26歳男性の場合 part16
ちょうど昼時ということもあって、最前列で水槽を見ることができる。大きな水槽の中には様々な種類のお魚が泳いでいた。集団で大きな魚の形をして泳ぐ小魚。その集団に負けず劣らずの大きさを誇る捕食者。毎回水族館に来ると不思議なのが捕食者とその餌になる魚たちを一緒の水槽に入れて大丈夫なのかと思う。その答えは最近テレビで知ることができた。どうやら、十分な餌を与えると捕食しないかららしい。苦労してとる獲物よりも楽して十分な餌をもらえる方がいいに決まっている。しかも、もともと捕食者は必要以上に餌を取らないことがわかっている。狩りは重労働で必要以上にしてしまうと栄養不足で死んでしまうらしい。
「おっきいね。」
創が大きな魚を見てそうつぶやく。すると、ちょうど魚たちもご飯の時間なのだろう。ダイバーの方が水中に潜り、餌をあげていた。
「パパ、近くで見たいから肩車。」
「わかったよ。」
自分は創の前でかがみ、創を自分の肩の上に乗せる。創は夢中で餌やりの様子を見つめていた。
「パパ、僕これやってみたい。」
「そうか。でも、このお仕事は泳げないとダメだぞ?」
「なら、僕泳げるようになりたい。」
「わかった。今度、一緒にスイミングスクールに行ってみるか。こう見えてパパ、泳ぐの上手なんだぞ。」
幼い頃から母さんに泳げるようにはなっておいて損はないと言われてきたのでうちの兄弟は全員泳ぐことができる。二番目の兄さんは国体に出るくらい実力もあった。
「もし、創が泳げるようになったらおじさんたちと一緒にプールに行けるな。」
「うん。頑張る。」
水を怖がっていた創だがイルカの一件で少し水になれたのか、目をキラキラさせて大きな水の中を泳ぐ魚たちを見つめていた。




