中学一年生男子の場合 part30
そこからいろいろな手続きの準備をしてから2人で幸助君を迎えに行くことになった。ここの仕事が自分しか続かないのは実際に人間の存在が世界から消えるのを見てしまい、そのことに耐えられないからだ。しおりもおそらくその1人だろう。天界で仕事に着く人は、才能や学だけで選ばれるわけではない。人格や性格、人相も重要な選考条件だ。基本的に正義感が強く、優しい人が多い。自分がその人を手にかけている感じがあって耐え切れないのだと思う。
「そろそろ時間だ。行くよ。覚悟しておいて。」
自分はしおりにそう伝えて、幸助君が最初に入ってたところに向かう。幸助君が作った世界に入るのは簡単でカプセルに手をかざすだけ。自分たちがその世界に入ってから約15分後に世界が崩壊していく。カプセルのある部屋に入るとあれだけ強い光だったものが薄暗くなっている。生命力が尽きてきてる証拠だ。
「先に行ってくれるか?後から自分は行くから。」
あえてしおりを先に行かせる。それは以前逃げ出した人がいたからだ。しおりは覚悟を決めて、カプセルに手をかざして、これから消えゆく世界に入っていく。それを確認してから自分もしおりに続くようにお別れを言いに行った。




