表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/100

中学一年生男子の場合 part2

できるだけ毎日投稿しています。

最後まで読んでいただけると嬉しいです。

これの他に長編として『白い紫陽花』という小説も書いているのでそちらもよろしくお願いします。長編は毎週土曜日の午後に更新しています。


 今日の仕事は中学校一年生の男子の裁判だ。裁判を受ける側は、死んだ年齢のままで裁判を受ける。見た目が自分に近くなればなるほど複雑な思いがある。なぜ?とか、可哀想とかそういうことを思ってはいけない。一応ここでは罪人であることは変わらない。何歳であれ平等に裁きを受けさせるのが自分たちの仕事だ。横でその子の資料を見ていたしおりの顔が暗い。


「こんなに若くして亡くなってしまった子を裁判にかけなきゃいけないのは少し心苦しいですね。」


「こんなことの連続だぞ。ここでは罪人なんだから凛とした態度で対応しなきゃいけない。死んでしまったら年齢は関係なく、扱われるからな。ここでは、生前いくつまで生きたかなんて気にしちゃいけない。特にうちはな。若くして自殺に走ってしまうことが多いからな。特に今日の子みたいな年齢層は多いぞ。新しい環境になれなかったりとか、多感な時期で誰にも相談できなかったみたいなことが多いからな。」


「そんな子でも裁かなききゃいけないんですか?」


このままではこいつにここの仕事は耐えきれない。


「お前は何歳まで生きた?」


「私ですか?私は72歳くらいまでです。」


「いろんな人の死を見てきたろ?」


「そうですね。親の死。友達の死。大切な人も自分を置いて逝ってしまいました。」


「そこにいた人間が自ら死を望むように見えたか?」


「そんなわけないじゃないですか!!」


声を荒上げる。


「だからだ。どんなことがあったとしても自ら死を望んで、行動してはならない。お前みたいに自分を失って悲しむ人がいるからだ。ここに来る前の研修会で言われなかったか?転生した命は前世の行動に少しだけ引っ張られる。例えば、犯罪を犯してしまった人の前世を持ってしまった人が少なからず犯罪を犯してしまうということだ。だから、罰を受けて改心したのちに輪廻の流れの中に返す。自殺も一緒なんだ。前世自殺をした人間もその影響を受けて同じ行動をとってしまうことがある。だからこそ、裁かなきゃいけない。でも、この国には自殺に対する法はない。だから、ここで俺たちが代わりにやらなくちゃいけないんだ。お前みたいに傷つく人が出ないために。」


「・・・。」


しおりは黙ってしまった。


「なれろとは言わない。逆になれてはいけない。自殺をした人間がどんな裁きを受けるかはこれからわかる。しっかり受け止めて覚えておくんだ。決して忘れてはいけない。時間だ。じゃあ、初仕事に行こうか。」


自分は目の前にある扉を開けた。



最後まで読んでいただきありがとうございます。

評価、レビュー、感想、コメント、ブックマーク等ありましたらよろしくお願いします。

Twitterを始めました。@siroiajisai1024 更新、活動報告などをしていく予定です。フォローの方よろしくお願いします。

明日もぜひ読んでください。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ