表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

吉原編~八百屋編

えー、江戸時代もだいぶ初代の家康公から時代進みますってぇと。


段々と人材不足になったようで。


お奉行様なのに暴れたり、将軍さまなのに暴れたりね。


江戸の黒豹なんて言われた捕り方、銭ぶん投げて捕まえるかたも。


中には刺青入れてたのに名奉行なんて言われた方もいらっしゃるようで。



今日はそんなお話し。



フスマの前でウロウロして居る旦那さんがおりまして、この旦那小僧の時分から働いて来て、トシぃいってからようやく旦那になった方で。


1年前に嫁さん若いのぉもらいましてな。


やっと子供が生まれるんで今ウロウロしております。


タバコ吸って、火ぃ消して。


お茶飲んじゃぁ立ち上がり。



おぎゃあ、おぎゃあ。



生まれた!


慌てて旦那さん声をかけます。


産婆さーん、もういいかい?もういいかい?


はーい旦那さんもう少しお待ちを、今クビぃシメますから。



旦那慌ててガラリ、チョイチョイチョイチョイチョイ!


待って、待ってせっかく産まれた我が子言いながらチラッと顔を見ると一瞬納得しました。


あー、こりゃシメられてもしょうがないかぁ


なんて思ってますてぇと奥さんがばって身体起こしまして。


枕の下に隠し持っていた3両を産婆さんに渡しまして。


この子、実際絞められても仕方ないのはわかります。



分かっちゃうんですよこの奥さん。



でも、もしこの子が大きくなって誰か泣かすような事があったらば、この子ごと私のことを必殺!してくださいな。



それを聞いた産婆さん考えました。


旦那さんも1両出しまして、ついでに私も頼むよ。


八丁堀の中村の旦那に頼んで必殺!・・・えー、仕事人に頼んで貰おうか。


中村の旦那バレてますね完璧に。


やがて産婆さんは言いました。


あなた方がそこまで考えてなさるなら私からいうことはありません




なんとか子供の生命はつながりましてな、やがて5歳になった時でございます。


まぁこの主人公バカだなんて言ってますけどもね、噺家のほうがまぁ大概バカですからね、うん。


バカでないの探すのに苦労するんですから。



で、ね。


その子が朝方厠、ま、今でいうトイレですな起きまして、布団に戻る時チラチラ動く虫に気を取られましてふらふら歩いてしまいます。


しかもたまたま関所が開く時間帯でしてこーいう顔の子供(変な顔をする)


ですから誰にも止められる事なくふらふら歩いて、いつの間にか吉原に入って、やがて疲れてしゃがみこんでしまいます。


それを見たのは花魁高尾太夫!


こぅ付け人にあらやだかわいそう、あの子チョイと拾っておいでよなんて若いのに言いましてな、子供拾われてしまいます。


子供に与太郎なんて名前つけて計算教えて、布団の敷き方掃除の仕方、色々教えておりまして、

どうやら与太郎計算の才能がありましたようで、花魁が暇にあかせて教えますってぇとするって覚えてしまいます。


さらにこぅ人間がおバカですからね、どこぞの永田町の誰かと違うんでな、お金ごまかそうなんて考えもしないですからな。


毎日の帳場任されるようになって行きまして。


やがて11になった頃くるわが火事に遭いまして。


いわゆる火事と喧嘩は江戸の華なんて申しますが、中にいる人にはたまったもんじゃございませんな、大変な騒ぎ。


八五郎だか大五郎だかいう町火消しの大将がばしぁあと水をかぶって階段登ってトントントントントントンッ!


逃げ遅れた人を探しますてぇと、与太郎は二階から布団ぶん投げてましてな。


その上に逃げ遅れた禿、まぁ花魁の見習いみたいな幼女ですな、それを抱えて布団の上にポイっ布団の上にポイっ、なかなかの力持ちこういうのを本当の馬鹿力ってそんなこと言っちゃ行けない。



最後の子を逃がそうとしたときに屋根がガラガラ落ちてきて窓を塞いでしまいます。


火消しの大将に気がつきますてぇと大将に手ぇ振りまして。


火の上ぇ禿をポイっ!


大将慌ててナイスキャッチ!


それを見てニッコリ笑うてぇと、与太郎がそのまま火に隠れたところでお後がよろしいようで、えーお後がよろしいようでってのは次の方の用意万端ってことで次は八百屋編に続きます。


またのお越しを。


八百屋編


ぇー、まぁ噺家なんてものはだいたい与太郎を馬鹿にして大工のはっつぁん、くまさんを恐妻家にして、政治家やサムライをコケにするお仕事なんですな。


実際はて言いますと貴方。


だいたい与太郎よりも馬鹿なのが多くてですなぁ、と言うより馬鹿でない噺家探すのに苦労するんですからホントに。


この前も女房に高座ぁ行ってくるよって出かけるのに止められた師匠が居るんですから。


ヤダおよしよアンタァ?


アンタの稼ぎより打ち上げの飲み会と電車代の方が高くて持ち出しぃなっちゃうんだから。


なんて言われましたそうで。



特に立川の噺家なんでもね。


前座の方に先輩が教えたそうですね。


キウイ!


その前座のかたキウイ言うんですがね、

うんホントにキウイって名前で高座上がってる今じゃ師匠なんですけど。



キウイ、おめぇ落語家に1番大事な事何か分かるか!


聞かれたキウイ師匠なんかこぅ真面目に答えましたら。


馬鹿やろうおめぇ落語の後の飲み会が1番大事なんだって言われたって言うね。



ま、そんな噺家たちの言うことですから与太郎馬鹿にしててもあまりお気になさらず。


さて、くるわでの火事が収まりまして、前回出てきました高尾太夫皮切りに全員で与太郎探しまして。


なんかこぅ焼け跡から骨見つかりましてな。


あー、かわいそうに。


禿を救ったあの子がこんなになるなんて南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。


与太郎の墓を焼け跡に建てまして彼は長いこと守り神として崇められたそうでございますってそこで終わっちゃアタシなんぞ偉い師匠に怒られておまんまの食い上げでございますけども。


与太郎焼け落ちた屋根ごとこぅ、落下したんですな。


そして火に包まれた与太郎熱くてゴロゴロ転がっていくうちにバシャ!


そう吉原のお堀に落っこちて気ぃ失ったまま流されたんですな。



場面変わりまして夫婦で散歩していた八百屋さんですけども。


イメージで申しますと異人達との夏のあの夫婦みたいな。



奥さんのほうが急に立ち止まりまして。


聴き耳を立てております。



アンタ!あの川を見てよ。


あっ!子どもが死んでるっ!


てんで八百屋の旦那慌てて引き上げまして、手当てを尽くすってぇと与太郎息を吹き返しまして。


それでも酷い火傷や、ショックですかな?


喋れなくなってしまいましたのを、夫婦で一生懸命治しまして。



それを恩義に感じましたらしく与太郎、あまり動かないその手をいごかしましてな。


いわゆる帳簿係をかってでますてぇとご夫婦計算が出来ないで丼勘定というやつやってまして中々稼ぐ事が出来なかったのが、それで与太郎の計算でお店大きく繁盛いたします。


繁盛したところで旦那さん仕入れしくじりましてな、ここで唐茄子屋政談、唐茄子、今でいうカボチャが出て参りましたところで次の師匠にお繋ぎいたします。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
この度は拙作にご感想をいただきましてありがとうございます。とても嬉しかったです。 また評価もいただきましてありがとうございました。心より感謝申し上げます。 落語のお話なんですね。とても素敵なお話だと…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ