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中学一年生男子の場合 Last Part


元の見慣れた風景に戻る。虚無の空間とはかけ離れた、物が溢れた部屋。この風景をみると、すこしだけ落ち着く。自分が一つため息をつく。安堵から来るものか、もしくは他の何かの影響で自分の頬には伝うものがあった。しおりに気づかれまいと急いで袖を目に当てる。


「それどうするんですか?」


タイミング悪く、しおりはこっちを見ていた。隠す必要がなくなったので袖で乱暴に吹いていたが、人差し指で目尻を拭く。


「保管するんだよ。ついてきてくれるかい?」


裁判所から出て、隣に併設されている建物に入る。そこには自分がこの担当についてから関わってきた人が存在していた証があった。大きなものから小さなもの、名前が彫られたものや写真でいっぱいだった。溢れ開けるものの中に幸助くんの証を大切に自分は保管する。


「これだけの人を1人で裁いてきたんですよね?」


「そういうことになるな。」


ここに来ると考えさせられることがある。これでよかったのかなって。これだけ多くの人間の存在を自分は消してきた。例え罪人とはいえ、罪悪感が消えることはない。


「私、決めました。これからもここでお世話になります。」


突然の発言に証を見ているしおりの背中を見た。


「いいのか?これから毎日のように人間がこの世界から消えていく様子を見ることになるんだぞ。」


「あんな顔見せられたら今さらやめるなんて言い出せませんよ。そんなことをもう何百年1人でやってきたと思うとゾッとします。だから、すこしでも力になれればと思って。」


「そうか。わかった。これからもよろしくな。」


しおりに近づき、手を出す。しおりは自分の手を握った。


「これからよろしくお願いします。えっと・・・。」


「伯斗だ。」


「はい。伯斗さん。」


自分は初めて部下を得ることができた。消えていく存在を認知してもらえる人ができて嬉しかった。その時、少しだけ幸助くんが残した証、指輪とネックレスが反応した気がした。


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― 新着の感想 ―
[良い点]  一話が短いので、スラスラと読み進められてとても読みやすかったです。 [一言]  私の作品に「消える」と云う詩があって、なんだかそれを思い出しました。  「死淵の箱庭」と云う小説もあるので…
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