだった。顔は可愛らしいが整ってる。いわゆる犬系のイケメンって感じで、性格は優しいし、運動はわからないが、決して頭は悪くない。高スペックな男性って感じだ。


「実は・・・。」


彼が話し始めようとすると冷蔵庫の開けっ放し防止のブザーがなる。話の腰をおられた彼は冷蔵庫の中からミネラルウォーターだけを取り出して、容姿してあった2つのコップに注いだ。


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