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中学一年生男子の場合 part34
だんだん当たりはどんどん殺風景になっていく。幸助くんの部屋の窓からはきれいな夜の街並みが見えていたが、各家家の存在が確認できなくなっていた。おそらくもうこの世界に残っているのはこの部屋だけだろう。もって後、2分くらいだ。
「もう時間だ。君の存在は消えて、君の力で作られたこの世界も消える。顔を上げて周りを見てみろ。」
自分の言葉に反応して顔をあげる幸助くん。その時ちょうど、部屋にある本棚がチリになって消えていった。
「最後に聞きたいことでもあるか?」
最後の自分の呼びかけ。幸助くんの反応は薄い。
「本当の夏帆は僕のことどう思ってたんですか?」
「君が作った世界は君の中の想いを中心に作られてる。でも、それだとあまりリアリティがないから人の気持ちとかは地上にいる人間の感情を反映したものになってる。夏帆ちゃんは君のこと好きだったと思うよ。」
幸助くんは最後の自分の言葉に涙を流していた。
「そうなんだ。ならよか・・・。」
言葉の途中で幸助くんの生命力が切れた。もともとあった世界は虚無感の強い何もない空間になっていた。




