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つみかん!  作者: 甘口カレー
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36話

レイメイはキッチンからコーヒーとココアの2杯目と空のコップと水の入ったペットボトルを持ってくると話を再開した。


「私達円卓は受肉するには人の体が必要と言いましたよね?死ぬ度に自分に会った器を探して契約をするのですが、その度に本来のチカラは失われていくのです」


そう話ながら机に空の容器と水の入ったペットボトルを置く。


「このペットボトルが私たち円卓の魂だとしてこの空のコップは人の体だと思ってください」


静かにうなずきレイメイのする事を眺める。

空のコップに水を注ぎ零れるか零れないかギリギリのラインで注ぐのを辞めた。空のコップはなみなみ水を注がれ、ペットボトルは中身を半分程残していた。


「このように私達が契約して受肉したとしても全てが入るわけでは無いのです。容量は決まってますからね。まず契約の時点で弱くなります」


ペットボトルに入っていた水を影に捨てペットボトルを空にし、コップに入っていた水を器用に零さずにペットボトルに注ぐ。


「契約した肉体が死んだ場合魂は行き場を失いペットボトルに戻ります。これの繰り返しです」

「つまり死ねば死ぬ程弱くなるって事?」

「そういう事です」

「魂が全て入る肉体があっても消えた魂は回復しないの?」

「しませんね。例え前の体よりも容量の大きい肉体があったとしても容量に空きが出来るだけです」


水の入ったペットボトルと濡れたコップをお盆に置く。


「それに例え同じ容量の肉体と契約したとしても前の肉体に魂はいくらか残り弱くなります」


死ねば死ぬ程弱くなるのなら話を聞く限り1度も死んでいない雪音とレイメイ、1席と2席は他の円卓に比べると弱体かしていないという事。


「因みにクウカの能力は弱くなる前は今よりも範囲が広かったですし硬化と併用する事が可能でしたね。今は出来ませんが」

「なるほどね、一つ気になったんだけど、わたしは弱くならないの?強欲はずっと死にまくってるみたいだけど」


口に含んでいたコーヒーを飲み込みレイメイが答える。


「強欲は最初の契約時から弱くなる事はありません。本来私たちに必要な契約して体に入るという過程を飛ばして器が生まれた時には既に入っています。ですので強欲の能力が弱くなる事はありません」

「なるほど」


2杯目の少し冷めたココアを飲む。上手く混ざってなかったのが1口目は薄く飲み干す頃にはとても濃かった。



湊は晩御飯を食べた後シャワーを浴びていた。

お湯に打たれながらムラキに切られた手を眺める。切られた跡も何も残っていない。だが1度切り落とされ痛みを味わった。

生まれて初めての事だった。当たり前にあったものを奪われたのは。いや2回目だ。当たり前に横で笑っていた紅葉の笑顔を奪われた。

なんで私達がこんな目に合わなければならないのか、意味のわからなさに怒りが湧く。


「こんな円卓を作った奴が悪いんだ」


鏡に映る自分に睨まれる。初めて自分の怒っている顔を見たのかもしれない。そもそも普段怒ってる時に鏡を見る事は無いから当たり前の話だ。

円卓さえ生まれてなければ。でも、


「円卓が生まれて無ければ私と紅葉は出会わなかったかもしれないのか…」


強欲の契約者の妹の生まれ変わり。強欲にとって大事な人に生まれ変わる呪い。それがあったからこそ出会えたかもしれない。

そもそも紅葉と知り合わなければ紅葉は酷いことをされなかった。今も眠る事なんてなかった。


「ほんとになんて謝ろう」


紅葉の事だ困ったような驚いたような顔をするだろうか。もしかしたら泣くかもしれない。許して貰えないかもしれない。それでも、最後は微笑んで許してくれるだろう。紅葉はそういう子だ。


「なんで微笑んでんの」


鏡に映る自分の顔は微笑んでいた。紅葉の事を考えたからだろうか。写真で見る笑顔よりも優しい微笑みだった。

お風呂からあがった湊はパジャマに身を包みホットミルクを飲んでいた。

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