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26歳男性の場合 part7

創はほとんど手のかからない子で、外で泣くことはほとんどない。自分が妻を亡くした時も、死というものがわかっていたのかは定かではないが、泣いている自分の背中をさするような行動も見られた。妻に似て心の優しい子に育っていることが嬉しかった。


「パパ。早くいこ!!」


クシャッとした笑顔で自分に呼びかける。その姿はとても愛おしいものだ。


「大切に守らなきゃね。この笑顔。」


母さんが自分の後ろから話しかけてきた。肩に手を置き、すこし強い力で握ってきた。母さんも妻のことはとても好いてくれていたみたいで、本当の娘のように可愛がっていた。付き合いたての時も、『ようやく自分に娘ができた』と喜んでいた。結婚するならこの子にしなさいと口うるさく言われたことが懐かしい。もちろん、自分もそのつもりだった。


うちは、男の3兄弟で女の子ができなかった。もともと、子供服のデザイナーとして働いていた母さんは、女の子ができたら自分が作った服をたくさん着させてあげたいと言っていた。男の3兄弟ではその願いは叶わなかったが、自分の一つ上の兄さんに女の子が誕生した時は誰よりも喜んでいた。今も、その子のことは溺愛している。嫁姑の仲がうちの一家はとても仲がいい。だからこそ、妻が亡くなったときは一家全員が大きな悲しみに包まれた。


「パパ?」


少し考え事をしていたら、心配した創が自分の座っている前にしゃがんで自分の顔をのぞいてきた。


「大丈夫だよ。すこし考え事をしていただけさ。じゃあ、準備もできたし行こうか。」


「しゅっぱーつ!!」


元気な創の声が玄関に響いた。




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